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ギャンブル依存に思うこと 「パチンカス」生活の果てに

2020年6月9日16時23分
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関連タグ:依存症
ギャンブル依存に思うこと 「パチンカス」生活の果てに+
パチンコ玉がいっぱい入った「ドル箱」(写真:MichaelMaggs)

320万人――厚生労働省の2017年の調査で明らかになったギャンブル依存症経験者の全国推計値である。その中でも最もお金を使ってしまったというのがパチンコ・パチスロで、調査では7割超の人が該当した。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下では、休業要請に応じないパチンコ店や、県境を越えても開店中のパチンコ店に出向く人たちの姿がメディアで取り上げられた。伊藤慎也さん(仮名)も、数年前までは年中パチンコ店に出向いていた一人だ。クリスチャンであるが、ある時から強度のパチンコ依存症者「パチンカス」(「パチンコをするカス」の意味)となってしまった。この数年はまったくパチンコ店に行かないほど回復したという伊藤さんの寄稿を掲載する。

◇

ギャンブルは、エンドルフィン(脳内の神経伝達物質)を無理やり絞り出す、どう考えても不幸かつ超高級な消費行動である。ギャンブル中毒者はエンドルフィンで前頭葉をじゃぶじゃぶにするため、1枚、2枚、3枚と万札を投入していく。万札はすでにギャンブルをするための魔法の紙切れにすぎず、その紙幣1枚で食べきれないほどの黒毛和牛ロースが交換可能であることなどすっかり忘れている。またその紙幣1枚を得るための労働がいかに大変であるかも想像できなくなっている。その日のその瞬間のほんのひと時の快楽として、エンドルフィンを獲得するための手段となった紙幣を投入し続けるのである。

私にとってギャンブルとはパチンコであった。初めてパチンコに行ったのは高校3年生の夏休みだった。友達に誘われて繁華街にある店に行った。むろん、学生服で行くわけもなく、せいぜい大学生に見えるくらいの格好で行った。400円もあればラーメン1杯を食べられた時代に、財布に1200円を入れてパチンコ店に行ったのを覚えている。40年も前の話だ。

当時のパチンコは電動ではあったが、いわゆるチューリップ台である。玉貸し機も各台に設置されていないから、カウンターに設置されている玉貸し機まで行って、一度に400円分くらいを購入した。今のパチンコ台なら、あっというまに吸い込まれてなくなる金額だが、当時なら数十分単位で遊べたように思う。出玉を貯蓄する箱も今よりずっと小さく、満タンになって換金しても2千円程度だ。それでも満タンになれば誇らしかったし、十分な量のエンドルフィンが分泌されていただろう。

とはいうものの、その箱を満タンにするには1時間くらいは必要だったと思う。初めてのパチンコでは結局800円くらい「すった」と思うが、いけないことをしているという罪悪感よりも、大人の世界に足を踏み込んだワクワク感が強かった。むろん、高校時代は冒険心でパチンコに行ったのであり、「稼ぎに行く」という感覚はまったくない。800円をゲーム機に投入したくらいの気持ちしか持っていなかった。高校卒業までに数回は行ったと思うが、まあ、それだけの話しである。

1981年に大学受験失敗、予備校生になる。文系だったのであんまり勉強しない。ありがちな道として10月くらいまでは予備校をサボってパチンコ店に入り浸る。パチンコ規制が緩くなっていわゆる「フィーバー台」が登場する。現在のデジタルパチンコである。一度大当たりをすれば大きな箱(当時はドル箱と呼ばれていた)が満タンになる。換金すれば1万円強。導入当初は宣伝のためだろうか、とにかく勝てた。数百円で当たりが来た。新台入れ替えの時は3時間くらい平気で並んでいたわけで、そしてとにかく勝てた。数カ月で15万円くらい貯金ができたが、その代わりに失った勉強時間は数百時間ではないか。今から考えれば惜しいことをした。その時期からパチンカス道へ徐々に進んで行くことになる。

京都での学生時代、名古屋での社会人時代、パチンコ店通いは週に2回程度、使う金額は月に2万円以下、お小遣いの範囲といえる程度。歳を重ね自由に使えるお金が増えるに従って月々の負けが3万円くらいまで増えるが、一度に使う金額はまだ2万円くらいが限度であり、負ければ悔しい気持ちがあった。あるいは帰宅後にかなり落ち込むということもあった。次の日に取り戻しにいくとかそういうことはなかったし、何よりパチンコのために仕事を休むとかまったくそういう感覚はなかった。

