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鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの生涯

鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの生涯(6)戦火の中の救出作業

2020年4月22日16時57分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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1861年。平和な町はたちまち大混乱に陥った。南北戦争が始まったのである。青年たちは次々と駆り出されて戦場に出て行った。射撃は絶え間なく繰り返され、人々は逃げ惑い、学校、病院、公民館、その他多くの建物が爆破された。戦場には傷ついた兵士たちが横たわり、苦痛の呻きは野原にこだました。

アンドリューはこの時、陸軍次官に任命されたスコット氏の補佐官として呼ばれ、ワシントンに行った。そこで軍用鉄道と政府の電信通信の全責任を任せられ、鉄道部隊を組織して率いなくてはならなかった。

そうしているうちに早くも緊急指令が入ってきた。北軍の最初の部隊がボルティモアを通過する時襲撃され、ボルティモアとアナポリス間の鉄道が寸断されてしまったためにワシントンとの連絡が途絶えてしまったのである。アンドリューたちは直ちに部下を率いて現場に向かった。

線路は無残に破壊されていた。まずやるべきことは線路を修復し、部隊がここを通ってワシントンに進めるようにすることだった。数日かかって修復を終え、自分たちが直した線路を通ってワシントンに向かった。

もう少しでワシントンに入るという時であった。電線が木の棒で地面に止めてあることに気が付いたアンドリューは、機関車を止めて飛び降りた。そして走ってゆき、力任せに棒を引き抜いた。その瞬間、それが跳ね返って激しく彼の頰を打ったので転がり、傷口から血がほとばしり出た。部下たちは心配して直ちに応急処置をしてくれた。早速運転は部下が代わり、そのままワシントンに入った。

ワシントンの人々は温かく一行を迎え、労をねぎらってくれた。「アンドリュー・カーネギーさんに敬礼!」一人が彼のけがを見て言うのだった。「彼はアメリカのために血を流した」。そして、彼らはワイワイ騒ぎながら、アンドリューを抱きかかえるようにして知人の家に行った。そこで一同大いに歓待を受けたのだった。

そのうち、戦争はますます激しくなった。陸軍本部はバージニア州アレキサンドリア町に移った。ここにはブル・ランの戦場があり、激しい爆撃を受け、死者や負傷者が野山を埋め尽くすほど横たわっていた。そこへ、緊急指令が出て、一番近いバーク駅まで負傷兵を運ぶことになった。

直ちにアンドリューたちはバーク駅に向かい、負傷兵を片っ端から入ってくる列車に乗せた。そのうちに爆撃の回数が増し、駅の近くにも砲弾がバラバラ落ちてくるほどになった。これ以上留まることができなくなったので、ひとまずバーク駅を立ち退き、アレキサンドリアまで引き返すことにした。

鉄道従業員の中には職場を放棄して逃げ出してしまった者も数多くいた。しかし、アンドリューの部隊には一人の脱落者もなかった。本部からは、「いよいよ危険が迫ったら引き上げてよい」という指令が出た。この時、アンドリューはふとつぶやくのだった。(ブルース国王よ、ウォーレス将軍よ、私もあなたがたのように雄々しい心を持って、危険にさらされようとも断じて自分の持ち場を守ります)

彼は再び部下を励まし、滞っていた負傷者の救出活動に乗り出した。彼らは最後まで危険なブル・ランの戦場に留まり、自分たちの持ち場を守ったのであった。

ついに最後の負傷兵の一人を列車に乗せ終え、点呼を取ると、彼らは最終列車で引き上げることにした。勇敢なメンバーのうちの誰一人として負傷した者はいなかった。

アンドリューの部隊はワシントンに帰り、スコット大佐と共に陸軍省の中に本部を置くことになる。この時、リンカーン大統領がしばしば事務所にやってきては隊員のメンバーに気さくに言葉を掛け、激励するのだった。

そんなある日。アンドリューは忘れられない光景を目にした。事務所を出た所で、一人の黒人少年がやってきて、リンカーン大統領の足元にひれ伏し、両手でその足をかき抱いたのである。大統領は優しく微笑し、「マイ・サン(私の子よ)」と言った。

しかし、その大統領の顔は悲しげで深い憂いの影に包まれていたので、彼は胸を突かれた。大統領は苦しんでいたのだ。奴隷解放の代償として流されたおびただしい血。何千何万という若者が命を散らしていることへの責任に打ちのめされていたに違いない。アンドリューは心から彼をいたわってあげたい思いになるのだった。

それから間もなく戦争は終わった。この時、彼は戦争で受けた精神的、肉体的疲労が原因で病気になってしまったので、やむなく休暇を取り、静養のために故郷スコットランドに帰ることになった。故郷は彼の病み衰えた心身を温かく覆ってくれるかのようであった。

*

<あとがき>

南北戦争はアメリカに癒やしがたい傷を残しました。それは、ようやく実業界において成功の足場を登りかけたアンドリューの生活にも打撃を与えるものでした。彼は陸軍次官に任命されたスコット氏に付き従ってワシントンに行き、戦火のために寸断された軍用鉄道の修復工事に従事します。

やがて戦火が激しくなってくると、彼は部下を率いてブル・ランの戦場に赴き、負傷兵の救出活動を行ったのでした。この時も、アンドリューはビジネスに対してそうしたように、少しでも人のために役立ちたいという思いを胸に、誠意を込めて働きました。

彼の心の中には今も英雄たちの雄々しい心と姿が焼き付いていたのでしょう。決して持ち場を離れることなく、負傷兵の最後の一人を列車に乗せ終えるまで引き上げようとしなかったのでした。彼にとってはビジネスも救出活動も同じことで、一つの信念に貫かれていました。それは、「自分を愛するように隣人を愛しなさい」という聖書の教えでした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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