Skip to main content
2021年1月22日16時25分更新
Go to homepage
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 社会
  3. 地震・災害
東日本大震災(3・11)

キリスト教と防災(2)「逃避の神学」から「解放の神学」への回心

2020年3月11日23時21分 執筆者 : 岩村義雄
  • ツイート
印刷
関連タグ:東日本大震災(3・11)西日本豪雨神戸国際支縁機構(KISO)岩村義雄(Yoshio Iwamura)
キリスト教と防災(2)「逃避の神学」から「解放の神学」への回心+
九州北部豪雨で大きな被害を受けた福岡県朝倉市杷木松末(はきますえ)=2017年7月7日

2011年3月11日に東日本大震災が発生してから、11日で満9年となりました。この9年間、神戸国際支縁機構は毎月、被災地の東北を訪れボランティアを続けてきました。震災9年に当たり、同機構理事長で神戸国際キリスト教会牧師の岩村義雄氏が、「キリスト教と防災」をテーマに、昨年12月14日に関西学院大学で語った講演内容を一部編集して全3回に分けて掲載します。(第1回・第3回)

◇

1. 被災者の思いに鈍感な教会

日本のキリスト教会は、これまでのキリスト者たちが残した霊的遺産の恵みに満足しています。しかし、被災者の怒り、苦しみ、悔しさに鈍感なのです。限界集落の実状にあまりにも無関心です。今日の教会に信者が増えるような「役に立つ情報が欲しい」「つらい話は聞きたくない」「復興を進める上で災害の爪痕は消した方がよい」という流れが大勢を占めています。礼拝に集っても、震災を「紙上の歴史」として風化させるエートスで満ちています。一方、臨床宗教師や、布教を目的とせずに支援に当たる釜ヶ崎キリスト教協友会の理念と活動などもあります。子ども食堂に取り組む教会もあります。

被災地の現場では、形状を復旧、復興、再建することはできても、被災者の心的外傷後ストレス障害(PTSD)や孤立に寄り添う傾聴ボランティアのような対話が非連続になっています。被災者の愚痴、不満、無気力を耳にすることもなく、神への叫びという嘆きを聴き取る時間の経過を軽んじています。被災者の叫び声を聴くためには、訪問回数や対話の時間を増やして、気心が知れるようになる関係性が求められるでしょう。つまり親しい友であろうとすることが求められるのです。教会はこうした姿勢を持ってきたのか、吟味する必要があります。

キリスト教と防災(2)「逃避の神学」から「解放の神学」への回心
九州北部豪雨で大きな被害を受けた福岡県朝倉市杷木松末(はきますえ)=2018年2月19日

2. 貧しい者・小さき者を選ぶ神

聖書にある嘆きの祈りは、自分たちにはなすすべのないことを知っている周縁の人々によって書かれました。神は、貧しい、最も小さい、最も弱い立場にある人々のすぐ近くに近づいて来られる存在です(詩編113:6)。それは、貧者の罪が小さいからということではありません。「小さき人々」は罪にまみれた世から排除されてきました。生き馬の目を抜く経済社会には、制度から脱落すると、アリ地獄のようにはい上がれない仕組みがあります。「私の愛するきょうだいたち、よく聞きなさい。神は、世の貧しい人を選んで信仰に富ませ、ご自分を愛する者に約束された御国を、受け継ぐ者となさったではありませんか」(ヤコブ2:5)とあるように、初代教会の人々は「すべり台社会」からはみ出た人々です。

昨年は、佐賀県などを襲った記録的大雨が8月末にあり、それから間を置かずに、9月初めには千葉県などを台風15号が襲いました。神戸からボランティアで南房総の千葉県館山市布良(めら)を訪れ、その「傷」の近くに留まることになりました。神戸国際支縁機構ではこれまでに8回、ボランティアで千葉を訪れましたが、第7回のボランティアに加わった5人の内2人は、制度から弾き飛ばされた「路上で生活をしている人々」です。

キリスト教と防災(2)「逃避の神学」から「解放の神学」への回心
岡山県倉敷市真備町(まびちょう)での泥出し作業をした神戸国際支縁機構のボランティアたち。右端は同機構代表の村上裕隆さん=2018年7月24日

機構は2014年4月から神戸市役所に隣接する東遊園地で、毎週の炊き出しを行っていますが、それを通じてこうした路上生活者の人たちと親しくなっています。この炊き出しは、東日本大震災のボランティアに参加した人たちによって始められました。家もなく、会社勤務もせず、住民票もなく、生活保護の受給対象にもならない社会から弾き飛ばされた人たちです。

