「コロナ禍の教会に希望を」 世代間の「架け橋」となった釜山の賛美チームが10カ国語の字幕付賛美動画を公開

2020年9月3日19時10分 記者 : 井手北斗 印刷

新型コロナウイルスの感染防止のため、世界では礼拝中に賛美を歌うことが制限されている国や地域が多くある。そうした地域の教会のために、青年を中心とした韓国・釜山の教会賛美チームが、礼拝中に使用できる賛美動画を制作した。歌詞は韓国語と英語だが、世界中の人々に神の慰めを伝え、共に賛美したいと、日本語を含めた10カ国語の字幕付きバージョンを用意。動画は公開から3週間で計10万回以上も再生された。

賛美動画を制作したのは「イェラム・ワーシップ」。イェラムは、韓国語で「イエスの人」を意味する「イェスサラム」を略したもので、釜山にある大韓イエス教長老会統合教団東莱(トンネ)中央教会(ジョン・ソンフン牧師)の「青年教会」に所属する12人がメンバーとして活動している。2年前から伝統的な賛美歌を現代風にアレンジする活動を始め、教会の青年世代と壮年世代の「架け橋」となる役割を担い、韓国のキリスト教界でも注目を集める賛美チームだ。

今回公開した動画で歌っているのは、ナイジェリアのシンガーソングライター Sinach さんが作詞・作曲した「Way Maker」。2015年にリリースされ、マイケル・W・スミスなど著名なクリスチャン歌手たちもカバーしている世界的なヒット曲だ。道を切り開き、奇跡を起こし、約束を守られ、暗闇を照らす神。その神をたたえる歌詞に希望を見いだし、新型コロナウイルスで苦しむ人々にこの賛美を届けたいと思ったという。

最初はメンバー2人で始まったイェラム・ワーシップ。賛美歌の現代風アレンジを始めたいきさつや、賛美動画「Way Maker」にまつわるエピソードなどを、創設メンバーの1人で代表幹事のキム・ミンチャンさんに聞いた。

――イェラム・ワーシップが誕生したいきさつを教えてください。

日本の教会も同じだと思いますが、私たちの教会にも賛美チームがありました。もともとはメンバーが11人で、ベースやドラム、ギターを演奏する人もおり、フルバンドのような演奏もできました。メンバー同士でけんかすることもなく、仲良く活動していました。しかし、メンバーたちが海外留学や就職、ワーキングホリデーなど、一人ずつ各自の事情で一緒に活動できなくなり、メンバーが2人にまで減ってしまいました。

その時は心も重かったのですが、牧師が慰めてくれ、「つらく思うのではなく、今何ができるかを考えてみよう」と助言してくれました。そして、最近のキーボードにはドラムやベースの音を出せる機能もあることを知り、少数でも活動できるよう、さまざまな楽器の音の出し方を一つずつ学び、2018年4月から活動を始めました。

――伝統的な賛美歌を現代風にアレンジするというアイデアはどう思い付いたのですか?

教会の組織構造に特徴があったと思います。ジョン・ソンフン牧師が1997年に赴任してきてから、青年の集まりを分離しました。一般的によくある「青年部」として分けたのではなく、「青年教会」として分け、青年たちだけで別に集まることができる礼拝堂で、独自に礼拝をささげるようになりました。

しかしこれにより、教会の壮年の人たちと会う機会が減り、どうすれば私たち青年が壮年と一緒に自然な形で礼拝し、コミュニケーションできるかを考えました。壮年の人たちは、ヒルソングなど現代の若者たちが歌う賛美歌を知らない場合もあります。最近は、礼拝の賛美でドラムを使うこともありますが、昔は使ってもピアノだけです。青年と壮年が一緒に礼拝するための新しいものを探す中で、このアイデアが生まれました。

「コロナ禍の教会に希望を」 世代間の「架け橋」となった釜山の賛美チームが10カ国語の字幕付賛美動画を公開
現代楽器にあわせてアレンジした賛美歌アルバム「Hymn Project 今まで過ごしてきたこと」=2018年(写真:イェラム・ワーシップ)

――賛美歌を現代風にアレンジし始めてから、壮年と合同で礼拝をささげているのですか?

普段は青年だけで礼拝することが多いですが、青年たちがメインの礼拝堂に行って一緒に礼拝することもたまにあります。このように時々合同の礼拝をするようになってから、すでに1年がたちました。

――壮年の人たちの反応はどうでしたか?

