創文社解散、既刊書を講談社がオンデマンド出版 「神学大全」絶版免れる

2020年7月13日13時15分 印刷
+創文社解散、既刊書は講談社がオンデマンド出版へ 「神学大全」絶版免れる
創文社出版のトマス・アクィナス「神学大全」。同社出版のものは全45巻に上る。(写真:BITBOOK)

6月末で解散した学術書の老舗出版社「創文社」(東京都千代田区)の書籍の多くが、出版大手の講談社(同文京区)から「創文社POD叢書(そうしょ)(仮)」として、オンデマンド出版されることになった。創文社で出版してきたトマス・アクィナスの「神学大全」(全45巻)などが絶版を免れることになる。さらにオンデマンド出版に伴い作成したデータを利用し、電子書籍も同時に配信するという。創文社がホームページで明らかにした。

同社の発表によると、オンデマンド出版の対象は、権利者の同意を得られた同社出版の全書籍。ただし、東京大学出版会への引き継ぎが決まっている「ハイデッガー全集」など、他社で出版が決まっている書籍は除かれる。

注文のつど、本を一冊ずつ製作するプリント・オンデマンド(POD)形式で出版される。また判型、ページ数は原本と同じだが、ソフトカバーとなる。従来書籍に劣らない高精度レーザープリンターで印刷され、販売価格は原本の最終価格と同程度となる。ただし、原本の絶版時期が古く、現在の物価との乖離が大きい場合は、ページ数などを考慮して適正な価格を設定するという。当面は、通常の書店ルートでは販売せず、専用サイトで注文を受け付け、直接読者に発送する形態を採る。

オンデマンド出版のデータを利用した電子書籍も同時配信されるが、いわゆる「フィックス型」となり、本文検索などはできない。

1951年創業の創文社は、約70年近くにわたって人文科学・社会科学を中心とした良質な学術書を多数出版。戦後日本の文化を根底から支える役割を果たしてきた。解散により、これらの書籍が絶版となるのは「極めて甚大な文化的損失」だとし、両社で協議を重ねてきたという。

講談社は、「講談社学術文庫」を拡大印刷して出版する「大文字版オンデマンド」を2018年11月から提供するなど、オンデマンド出版の実績がある。最近は、技術革新によりオンデマンド出版を取り巻く環境も十分整備され、印刷の精度や入手のしやすさなど、実用に十分耐え得る水準のサービスが提供可能だという。

なお、「ハイデッガー全集」の創文社既刊書は今秋、東京大学出版会からオンデマンド出版され、第15巻『ゼミナーレ』と第16巻『演説と人生行路のその他の証言』は今冬に同会から出版される予定。

関連記事

クリスチャントゥデイからのお願い

いつもご愛読いただき、ありがとうございます。皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。記事の一つ一つは、記者や翻訳者、さらに編集者の手などを経て配信されているものです。また、多くのコラムニストや寄稿者から原稿をいただくことで、毎日欠かすことなくニュースやコラムを発信できています。

この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、読者の皆様にはぜひ、祈りと共に、毎月定期的にサポートする「サポーター」として(1,000円/月〜)、また単発の「サポート」(3,000円〜)によって応援していただきたく、ご協力をお願い申し上げます。支払いはクレジット決済で可能です。申し込みいただいた方には、毎週のニュースやコラムをまとめた申込者限定の週刊メールマガジンを送らせていただきます。サポーターやサポートの詳細、またクレジットカードをお持ちでない方はこちらをご覧ください。


文化の最新記事 文化の記事一覧ページ

新型コロナウイルス特集ページ

人気記事ランキング

おすすめのコンテンツ【PR】

コラム

主要ニュース