教会ができる新型コロナ対策、WEAが米疾病予防管理センターの指針もとにガイドライン

2020年3月29日23時50分 印刷
+世界福音同盟(WEA)

世界福音同盟(WEA)開発支援部の「新型コロナウイルス・グローバル・タスクフォース」議長のデイビッド・ボーアン氏は20日、「地域の信仰共同体による危機緩和のためのガイドライン」(英語)を発表した。

このガイドラインは、WEAが新型コロナウイルスに対応するために作成した特設サイト(英語)に掲載され、教会自身が取るべき対応策を示すだけでなく、貧困層や社会的弱者のために、教会が取り得る支援の方策を提示している。米疾病予防管理センター(CDC)の指針と、医療の質向上に長年携わってきたボーアン氏の経験に基づいて作成したという。

CDCの指針(英語)は、「個人・家庭」「学校・保育」「介護施設」「職場」「社会グループ・宗教団体」「保健施設」の6つの現場ごとに、また感染拡大の状況を、個別感染が確認されるなどした「初期段階」、地域内に感染が広がる「中期段階」、医療機関がまひするほど感染が拡大した「末期段階」の3つに分けて、それぞれの現場・感染拡大状況に応じて取るべき行動を列挙している。WEAのガイドラインは、CDCの指針から「個人・家庭」「教会(地域グループ・宗教団体)」「保健施設」の3項目を抜き出し、各項目にWEAによる「教会や教団への推奨事項」を並べた対照表の形式を採っている。

1. 個人や家庭のために教会ができること

CDCの指針では、個人や家庭において、感染拡大の初期段階では次の項目を推奨している。

  •  自分の地域の感染状況に関する情報源を把握する
  •  新型コロナウイルスに感染した場合の症状を知り、症状が自分や家族に表れた場合、どうすべきかを把握しておく
  •  自宅への訪問者を制限する
  •  感染した場合、重症化しやすい人がどういう人かを知り、必要な対策を取る
  •  外出を控え、手を洗い、手の触れる場所を清潔にするなど、個人で実施可能な対策を取る
  •  家族内で感染者が出た場合の行動計画を事前に考えておく
  •  2週間分の食料、医薬品、必需品などをそろえる
  •  親族、友人、同僚などとの連絡手段を確保しておく
  •  テレワーク、子どもの世話、行事の中止などを想定した計画を作る
  •  学校、職場、家庭で緊急時にどういう手順で行動するかを把握する

その上でボーアン氏は、教会や教団が、所属する個人や家庭のためにできることとして、教会が立地する地域の住民や教会員がどれくらいこれらの推奨事項を理解しているかを把握し、これを行動に移すように促すことを挙げている。特に、個人や家庭がどう行動すべきか分かっていたとしても、実際に行動に移せるかどうかはまた別の問題であることを、教会が認識した上で支援するのが肝心だとしている。

また、緊急時の行動計画を知ること自体は初めの一歩にすぎず、これを収入の少ない個人や家庭の現状に合わせて適応させていくことが最も重要だという。地域の雇用者が緊急時の行動計画を実際に適応させた場合、どのような影響が教会と地域社会に及ぼされるかを考えておくことが、教会の取り得る行動になる。障がい者や、近くに家族・親類がいないなど地域から孤立している人たちには支援が必要となるが、教会がボランティアを募ることでこれらの人々の安否を把握することも考えられる。

2. 教会自身と地域社会のためにできること

CDCは、教会などの宗教団体や社会グループが取るべき対応として、初期段階においては、地域の感染状況や感染した場合の症状と対応法、重症化しやすい人への対応法などの把握といった「個人・家庭」で推奨している内容に加え、次の項目を挙げている。

