Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
コヘレト書を読む

コヘレト書を読む(6)「喜びの探求」―理性と欲望― 臼田宣弘

2018年8月16日10時21分 コラムニスト : 臼田宣弘
  • ツイート
印刷
関連タグ:臼田宣弘コヘレトの言葉(伝道者の書)聖書協会共同訳

1 私は心の中で言った。「さあ、喜びであなたを試そう。幸せを味わうが良い。」 しかし、これもまた空であった。2 笑いについては馬鹿げたこと、と私は言い、また喜びについては、それが何になろう、と言った。3 私はぶどう酒で体を目覚めさせようと心に決めた。私は知恵によって心を導くが、しかし、天の下、人の子らが短い生涯に得る幸せとは何かを見極めるまで、愚かさに身を委ねることにした。(2:1~3、聖書協会共同訳パイロット版)

4 大規模にことを起こし、多くの屋敷を構え、畑にぶどうを植えさせた。5 庭園や果樹園を数々造らせ、さまざまの果樹を植えさせた。6 池を幾つも掘らせ、木の茂る林に水を引かせた。7 買い入れた男女の奴隷に加えて、わたしの家で生まれる奴隷もあり、かつてエルサレムに住んだ者のだれよりも多く、牛や羊と共に財産として所有した。8 金銀を蓄え、国々の王侯が秘蔵する宝を手に入れた。男女の歌い手をそろえ、人の子らの喜びとする多くの側女を置いた。9 かつてエルサレムに住んだ者のだれにもまさって、わたしは大いなるものとなり、栄えたが、なお、知恵はわたしのもとにとどまっていた。10 目に望ましく映るものは何ひとつ拒まず手に入れ、どのような喜びをも余さず試みた。どのような労苦をもわたしの心は喜んだ。それが、労苦からわたしが得た分であった。11 しかし、わたしは顧みた、この手の業、労苦の結果のひとつひとつを。見よ、どれも空しく、風を追うようなことであった。太陽の下に、益となるものは何もない。(2:4~12、新共同訳、10節の下線部分は聖書協会共同訳パイロット版)

日本聖書協会は、2018年末に「聖書 聖書協会共同訳」という新しい翻訳の聖書を刊行予定ですが、そのためのパイロット版が15年より発行され、この3月まで修正意見のフィードバックが集められていました。今回のテキストのうち1~3節は、そのパイロット版の翻訳が適切だと思いましたので、それを掲載させていただきました。

前回、知恵の探求に失敗したコヘレトは、今度は「喜び(シムハー / שִׂמְחָה)」の探求に向かいます。「さあ、喜びであなたを試そう」と自分自身に向かって語ります(1節)。この「喜び」も、コヘレト書において繰り返されている言葉です。前回、「知恵」は「神の知恵」と「世の知恵」に分けられているとお伝えしましたが、「喜び」は、コヘレト書全体を読みますと、「神から与えられた喜び」と「自分で得た喜び」に分けられるようです。さてでは、コヘレトが今回試した「喜び」は、どちらだったのでしょうか。

3節では、コヘレトは「知恵によって心を導くが、しかし、天の下、人の子らが短い生涯に得る幸せとは何かを見極めるまで、愚かさに身を委ねることにした」と語ります。「知恵によって心を導く」の「心」は、ヘブライ語で「レーブ(לֵב)」といいますが、「理性」と翻訳することもできます。ですから「知恵によって理性を導く」、言い換えれば「理性を保つ」ということです。3節の最後の部分、「愚かさに身を委ねる」は、直訳では「愚かさをつかまえる」となります。欲望、特に情欲やむさぼりといった、愚かしい欲望を満たすことを意味していると思われます。つまり、3節でコヘレトは「理性を保ちつつ、欲望を満たそう」と言っているのです。

コヘレトは欲望を満たすために、知者ソロモン王に扮した1章に続いて、今度は栄華を極めたソロモン王に扮します。4~8節にそのさまが記されていますが、まずはソロモン王の栄華について、列王記上から幾つか読んでみましょう。

ソロモンの得た食糧は、日に上等の小麦粉三十コル、小麦粉六十コル、肥えた牛十頭、牧場で飼育した牛二十頭、羊百匹であり、その他、鹿、かもしか、子鹿、肥えた家禽(かきん)もあった。(5:2~3)

シェバの女王は、ソロモンの知恵と彼の建てた宮殿を目の当たりにし、また食卓の料理、居並ぶ彼の家臣、丁重にもてなす給仕たちとその装い、献酌官、それに王が主の神殿でささげる焼き尽くす献げ物を見て、息も止まるような思いであった。(10:4~5)

ソロモン王の杯はすべて金、「レバノンの森の家」の器もすべて純金で出来ていた。銀製のものはなかった。ソロモンの時代には、銀は値打ちのないものと見なされていた。王は海にヒラムの船団のほかにタルシシュの船団も所有していて、三年に一度、タルシシュの船団は、金、銀、象牙、猿、ひひを積んで入港した。(10:21~22)