現在、機構のマネージメントをしていただいているある会社経営者は、かつてははばかることなく「路上生活者は怠け者だ。こじきは3日やったらやめられないように、あいつらは役立たずだ」と揶揄(やゆ)されていました。しかし、2018年の西日本豪雨のボランティアで、がれき撤去や泥出し、畳替えなど、重くてつらい、汗びっしょりになる働きを、最後の最後まで忍耐強くしている路上生活者の姿を見て、以前の間違った先入観を「悔い改め」(ギリシア語でメタノイア)られました。

そうした人たちが言われるには、一般のキリスト教会はきらびやかで、敷居が高く、決まりごとが多く、居心地が悪いとのことです。教会が、裕福な人々のエリート意識をくすぐる建築、美術、音楽で装飾されている現実があります。

キリスト教と防災(2)「逃避の神学」から「解放の神学」への回心
岡山県倉敷市真備町(まびちょう)での泥出し作業。左が筆者=2018年7月25日

3. 被災による地域社会の「破れ」

被災地で家族、仕事、友人を失った人々にとり、「防災」に首尾よく対応できれば「平和」なのでしょうか。約200戸あまりの布良には5つの地区があります。最大の神田町地区で区長をされている嶋田政雄さん(70代)は、昨年12月にお会いした際、地区内の住民たちのことでため息をついておられました。行政による罹災証明に疑義がり、住民たちがそれを申し出ても、被災から3カ月たった当時もまだ明確な返事をもらっていなかったのです。

「半壊」と「一部損壊」の基準があいまいなため、憤っておられました。「全壊」は地区内で3軒だそうです。「全壊」と査定されると最大300万円が支給されます。ところが、私たちがお世話になっている小谷登志江さん(70代)の家は2階が飛ばされ、平屋になり全壊ですが、独身であることなどから、支給額は150万円になります。半壊、一部損壊の家屋については59万5千円が支給される予定です。しかし、そのお金は被災者ではなく、屋根などを修復した業者に支払われます。従って、被災者本人は1円も受け取らないことになります。

キリスト教と防災(2)「逃避の神学」から「解放の神学」への回心
台風15号の被害を受けた千葉県館山市布良(めら)=2019年9月17日

同じく南房総の鋸南(きょなん)町竜島に住んでいる神田弘志・芳江夫婦も憤っておられました。「自分の家は明らかな大規模半壊なのに、適当に一部損壊と査定された」と。「憤懣(ふんまん)やるかたありません」と、近所の人たちも怒っておられました。さらに私が聞いた限りでは、「見舞金」については、全壊ならば1万円、半壊などは5千円が被災者に支給されたそうです。安倍晋三首相や菅義偉官房長官はメディアを通じて、「激甚(げきじん)災害」に指定したと胸を張っていましたが、屋根、天井、壁などが損傷していても、5千円では修理もできません。泣き寝入りです。

神田町地区だけで、被災後3カ月の間に7人が地区外へ出て行かれました。転居されたのでしょう。長年親しくしていた幼なじみとも、何のあいさつもなく別離の寒風が吹いています。都会にはない典型的な仲間意識の強い住民たちが、自然災害によってばらばらになってしまいそうです。神戸国際支縁機構では、住民たちの要望に応えて、兵庫県の弁護士と電話で話し合ってもらったり、無料で助言を受けてもらったりしました。防災を考慮する際、佐賀や千葉で始まった民間ボランティアの活躍が今後、望まれます。被災から命を救出する働きは、消防士、消防団、自衛隊も無視できませんけれど、実際には地域住民の「支縁」がどこでも基本です。(続く)

第3回【3つの課題―里山の復活・脱ダム・食糧安全保障】へ>>

<<第1回【教会は被災者の「叫び」を聴き取れたのか】へ

◇

岩村義雄

岩村義雄

(いわむら・よしお)

2001年以降、被災者に寄り添う「ボランティア道」や「田・山・湾の復活」を展開。海外ではネパール、バヌアツ、ベトナムなど8ヵ国で孤児の施設に取り組み、日本の里親からひとり毎月3千円の教育費を大人になるまで直接届けている。国内ではタコ(他己)の精神で、熊本・大分地震や九州北部豪雨の松末(ますえ)、西日本豪雨などの被災地に翌日には現地入り、炊き出しや傾聴ボランティア、ドロ出しなどを実施。鬼怒川や丹波の水害被災地も訪問し、東北には3・11直後から100回以上訪問。神戸国際支縁機構理事長、「みんなで『死』を考える会」会長、エラスムス平和研究所所長、「阪神宗教者の会」代表世話人、神戸国際キリスト教会牧師、「カヨ子基金」代表、神戸新聞会館講師。