  •  重症者が出た場合に備え、行動計画がない場合は作り、すでにある場合でも見直して改善する
  •  スタッフや会員には在宅を勧め、具合が悪いときは組織のリーダーにこれを知らせる
  •  スタッフや会員に、個人レベルの防疫方法の実践を勧める
  •  施設内で人がよく触れるようなところを毎日清掃する
  •  建物内に消毒用のアルコールを置き、手の消毒ができるように備える

ボーアン氏は、教会の行動計画については、初期段階においては、助けが必要な人を助けることに主眼を置いた計画を立てることを推奨している。またそのために、▽学校や病院、社会福祉事業所などと連携して社会的弱者を把握する、▽地域内の医療アクセス・教育・経済の各格差の実態から不利な立場にいるのはどのような人たちかを割り出す、ことであらかじめ誰を支援するか目星を付けておくことを勧めている。特に、▽ひとり親家庭、▽外国人(特に現地の言葉に不慣れな人)、▽障がい者のいる家庭、など著しい困難を伴う人々への配慮が必要だとしている。

一方、中期段階においては、CDCは教会などに対し次の項目を行うよう求めている。

  • 礼拝を含め、人々が集まる集会数を減らし、ビデオや音声で提供するなど、社会的距離の確保を実行する
  • 団体行動・接触は控えつつも、重い病気を患いリスクが高まっている人々に対し、食事の配達や容態の確認など支援する方法を特定する
  • 大規模な集会(250人以上が目安)の中止、あるいは規模縮小
  • リスクが高い人々と関わりのある組織は、10人以上の集会の中止

ボーアン氏は、中期段階においては社会的距離の確保がさらに重要になると言う。教会が、社会的距離の確保を実践する姿を見せることで、地域社会に模範を示すべきだとしている。

CDCの指針では、末期段階になると、あらゆる規模の集会、宗教行事の中止が求められている。ボーアン氏は、会堂での礼拝を中止することは、経済的側面も含め、さまざまな点で教会にとって負担になると話す。しかし、教会はなおインターネットなどを通して連絡を取り続けることは可能で、代替的な方法を模索することが求められる。また、近隣の教会が互いに助け合うことも推奨している。例として、礼拝のビデオストリーミングができない教会を、すでに行っている近隣の教会が助けることを挙げている。

3. 教会が地域保健のためにできること

保健機関と地域の信仰共同体の間で連携が取れている場合は、そうでない場合に比べて感染拡大をより成功的に抑えることができるという。ボーアン氏は、「教会は地域保健のファシリテーター的役割を担っていると考えるべきであり、また医療機関に対しては地域社会の代理人としての行動を伴うべき」と語る。

地域によっては、家庭から入院者が出た場合、家族にそれなりの負担が強いられることから、そうした点で教会には支援できる余地があるという。ボーアン氏は、入院者が出た家庭の支援のほか、入院者が出た場合の感染防止方法に関する教育を教会員に提供したり、院内感染防止のための教育を保健機関と協力して地域に提供したりすることを挙げている。

また人々の健康は、時には恐怖心や不信、うわさによっても損なわれる場合があると指摘。保健機関やウイルス自体についての有害なうわさや不安の高まりが生じた場合、教会は事実や証拠を示すことで、これらを打ち消すメッセージを発することができる。ボーアン氏によると、今年11月の米大統領選を意識して、「感染が広がり人々が投票に行かなければ、選挙は中止される」といったものや、「ウイルス騒ぎは本物ではなく、実は医療機関が金儲けのためにやっている」などのうわさがすでに流れているという。

ガイドラインの原則と地域ごとの適応

ボーアン氏が示したガイドラインは、原則として、早期の封じ込めが爆発的感染の抑制に必要であることを述べている。しかし、一般的に推奨されている封じ込め方策は、経済的・社会的資源の乏しい人たちにはそのまま適応することができない。そのため、教会が地域の状況に合わせて、貧困層や社会的弱者に追加的な支援をする必要があるとしている。またこのガイドラインは主に欧米の教会を対象として書かれたものであり、貧困地域の教会向けのガイドラインも別途作成しているという。

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