Skip to main content
2025年9月4日23時03分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの生涯

鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの生涯(5)苦労の末の幸せ

2020年4月8日17時26分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷

アンドリュー・カーネギーは20歳の誕生日を迎えた。この頃には彼の周りに6人の青年たちが集まり、一緒に働き、一緒に遊び、時間のたつのも忘れていろいろな議論をして過ごした。彼らは考え方がすべて一致し、離れることができなかったので、一つのサークルを作ることになった。そして、どこかに根拠地を決めたいと思ったが、なかなかふさわしい場所がなかった。

そのうち、彼らは近くの長老教会のマクミラン牧師と知り合いになった。この牧師は青年が大好きで常にその活動を助けていたので、相談するとすぐに牧師館を使わせてくれた。そして、マクミラン牧師も彼らの仲間に加わり、聖書のこと、人生、生と死などについて話し合った。

夫人は手作りの菓子をいつでも用意していて彼らに出し、彼らが食べ散らかしたままあたふたと帰った後、その後始末を嫌な顔一つせずしてくれるのだった。アンドリューはここに出入りするうちに初めて死の問題を深く心に留め、人は死んでも財産や名誉を天国に持っていけないことを知ってむなしい思いになるのだった。

そんな時、事件が起きた。仲良しメンバーの一人、ジョン・フィリップスが馬から落ちて死んでしまったのである。一同は彼のために嘆き悲しみ、中でもアンドリューは食事も喉を通らないほど泣き通した。その時、マクミラン牧師は牧師館に彼らを集めて、こう語った。

「ジョンは生まれ故郷に帰ったようなものなんだよ。あとしばらくしたら、私たちもみんな彼のあとに続いて天国に入り、そうしてそこで一緒になることができるのだ」

この言葉は、忘れることのできない感動をアンドリューに与えた。彼は、この時初めて永生の信仰に触れ、仲間と共にキリストの福音を信じたのだった。この頃には彼の家族の生活ぶりも良くなっていた。彼自身の給料も月40ドルに上がっていたし、少しずつ蓄えていたお金もずいぶん溜まっていた。

そこで家族は話し合い、家が2軒建っている土地を買うことになった。そして一軒にカーネギーの家族が住み、もう一軒に苦しい時代に世話になったエートケン叔母に住んでもらうことにした。ホーガン叔父は当時他に土地を見つけて住んでいたが、後にカーネギー一家が別の所に引っ越したとき、あとそっくり家を使ってもらったのだった。

こうして、ようやく昔の労苦を忘れられると思っていたときに、突然悲しみが一家を襲った。1855年10月2日。父親のウィリアムが死んでしまったのである。残された母親と2人の息子は、涙のかわく間もなく、それぞれの仕事に精出すことになった。

父の死によって、全家族の責任がアンドリューにのしかかってきた。弟のトムは、公立の学校に通っていたが、やめて働くと言い出した。しかし、母親は今まで通り仕事を続けたし、アンドリューも月40ドルもらえるようになったので学校だけは続けるように説得し、トムは学業を続けた。

この頃、スコット氏が株の話を持ってきた。駅に出入りしている人がアダムス運送会社の株を持っているから、もし500ドルの持ち合わせがあったらこれを手に入れてあげるというのである。一瞬ためらったが、スコット氏の好意を無駄にしたくないので、母と相談し、買ったばかりの家を担保にお金を借りた。それをスコット氏に渡すと、氏は10株の券をアンドリューにくれた。

「いいかね。アダムス運送会社は今伸びつつあるから株も上がり、月々配当金があるよ」。スコット氏はにこにこして言った。その言葉どおり、毎月決まって配当金が届けられ、アンドリューの家族を潤したのだった。

1859年。スコット氏はペンシルバニア鉄道会社の副社長に昇格し、事務所はフィラデルフィアに決まった。アンドリューは彼と別れたくなかったので、自分も辞めようかとさえ考えた。すると、スコット氏は彼を自分の部屋に呼んで言った。

「どうだろう、ピッツバーグ管区を引き受ける気はないかね? まだ主任のポストが決まっていないので、君を推薦したいのだが」。アンドリューは少し不安になったが、やってみますと答えた。こうして彼は、24歳でピッツバーグ管区を治める主任となったのだった。