パチンカスが開花したのは2004年ごろ、パチスロ爆裂機が登場した頃である。「パチスロ北斗の拳」「パチスロ吉宗」などにどっぷりと浸かっていく。この頃のパチスロは運がよければ半日15万円くらい勝てた。また遊技機そのもののゲーム性が面白く、射幸心を過度に引き出せるようなものであった。他にもアニメや人気ドラマのキャラクターをうまく取り入れ、遊技者がのめり込む要素がふんだんに施されていた。恐らく遊技機メーカーにおいては、ギャンブル心理を研究し尽くし、ギャンブラーが離れられないような心理を作り出していたと思う。

投資するお金も5万円くらいは当たり前になったし、それくらいなら負けても悔しいという気持ちにならなかった。負けても「明日また打ちに行きたい」という気持ちが湧いた。夢の中でさえも遊技していることがしばしばあり、パチンコ店の異常な雑音が耳の中でいつまでも続いているような感覚である。ギャンブル依存の世界では「脳が溶ける」という表現がなされるが、まさに毎日がそういう繰り返しであった。

ついでにいうと、パチンカス時代に結構重度の躁うつ病を発症した。パチンコとまったく因果関係がないとは思えないが、こっちは主に仕事が原因かもしれない。躁うつ病を発症したから、パチンコにのめり込んだというのも事実であろう。とにかく仕事をサボっても、約束事をドタキャンしてもパチンコに行きたい、行きたいの毎日であった。同時に毎日の酒量が増えた。ビール換算で5本くらいだ。

その頃の月々の負けがいくらだったのかは思い出しようもないが、3年で数百万円の損失を出した。1千万円にいかくかいかないかだ。当然、自分のお小遣い程度ではない。妻のクレジットカードから来る日も来る日もお金を引き出してはパチスロにつぎ込む毎日である。いろいろとごまかして、妻には残高は絶対に伝えない。仮にばれたとしても「働き盛りは税金やら保険料が高いからお金は貯まらない」と言えば納得してもらえた。

勝てば祝い酒、負ければやけ酒である。そんな毎日である。家族関係も崩壊し、仕事もうまくいかず、ただパチスロだけが友達という人生である。ギャンブル、酒、タバコ、脳が溶ける、金がなくなる。それでも正月朝8時からパチンコ店に並び、大晦日の夜11時まで打ち続ける。自分自身の中に「惨めな」気持ちが存在する一方で、ギャンブルにのめり込む自分を自分で赦(ゆる)し続けるという不思議な人生であった。

パチンカスの罪悪は一言で言うなら、家庭破壊であり、借金問題(私は妻の貯金でパチンコをしていたので借金はしていない)であり、健康被害である。家庭破壊は、金銭的な面がもちろん大きいが、パチンカスの暴言や暴力もまた大問題である。今でもリビングのドアには大きな穴が開いたままだし(過ちを忘れないためらしい)、家族は暴言について忘れることはない。離婚には至らなかったが、その時は正直、家族はどうでもよかった。パチスロにのめり込む自分だけが大切であった。失った時間、金、そして家族の不信感は取り戻せない。かもしれないし、取り戻せるかもしれない。

2010年以降は年に数回程度、パチンコに行ったものの、今はとりあえず3年ほどまったく行ってない。最大の理由はタバコの煙を体が受け付けないからだ。今年4月からパチンコ店も禁煙になったらしいが、行きたいという気持ちはない。また、繰り返されるパチンコ規制によって2004年ごろと比べれば射幸性が少なくなったというのも大きい。何よりも妻のクレジットカードを没収されたからお金がない。

パチンカス人間ではあるが、家族には申し訳ないと心から反省している。パチンカス生活の中断とともに酒カス生活も中断したのは、まあ少しは自慢したい気持ちである。パチンカスの道のりは、大体皆同じという指摘がある。薄っぺらい人生だったと思う。

パチンカス生活まっただ中の時、私自身は家族の絆をまったく大切にしていなかったし、あまり罪悪感もなかったが、一言で言えば、家族に恵まれていたと思う。私の家族は両親、妻共にクリスチャンであるが、信仰的に私を正すというのではなく、忍耐して回復を待ってくれた。私はもともと依存体質があり、いわば心が弱い人間である。そのような私にとっては、「待っている」という家族の姿勢は今の依存中断に至る大きなキーワードかもしれない。放蕩息子を待つ父親の姿は、現代家族の中にも生きているのであろう。

パチンカス、躁うつ、酒カス時代の末期、自分自身を「私はレギオン(悪霊)に取りつかれた男だ。レギオンに取りつかれ、墓場で叫び、うろつき回っている男だ」と感じていた。しかしそれでも、イエスという人がいるなら、レギオンと化した自分も諦めずにいられると思うのである。

関連タグ:依存症
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