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日本のキリスト教出版の困難と展望 佐藤全弘

2019年1月1日00時00分 執筆者 : 佐藤全弘
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関連タグ:佐藤全弘キリスト新聞社

誰もが本を読んでいた私の学生時代

私の学生時代(1950年代)には、電車の中で若い人はほとんど本を読んでいました。小型で軽く、安い文庫本が中心でしたが、10人中8人は一駅先で降りる場合も、1ページでもという様子でした。

戦争中は自由に読める本が少なかったので、戦後はその穴を埋めるべく、私たちより10歳ほど上の方々も熱心に読んでいました。

私が戦後最初に買った本は『聖書』(新約の詩編付きと旧約)と『徒然草』、いずれも文庫本大のものでした。

当時出版された本は、今のように趣味・興味・娯楽中心というよりは、むしろ思想・宗教・文芸ものが売られていました。岩波文庫から出た西田幾多郎の『善の研究』がベストセラーになり、人々が列をなして買う様子が写真入りで報じられたのは、今ではうそのような話です。

敗戦後は米国から宣教師が、占領軍の支持の下どっと日本に入り、キリスト教信徒は増しました。

キリスト教関係の出版も一気に盛んになり、原書もどしどし輸入されました。私もW・バークレーの新約聖書注解全17巻や、その弟子たちの旧約聖書注解全巻をすぐ求めました。

日本人の筆に成るキリスト教書もずいぶん書庫に並んでいます。内村鑑三全集、藤井武全集、矢内原忠雄全集、塚本虎二、黒崎幸吉、石原兵永、山室軍平らの著作集、私が第2次以降の編集人となった新渡戸稲造全集(23巻・別巻2巻)が並んでいます。

活字離れの原因

しかしここ40年近くを省みて何よりも気付くのは、本を読まぬ人がずいぶん増加したことです。それには携帯電話の異常な普及が何よりもその原因をなしていると思います。今の日本の人口1億2千万人の8割以上がすでに携帯所有者なのです。

携帯の本質はその精神のアトム化にあります。ボタン1つで情報は直ちに現れ、直ちに消え、しかも本人の記憶、推理、回想能力とは無関係に提供されるのです。つまり人間の脳はこの機械の力に支配されているとも言えましょう。忘れるという自然現象すらもはや人間の自由に委ねられてはいないのです。

人々の精神が、この寸時に変換発信する小さい機械に操られているうちに、もやはその深遠・緻密・統合は失せて、この時間次々に転変してやまぬ、断片そのもののバラバラに働く機械が人間の脳に代わって地球の主に化けてしまっているのです。

このような状況にある人々には、『聖書』をはじめとする人類の聖典は、近寄り難いものとなります。あまりにも緊密、あまりにも重厚、あまりにも親和、あまりにも尊貴だからです。

キリスト教出版界の現状

各都市にあるキリスト教書店はここ30年減ってきています。私のよく知る大阪、堺、和歌山について示しますと、学生時代から親しんだ大阪市(人口270万)の天王寺駅近くの日曜世界社は、老店主が亡くなる少し前に店を閉じました。

大阪市すぐ南の堺市(人口80万)にはキリスト教書店は2つありましたが、1つは20世紀末に店を閉じました。

大阪府の南の和歌山市(人口35万)には久しくキリスト教書店はなかったのですが、会社を定年になった信徒が妻と共に書店を開きました。しかし多額の損失を出して7、8年で店を閉じました。その理由は何と、一つならずの教会が納めた本の代金を支払ってくれないからというのでした。私はそれを聞いて、皮装の新共同訳の大型聖書を1冊買いました。

キリスト教出版、キリスト教書籍販売は今や困難に直面しています。日本ではキリスト教書籍は高価です。そしてほとんどは初版で絶版となります。私は40冊以上の本を出しましたが、版を重ねているのは新渡戸稲造の『武士道』(教文館)の15版だけです。

それでもキリスト教出版社は、初版即終版の売れない本を出さなければ使命は果たせないのです。

新聞の苦境

そのことはキリスト教関係の新聞にもいえます。教派を超えた公の新聞は、カトリックは1つ、プロテスタントは2つあります。そのうち1946年4月に、賀川豊彦、武藤富男らによって創刊された「キリスト新聞」はブランケット判(ほぼA2サイズ)の週刊4〜16ページ立てでしたが、2017年から半分以下のタブロイド判(ほぼA3サイズ)8ページ立て、しかも月4回以上の週刊を月3回刊行としました。

名称も “Kirishin” を大字とし、その上に小さく “The Kirisuto Shimbun” と添え、全文横書きです。新聞の命ともいうべき広告も全部合わせて1ページ分です。社員も4、5人とのことです。

まるで大通りに間口も広々と堂々店を張っていた商店が裏長屋の一軒に宿替えし、細々と営業している有様です。

商業新聞に話を移せば、私が長年とっている「朝日新聞」は、韓国関係の偽ニュースを久しく続けて載せたので売り上げはぐんぐん落ち、古くからの配達店もついには店じまい、北へ2キロも離れた店の扱いに変わりました。そのことは広告にも影響し、2018年11月19日(月)の朝刊での広告は、全32ページ中実に16・28ページ、50・9パーセントにも上ります。しかも全面広告が9ページも占めています。

これを「キリシン」の広告の1ページ分(12・5パーセント)と比べると、後者の苦しさがよく分かります。「朝日」でも広告の質は前とはすっかり変わり、つまらぬ商品の全面広告や、時代小説文庫十数点を集めた全面広告、さらには中古ピアノなどの値段表、即席みそ汁やペット保険の全面広告と、かつての品格はありません。広告はとばすので、新聞を読む時間はうんと短くなりましたが。

私からの2つの提案

新聞広告も今行き詰まっていることは明白で、これまた活字離れの影響です。若い人で新聞をとっていない人は少なくありません。しかし、後世に残すには絶対紙に刷る必要があるのです。そこで、キリスト教出版界の協力の道が求められます。2つの道を考えてみます。

① 著者が初版費負担――まず初版印刷は500部として、これを全部売り切っても採算は合いませんから、著者が出版費を負担します。ただし出版社は刷り増しに備え原版は保存しておきます。新刊書が書店に並び売れ残っても返品されるには約1年かかるとして、それ以後は出版社それぞれで在庫保存数を考え、それ以外は廃棄します――これは今も一般的に行われていることですが、著者が初版費を負担することを明記することは、出版社の助けになりましょう。

② 広告――「キリシン」の本の広告はわずか5社だけです。出版社はこれまでも、その分野の雑誌に広告を載せていたが、新聞や雑誌での広告効果はもう望めなくなりました。それなら、新聞挟み込み広告も考えられましょうが、それよりも、各社が相寄って、年3、4回くらい、本の宣伝専門の印刷物を作り、各社から読者に送るか、書店に置いてもらい広告を図る、必要な費用は出版社が負担するとしてはどうでしょうか。

いずれにしても、この苦境難関を何とかして突破すべく、著者、出版社、書店、読者が乏しい知恵を出し合って協力するほか、道はないと思います。

◇

佐藤全弘

佐藤全弘

(さとう・まさひろ)

1931年2月15日大阪市東区南本町生まれ。大阪市立大学文学部卒。大阪市立の定時制高校で英語教育に当たった後、63年大阪市立大学助手、79年教授、94年定年退職。同大名誉教授。キリスト教愛真高等学校理事。愛農学園高校理事。専門は哲学。なにわ聖書研究会主宰。関西合同聖書集会前代表。愛農聖書研究会講師。

関連タグ:佐藤全弘キリスト新聞社
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