日本人をどうして惜しまないでおれようか 矢澤俊彦

2019年1月2日12時17分 執筆者 : 矢澤俊彦 印刷
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私の見たい初夢は、あの東の国の博士たちが帰還後、彼らの邸宅が皆、教会に変わり、ほどなくして林立し始めた会堂は無数の人たちであふれるようになり、闇の支配していた東の国が見違えるように明るくなるというものです。これがこの国によく似た無神の国、日本への期待と希望です。

経済的には、またオリンピックをやろうとする勢いですが、これとあまりにアンバランスな精神のひ弱さ。国民総じて相変わらず自信喪失、根を張ったたくましい自己肯定感が乏しいのです。

クリスマスには仙台から作曲家が来られ、「瞬きの詩人」といわれる水野源三さん(信州在住、今は故人)の詩の幾つかをみんなで歌いました。体のすべてがまひして動かないのに、目のサインだけで全身の賛美を世界に伝える。人間の本質は精神にあり、と感じました。ぜいたくを言ってはおれません。「主イエスが道づれならば、道しるべがこわれていても、ためらわずに進んでいける。主イエスが道づれならば、はてしもなくつづく道でも、あまつ国へ必ず着ける」(水野源三)

お月様とウサギにまつわる仏教説話を思い出しました。お釈迦(しゃか)様に何も贈るものがなかったウサギは、近くの燃える火の中に飛び込んで、その身をささげたという。その心こそ最高のごちそうと喜ぶお釈迦様。さて、その姿を見ていたキツネやサルはどんな思いを持ったことでしょう。ウサギの後に続かん、との衝動に駆られたでしょうか。

そこで思うのは日本伝道の困難についてです。研究も分析もなされ、さまざまな理由も挙げられていますが、私もやっと気が付きました。燃えさかる炎にいやまさる勢いの猛火が自分の内部に燃えていなかったことに。さしずめ、キツネやサルのように、ウサギを感心して眺めていただけのような気がします。

日本伝道のためには、私たち伝道者が(そして信者も)、今までの日本人とは格段に違うパワーある生き方をしなくては。「あの人はどうしてあんなに快活に?」と周囲がびっくりするような生活ぶり。この娑婆(しゃば)で悩む人々を深いユーモアと愛で包めるように、天上の火に燃やされること。「諸行無常」や「会者定離(えしゃじょうり)」と観念し、深い諦めに沈む同胞たちに、その大いなる解決編を示してあげることが必要なのです。

私たちはしばしば、日本伝道について途方に暮れることがあります。そんな時、私はあのヨナへの神様の語り掛けが聞こえてきます。ましてこの多くの「右左をわきまえない」人たちのいる「この大きな町ニネベを、惜しまないでいられようか」(ヨナ4:11)。

私はかねがね、日本人は主の十字架に極まる神様の愛が分かる民族だと思っています。なぜなら私どもは「自己否定の愛」を知っているからです。特に知人・友人への深くきめの細かい徹底した思いやり。自分が目立たないよう姿を隠して相手に自分をささげようとする姿勢。それに徹するためにさらに自己脱出が必要なことに気付く寸前まできているのではないでしょうか。これだけの下地があるのですから、もうしばらくしてどんな大輪の花が咲き乱れるか。楽しい夢が広がります。

しかし私はこの城下町の鶴岡で伝道に駆け回りながら、ある時ふと自分がひどく「息をはずませ」ている(使徒9:1)ことに気付き、「はっ」として悔恨に涙したのです。すなわち、私の熱心はあのサウロ的なものでキリストから遠く、相手を肯定しようとして実際は否定していた。仲間に対しても、神様に向かっても「オオカミのよう」だったのでは? これでは周囲から歓迎されるはずがない。宗教的偽善を深く警戒せねば、と心に銘記したことでした。

矢澤俊彦

矢澤俊彦(やざわ・としひこ)

長野市出身。20歳の時、信州人気質で努力家の父の急逝がショックで、神学校入学。その後、とりつかれた死神と50年死闘、近年やっとサタンを足下にし欣喜雀躍(きんきじゃくやく)。自分の偽善と観念的信仰でうずくまり、勝ちの歩みは、まさに「砂漠の彷徨(ほうこう)の40年」。さらにこの10年、眼の難病である「網膜色素変成症」の進行とともに、霊眼がさえてきた。1977年より、山形県鶴岡市の日本基督教団荘内教会牧師。礼拝は「解放奴隷のお祭広場」「お笑い劇場」にして、誰でも入れる「高級レストラン」を目指す。桜満開の鶴岡公園で「面白路傍伝道」を計画中。近著に『キリストによるマグマ爆発』がある。

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