日本カトリック司教団、元ハンセン病患者らに謝罪 「当事者の権利を守る視点に立てなかった」

2019年7月18日20時07分 印刷
+日本カトリック司教団、元ハンセン病患者らに謝罪 「当事者の権利を守る視点に立てなかった」
東京都東村山市にある国立ハンセン病資料館(写真:Qurren)

日本カトリック司教団が、元ハンセン病患者やその家族らに対する謝罪声明を発表した。司教団は、過去の国の政策は「ハンセン病患者を隔離し絶滅させる」ものだったと指摘。それにもかかわらず、当事者の権利を守る視点に立てず、元患者や家族らに対し「長い間、言葉にできないほどの苦しみを与えてしまった」として謝罪した。声明は10日付で、カトリック中央協議会のホームページで17日に発表された。ハンセン病に関しては、これまでに日本基督教団や日本聖公会も謝罪声明を発表している。

司教団ははじめ、「らい予防法」の廃止(1996年)など、ハンセン病をめぐってはこれまで大きな局面が度々あったのにもかかわらず、謝罪を表明してこなかったことをお詫び。日本では約90年間にわたり、ハンセン病患者に対する差別的な政策が行われてきたが、司教団はそれに反対することもなく、元患者らの権利回復を求めることもしてこなかったと認めた。

その上で、元患者やその家族らの高齢化を踏まえると、「これ以上の謝罪の遅れは許されません」と指摘。「ここに、わたしたち日本のカトリック司教団は、ハンセン病回復者(元患者)のみなさまと家族のみなさま、そしてすでに天に召された方々に対して、当事者たちの当然の権利を守る視点に立てなかった責任を認め、謝罪いたします」と述べた。

ハンセン病は、らい菌の感染によって起こる感染症。発症すると、主に末しょう神経や皮膚が冒される病気だが、1943年に特効薬「プロミン」が開発され、その後の医学の進歩により、現在では治療可能な病気となっている。かつては遺伝病と考えられていたことや、病気に対する社会的な偏見が後押しし、国は20世紀代初頭から隔離政策を取ってきた。国際社会はプロミン開発後、隔離から開放医療に舵を切るが、日本は患者らの強い反対や国際社会の批判を押し切り、その後も「終生絶対隔離」という厳しい隔離政策を継続した。

1996年に「らい予防法」が廃止された後、2001年には熊本地裁で元患者らに対する国の賠償を認める判決が出されて確定。その後、全国の元患者らに対する補償金の支払いなどを定めた法律が制定された。また今年6月には、元患者の家族ら約560人が国に賠償と謝罪を求めて起こした集団訴訟で、同地裁は、国の責任を認め、約540人に対し1人当たり約30万~140万円、総額約3億7千万円の賠償金を支払うよう命令。安倍晋三首相は今月9日、異例としながらも国の責任を認め、控訴しないことを表明した。

ハンセン病をめぐっては、聖書の訳語においても一つの争点となってきた。旧約聖書に登場する「ツァラアト」というヘブライ語(新約聖書ではギリシャ語訳の「レプラ」)は、宗教的に「汚れた」と見なされる病を示す言葉で、皮膚の病を含む場合があることから、従来の聖書訳ではハンセン病と理解され、当時の一般的な呼称であった「らい病」が訳語として当てられてきた。

しかし、本来は特定の病気と断定することのできない病であることなどから、原音に近い「ツァラアト」(新改訳第3版、新改訳2017)と表記したり、「重い皮膚病」(口語訳、新共同訳)と改訂したりした。また昨年発行された「聖書協会共同訳」では、「重い皮膚病」と表記してもハンセン病に対する偏見を助長するという声があったことから、「律法で規定された宗教的に意味を持つ病」として、「規定の病」に変更されている。

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