今までスコット氏が使っていたT. A. S. の代わりに彼の頭文字A. C. がピッツバーグとアルテューナ間のすべての指令に署名されることになったのである。仕事上やむを得ず、ピッツバーグ街に適当な家を見つけて引っ越したいと考えていたところ、会社の貨物係の人がホームウッドに一軒の家を紹介してくれた。

広い庭、近くには森や小川があり、花が咲き乱れ、空気は澄んでおり、まるで天国のように思えた。ここにカーネギー一家は移り、ようやく母も今までの苦労が忘れられたのだった。

*

<あとがき>

長老教会のマクミラン牧師について、アンドリューはあまり多くは語っていませんが、この人物は彼の人生の中で重要な役割を果たすことになります。マクミラン牧師と出会ったことにより、初めてアンドリューは永生の信仰を持つことができ、死の恐怖に打ち克つことができたのでした。

きっかけは、彼が落馬して命を落とした友人の死を嘆き悲しんでいたとき、マクミラン牧師はこう言って慰めました。「ジョンはいわば、生まれ故郷に帰ったようなものなんだよ。あとしばらくしたら、われわれもみんな彼のあとについて天国に入り、そこでずっと一緒にいられるんだ」と。

このマクミラン牧師は、その温かな人柄と、どんな人をも受け入れる広いふところを持っており、教会関係者のみならず、町の人々からも慕われていたといわれています。後になって、アンドリューが自分の富の分配を行ったとき、一番初めにこのマクミラン牧師に返礼をしたのでした。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
  • ツイート

関連記事

  • 太平洋の橋―新渡戸稲造の生涯(1)稲穂のように

  • ヘボンと日本語訳聖書誕生の物語(1)プロローグ―漂流する聖書

  • 戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯(1)叫び求める声

  • 混血児の母となって―澤田美喜の生涯(1)男まさりの子

  • 生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯(1)動物の苦しみ

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 花嫁(32)愛というレンズで 星野ひかり

  • 私の名を使って(その3) マルコ福音書9章38~41節

  • キリストの道 穂森幸一

  • 「信仰の実践としてのスピリチュアルケア」 オリブ山病院で第3回臨床牧会教育

  • キリストの心と思いが与えられている恵み(2)心が人生を決める 加治太郎

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(242)聖書と考える「DOCTOR PRICE」

  • ウェールズ聖公会、首座主教にレズビアンの女性主教選出 保守派からは強い批判の声

  • サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(27)希望のかけらも残らずに

  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • ウェールズ聖公会、首座主教にレズビアンの女性主教選出 保守派からは強い批判の声

  • 牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(前半)悪魔の起源 三谷和司

  • 米カトリック教会で銃乱射事件 ミサ参加中の付属学校の子どもら2人死亡、17人負傷

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(後半)救いの計画 三谷和司

  • ウクライナ、米大衆伝道者フランクリン・グラハム氏に勲章授与 人道支援を評価

  • アフガニスタン東部地震、死者1400人超 ワールド・ビジョンが緊急支援募金開始

  • DVを受けた人のための礼拝「やすらぎ」 第1回、東京・吉祥寺で9月28日

  • 21世紀の神学(30)伊藤貫氏が提唱する古典教育とセオセントリズムの復権 山崎純二

  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • ウェールズ聖公会、首座主教にレズビアンの女性主教選出 保守派からは強い批判の声

  • 牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも

  • ウクライナ、米大衆伝道者フランクリン・グラハム氏に勲章授与 人道支援を評価

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(前半)悪魔の起源 三谷和司

  • 米カトリック教会で銃乱射事件 ミサ参加中の付属学校の子どもら2人死亡、17人負傷

  • アフガニスタン東部地震、死者1400人超 ワールド・ビジョンが緊急支援募金開始

  • DVを受けた人のための礼拝「やすらぎ」 第1回、東京・吉祥寺で9月28日

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(後半)救いの計画 三谷和司

  • 21世紀の神学(30)伊藤貫氏が提唱する古典教育とセオセントリズムの復権 山崎純二

編集部のおすすめ

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 「罪のない赤ちゃんを殺さないで」 東京でマーチフォーライフ、中絶の問題を訴え

  • 教育改革が「日本のリバイバルにつながっていく」 牧師の金子道仁参院議員が講演

  • いのちの言葉聖書学校、日本語クラス2期生7人が卒業

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.