とても良かったです。私たち青年をとてもかわいがってくれ、「若い人たちが、自分が小さい頃から歌っていた賛美歌を大きく変えないで編曲してくれた。聞き慣れない楽器を使うとしても、最大限自然に聞こえるように配慮している」と受け取ってくださいました。また私たちは、「イエス様を信じない人たちも自然に賛美歌を聞ける」ことを目指しており、壮年の人たちは、これも尊く見てくださいました。

――現代風にアレンジした賛美歌を収録したアルバム「Hymn Project」(韓国語)を発表した後、どのような反応がありましたか?

講演の依頼がたくさん入りました。神学校からもセミナーをしてほしいと頼まれました。多くの人が、私たちの教会と礼拝について尋ねてきたので、私たちが経験してきたことを分かち合いました。釜山から車で1、2時間の距離にある教会からも質問のために訪問しに来てくれた人もいました。

――どのような質問が多くありましたか?

チームに音楽の専門家がいない中、どのように編曲したのか、壮年とのコミュニケーションはどのようにしたのか、などです。

――世代間のコミュニケーションは日本の教会でも課題だと思います。イェラム・ワーシップの働きをする上で、世代間のコミュニケーションがうまくいった理由は何だと思いますか?

私たちの場合は、ジョン・ソンフン牧師が非常に良く仲介してくださいました。また、青年教会の専任長老であるクォン・ジュソク長老にもとても助けられました。クォン長老は私たちと頻繁に会ってくださり、その度に「大変なことはないか」「必要なことはないか」と尋ねてくださいました。青年教会の担当であるジョン・ヒョク牧師も、壮年の人たちとの執り成しをしてくださり、助かりました。

――今回制作した「Way Maker」の賛美動画について教えてください。

青年のみで歌うバージョンと、壮年との合同礼拝で歌うバージョンがあります。この賛美動画を作ろうと思ったのは、新型コロナウイルスにより礼拝中に賛美を歌うことが禁止された教会が海外にあることを知ったからでした。心が痛かったです。どうすれば賛美できない人々に、希望と神様の慰めを伝えられるかを考えました。

動画には、互いに距離を保ったままマスクをして賛美する姿が映っています。その理由は「コロナのために、私たちはマスクを着用して距離を置きますが、マスクをしても私たちの賛美は防げられず、互いに距離を置いても、私たちと神様の間の距離を遠ざけることはできない」というメッセージを、映像を通して伝えたかったからです。

――外国語の字幕を付ける作業はどのようにしたのですか?

私たちの周囲に外国語を専攻する学生がいました。彼らに助けてもらいました。日本語の字幕は、イェラム・ワーシップのメンバーのお姉さんに日本語ができる人がいたので、その人に頼みました。彼女は教会に行く人ではなかったのですが、日本の人たちの助けになるからと言って頼んだら引き受けてくれました。

――現在は字幕を付ける形で配信していますが、日本語を含め他の言語で歌う予定はありますか?

はい。まずは英語でオリジナルの曲を作ろうとしています。別の言語で歌うとき、歌詞の意味を理解してくれるのか心配もあります。日本語もそうですが、よく伝わらないといけませんから、他の国の言語も勉強しつつ創作してみたいです。また、海外に短期宣教に行き、その国の言語で一緒に賛美するという夢もあります。

「コロナ禍の教会に希望を」 世代間の「架け橋」となった釜山の賛美チームが10カ国語の字幕付賛美動画を公開
東莱中央教会の担任牧師、青年牧師、青年教会長老とイェラム・ワーシップ=2020年(写真:同上)

――最後に日本の教会へメッセージを。

信仰の先輩の方々一人一人が、自信を持ってその道を歩んでくださればと願っています。もちろん、自信を持って歩まれている方も多くおられると思います。これまでの日本のキリスト教を引っ張ってこられたのですから、自信を持って歩まれるとき、私たち韓国の教会も日本の教会からよく学べると思います。若い人たちもその姿を見ることで、神様を信じる信仰者として力強く歩め、キリストの香りを放ち、多くの人たちにイエス様を伝えることができるのではないでしょうか。困難なこと、大変なことがあっても、私たちは一人ではありません。私たちも韓国で祈っていますので、ぜひ自信を持ってこの道を一緒に歩みましょう。

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