彼には妻たち、すなわち七百人の王妃と三百人の側室がいた。(11:3)

ソロモンは栄華を極め尽くした王です。4~8節によれば、コヘレトはこのような記述に照らし合わせて、ゴージャスな生活をしたのです。実際にそれをやったのか、架空のこととしてであったのかは分りません。ともあれその結果、コヘレトは「かつてエルサレムに住んだ者のだれにもまさって、わたしは大いなるものとなり、栄えた」(9節前半)と言います。知恵の探求をしたときに、「見よ、かつてエルサレムに君臨した者のだれにもまさって、わたしは知恵を深め、大いなるものとなった」(1:16)と言ったのと似ています。何だか知恵の探求と似たことになってきました。他者との比較で、自分を一番としているのです。自分が良ければよいのだという、ジコチューな思考です。

ヘブライ語の原典を読みますと、4節以後には「私のために(リー / לִי)」という言葉が繰り返されています。「私のために多くの屋敷を構え、私のために畑にぶどうを植えさせ、私のために庭園や果樹園を数々造らせ」(4~5節)という形においてです。「かつてエルサレムに住んだ者のだれにもまさって、わたしは大いなるものとなり、栄えた」となったのは、自分のためだけに欲望を満たし尽くした、その結果だったのです。そして、9節の最後にもこの「私のために」という言葉が使われています。直訳すると、「私の知恵は私のためにとどまっていた」となります。知恵さえも、自分の欲望を満たすためだけに使っていたということでしょう。このような状態での知恵は、前回の箇所で言われていましたように、「狂気であり愚か」(1:17)にしか過ぎないでしょう。

そしてコヘレトは、「目に望ましく映るものは何ひとつ拒まず手に入れ、どのような喜びをも余さず試みた」(10節前半)と言います。「理性を保ちつつ、欲望を満たそう」と始まった「喜び(シムハー / שִׂמְחָה)の探求」であったのですが、「愚かしい欲望によって自分だけが得た喜び(シムハー / שִׂמְחָה)」になってしまったように思えます。

コヘレトは、自己満足に浸りきって「どのような労苦をもわたしの心は喜んだ。それが、労苦からわたしが得た分であった」(10節後半)と言っています。労苦と訳されている言葉は、ヘブライ語で「アーマル(עָמַל)」といい、この言葉もコヘレト書で大変多く使われている言葉です。この言葉の意味合いはとても広く、「労働」「骨折り」「困窮」「危害」といった意味も持ちます。ここでは「骨折り」とするのが良いと思います。欲望を満たすために骨を折ったということです。コヘレトは「欲望を満たすための骨折りを、私の心は喜んだ(シムハー / שִׂמְחָה の動詞形)」と言っているのです。「喜び」が、自分の満足のためのものとなってしまったのです。「理性を保ちつつ、欲望を満たそう」ということで始まった「喜び」の探求が、欲望を満たすことに専心されてしまったようです。

しかしコヘレトはここで理性に立ち返ります。「しかし、わたしは顧みた、この手の業、労苦(骨折り)の結果のひとつひとつを」(11節前半)と言います。「この手の業」とは、喜びを得るために自分がいろいろと求めたことを言っているのでしょう。この手の業と骨折りの結果を見てコヘレトは、「見よ、どれも空しく、風を追うようなことであった。太陽の下に、益となるものは何もない」(11節後半)と言っているのです。これは、コヘレトが失敗したときに使う定型の言葉です。知恵の探求において、「世の知恵」に頼って失敗したコヘレトは、喜びの探求においても、「自分で求めた喜び」で失敗してしまったようです。「喜びについては、それが何になろう」と2節ですでに言っていましたが、そのことをその後の節で説明してきたことになります。

コヘレトはこれらの探求を通して、「学習」をしていると思われます。失敗も人生には不可欠です。失敗の結果、何を見いだすかが大事です。コヘレトも何かを見いだします。コヘレトはいったい何を見いだすのでしょうか。

<<前回へ     次回へ>>

◇

臼田宣弘

臼田宣弘

(うすだ・のぶひろ)

1961年栃木県鹿沼市生まれ。80年に日本基督教団小石川白山教会(東京都文京区)で受洗。92年に日本聖書神学校を卒業後、三重、東京、新潟、愛知の各都県で牧会。日本基督教団正教師。2016年より同教団世真留(せまる)教会(愛知県知多市)牧師。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:臼田宣弘コヘレトの言葉(伝道者の書)聖書協会共同訳
  • ツイート

関連記事

  • コヘレト書を読む(5)「知恵」―神の知恵と世の知恵― 臼田宣弘

  • コヘレト書を読む(4)「無限」―太陽の下(もと)の循環― 臼田宣弘

  • コヘレト書を読む(3)「すべては空しい」―コヘレトは厭世主義者か― 臼田宣弘

  • コヘレト書を読む(2)「真理の言葉」―修辞法に考慮しつつ― 臼田宣弘

  • コヘレト書を読む(1)「集める人」―書名・著者・執筆年代について― 臼田宣弘

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.