関連タグ:東日本大震災(3・11)西日本豪雨神戸国際支縁機構(KISO)岩村義雄(Yoshio Iwamura)
  • ツイート
▼関連記事を見る  ▼クリスチャントゥデイからのお願い

関連記事

  • 自然を管理するスチュワード精神か、自然回帰を求めるのか 岩村義雄

  • 神戸国際支縁機構が100回目の「東北ボランティア」 8年で延べ2千人が参加

  • 災害と聖書の神―貧しい人・被災者は幸いである 岩村義雄・神戸国際キリスト教会牧師

  • 東日本大震災から8年、教会で3宗教合同の「追悼・復興祈願祭」 宗教者110人以上が祈り

  • アガペーの愛で「平安の子」を訪問伝道 第72回東日本大震災&熊本震災復興支援超教派一致祈祷会

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

新型コロナウイルス特集ページ

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • バイデン新大統領誕生、聖書の詩篇を引用し「米国の結束」呼び掛ける就任演説

  • 米国の大統領交代、トランプ氏の功績とは?

  • 世界宣教祈祷課題(1月22日):米国大統領選挙を終えて

  • カトリック東京大司教区の司祭1人が新型コロナに感染 隔離静養中

  • 「海外宣教」と「ラディカル・リベラリズム神学」 第23回断食祈祷聖会2日目

  • (み使いダニエル・信仰者編)シュンのものがたり

  • 群馬県太田市の教会クラスター、感染者78人に 県内最大規模

  • 世界3億4千万人のキリスト教徒が迫害下に コロナ禍で差別増、北朝鮮が20年連続ワースト1位

  • 「ワクチン接種は隣人愛の一部」 カンタベリー大主教がコロナワクチン接種

  • 映画「羊飼いと風船」 宗教と現代性、その普遍的な対立を見事に描き切った秀作

  • バイデン新大統領誕生、聖書の詩篇を引用し「米国の結束」呼び掛ける就任演説

  • 群馬県太田市の教会クラスター、感染者78人に 県内最大規模

  • 世界3億4千万人のキリスト教徒が迫害下に コロナ禍で差別増、北朝鮮が20年連続ワースト1位

  • 米国の大統領交代、トランプ氏の功績とは?

  • 映画「羊飼いと風船」 宗教と現代性、その普遍的な対立を見事に描き切った秀作

  • トランプ氏続投と「誤って預言した」 ジェレマイア・ジョンソン氏が謝罪

  • カトリック東京大司教区の司祭1人が新型コロナに感染 隔離静養中

  • 真理はあなたを自由にします イエス・キリスト・エクレシアよろこび研究会

  • 緊急事態宣言、7府県に拡大 対象地域のカトリック教区が相次いで対応方針発表

  • 「開拓伝道は失われた人々への憐れみの心」 第23回断食祈祷聖会1日目

  • 米下院で「父」や「母」などの単語使用不可に フランクリン・グラハム氏「神の権威否定する」と批判

  • トランプ氏続投と「誤って預言した」 ジェレマイア・ジョンソン氏が謝罪

  • 群馬県内の教会でクラスター発生 40人が感染

  • 群馬県太田市の教会クラスター、感染者78人に 県内最大規模

  • バイデン新大統領誕生、聖書の詩篇を引用し「米国の結束」呼び掛ける就任演説

  • 映画「聖なる犯罪者」に見るヨーロッパ的「救い」の危うさ

  • トランプ支持者が米議会占拠 米キリスト教指導者らが相次ぎ批判、祈り呼び掛け

  • コロナと自殺、必要なのは「絆」の再形成 精神科医の山中正雄牧師

  • 榊原寛氏死去、79歳 お茶の水クリスチャン・センター顧問

  • イエス時代の儀式用沐浴槽、ゲツセマネで発見 地名の由来裏付けに

編集部のお勧め

  • 「開拓伝道は失われた人々への憐れみの心」 第23回断食祈祷聖会1日目

  • クリスチャン画家の山田桂子さんが姫路市美術展に入選 日米でアートミニストリー展開

  • コロナと自殺、必要なのは「絆」の再形成 精神科医の山中正雄牧師

  • 「聖書通読、回重ねるごとに喜びがある」 『1年で聖書を読破する。』の鈴木崇巨牧師

  • 「母は中絶を拒否した」 アンドレア・ボチェッリの証し

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 論説委員・編集部
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 問い合わせ・アクセス
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • Twitter
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2021 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.