旅は道連れ、主は恵み 穂森幸一(164)

2020年8月20日12時10分 コラムニスト : 穂森幸一 印刷
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ちょうどこの日、ふたりの弟子が、エルサレムから十一キロメートル余り離れたエマオという村に行く途中であった。そして、ふたりでこのいっさいの出来事について話し合っていた。話し合ったり、論じ合ったりしているうちに、イエスご自身が近づいて、彼らとともに道を歩いておられた。しかしふたりの目はさえぎられていて、イエスだとはわからなかった。(ルカ福音書24:13〜16)

旅は道連れとはいいますが、エマオ村に行く途中でイエスと道連れになったふたりの弟子は何という素敵な機会に恵まれたのだろうと思います。私も旅行が好きで世界中回ることができましたが、旅の道連れで不思議な出会いも経験しています。

米国の教会に短期留学する機会が与えられたときに、旅費を安くしようと思って、鹿児島から香港に向かい、香港からサンフランシスコ行きの飛行機に乗ることにしました。香港で乗り換えの便を待っていると、乗客はほとんど中国人でした。私も現地の人に間違われたらしく、おばあさんにこの便でいいのかとチケットを示されながら尋ねられたりしました。

いざ飛行機に乗り込んでも日本人はほとんど乗っていなくて心細い思いをしていたのですが、何と隣の席は日本人のような女性でしたので安心しました。席に着くとその女性が「私を日本人と思ってホッとしたのでしょう」と英語で話し掛けてきました。その方はシンガポール国籍の中国人でした。けれども会話を続けていくうちに意気投合し、私の訪米の目的や将来の夢などを話しました。

その女性は私のことが気に入ったらしく、独身だったら結婚を申し込んだのにとしきりに話していました。華僑は世界中にネットワークを持っていて、互いに助け合っているということでした。日本人とはここまで話が通じることはなかなかないので、日本にも拠点を持てる機会だから誰か身内を紹介してくれないか、姻戚関係を持ちたいと話していました。そのネットワークの力を実証したいからちょっと待っていてくれと言って席を離れ、ファーストクラスの客しかもらえないというお土産を持ってきました。もし米国で困ったことがあったら連絡してくれ、ネットワークの力でどんなことでもできるからと話していました。私の知らない世界を垣間見させてもらうことができました。

また、あるときは米国の教会を訪問するために飛行機に乗っていて聖書を開きながらノートにメモを取っていると、隣の席の米国人の男性が「牧師さんですか」と話し掛けてきました。これから米国の教会を訪問するのだけれども、夕礼拝でのメッセージをしなければならないのに準備が十分にできていないというような話をしました。するとその男性が「私はクリスチャンです。私の妻は日本人で、オペラ歌手です。賛美のお手伝いができます」と申し出てくれて、急きょ、特別賛美の手配が決まったことがありました。

私の初めてのイスラエル聖地旅行は、タイのバンコクからヨルダンのアンマンに飛び、アンマンから陸路、イスラエルに入るというコースでした。結構な長旅でしたが、隣の席の方はユダヤ人女性でした。初めてイスラエルに行くという話をしますと、見所を説明し、簡単なヘブル語のあいさつを教えてくれました。おかげで退屈することなくフライトを楽しむことができました。イスラエルに行ってから習ったあいさつを口にすると現地の人はびっくりしましたが、隣の席の人がユダヤ人だったという話をしますと、喜んで受け入れてくれました。

幕末に薩摩の若きサムライたちが香港経由で欧州に向かいました。昔は船旅で数カ月かけて旅をしていました。しかし、ゆったりとした時間の中で英会話に慣れ、テーブルマナーも学ぶことができたのではないかと思います。長い船旅のおかげで到着したときにはスムーズに現地の生活に溶け込めていけたのではないかと想像できます。

今日の社会は航空機が発達していますので、数時間のうちに他国に移動できるようになりとても便利ですが、時差ボケがあったりして肉体には不都合なのではないかと思います。船旅であれば、体は徐々に慣れますし、精神的な備えもできます。古代のユダヤ人は2年間という長い時間をかけてシルクロードを徒歩で移動していました。そのゆっくりとした時間の流れの中で旅人は大きな犠牲も払ったことでしょうが、人間的な成長もできたのではないかと思います。

エマオ村に向かっていたふたりの弟子は目がさえぎられていて、同行しておられるイエスに気付かなかったとルカ福音書に記されています。人生の旅路においてイエス・キリストが同行してくださっているのに、不安に陥ったり、嘆いたりしている私の姿とダブってしまいます。ふたりの弟子は、イエスから聖書の手ほどきをしてもらい、語り掛けてもらうことにより励まされ、心が燃やされていきます。

そこでふたりは話し合った。「道々お話しになっている間も、聖書を説明してくださった間も、私たちの心はうちに燃えていたではないか。」(ルカ福音書24:32)

旅先で道連れになり、偶然出会うことで人生の展開が変わってきたように感じることもありますが、すべては神の備えであり、最大の同行者はイエス・キリストであることに気付くときに神への感謝があふれます。

愛する者たちよ。あなたがたにお勧めします。旅人であり寄留者であるあなたがたは、たましいに戦いをいどむ肉の欲を遠ざけなさい。異邦人の中にあって、りっぱにふるまいなさい。そうすれば、彼らは、何かのことであなたがたを悪人呼ばわりしていても、あなたがたのそのりっぱな行いを見て、おとずれの日に神をほめたたえるようになります。(1ペテロ2:11、12)

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穂森幸一

穂森幸一(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

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