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脳性麻痺と共に生きる

脳性麻痺と共に生きる(40)生活訓練 有田憲一郎

2017年11月18日11時29分 コラムニスト : 有田憲一郎
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関連タグ:障がい

養護学校(特別支援学校)には、生活訓練という行事があります。普通校では林間学校と呼ばれるものです。小学部4年生から毎年、2泊3日や3泊4日の宿泊訓練が行われています。学年によっては学校の生活訓練室に泊まって宿泊体験をすることもありますが、ほとんどはバスで出掛け、青年自然の家などに行きます。そして、学年ごとに行うこともありますが、学部ごとに行う年もあり、「どこに行くんだろう」と毎年楽しみにしていました。

僕が初めて生活訓練に行ったときのことを覚えています。以前にも書きましたが、小学3年生から4年生の7カ月間、足の手術のために整肢療護園(現在の心身障害者総合医療療育センター)に入院し、隣接する筑波大学附属桐ヶ丘養護学校(現在の特別支援学校)の通院部に通っていました。

整肢療護園に入院する子どもたちが通う学校で、授業内容も学校行事も普通校と同じように行われ、医師の許可や場合によっては看護師や医師が付いて社会科見学や宿泊訓練も行われていました。僕は足の手術で入院していた以外はどこも悪くなかったので、主治医や看護師からも「行事にはどんどん参加させて大丈夫」と言われていたそうです。しかし僕は、体調などの面では心配なかったのですが、精神的な面で心配されていたのです。

その頃の僕は精神的に幼く、泣き虫の甘えん坊で、何かあるたびすぐに泣いていました。自分の中にひそむ寂しさや不安、恐怖がありました。学年は小学4年生でありながら、考え方はまるで2歳児や3歳児のレベルでした。そんな僕を学校行事の生活訓練に参加させ、連れて行くのは大変でした。

学校で「今度生活訓練で、3泊4日で伊豆下田に行きます」と先生から説明がありました。同級生は楽しそうにしおりを見ながら、ワイワイ準備をしていました。そんな中で僕は、状況をのみ込むことができないでいました。

「憲ちゃん。今度、先生やお友達と一緒にバスに乗って、お泊まりに行くからね。遠くに行って3回ぐらい寝てくるけど、大丈夫かな。お父さんもお母さんも行かないけれど、先生がいるから大丈夫だよね」と先生は、時間をかけて、ゆっくりと僕に説明をしてくれました。どこまで理解していたのか曖昧(あいまい)ですが、療護園や両親から離れて遠くに行くというだけで、幼い僕は寂しさと恐怖心を抱いてしまいました。

生活訓練当日、入院していた病棟の看護婦さんに「行ってらっしゃい」といつものように見送られ、大きな旅行カバンを持って登校しました。同級生と教室に行くと、「おはようございます。今日から伊豆に行きます。皆さん、楽しんで行きましょうね」と先生が話しました。同級生がワイワイと楽しみにしている中で、表現しづらい不安と緊張を感じていました。

同じ病棟で一番仲が良く、勉強を教えてくれ、いつも僕の車いすを押して一緒に登校してくれた同級生がいます。その同級生が「憲ちゃん、大丈夫だよ。怖くないし、寂しくないから一緒に行って楽しもう」と、あまり行きたくない雰囲気の僕を励まし、勇気を与えてくれました。

学校の前に、観光バスと僕たちの車いすを運ぶトラックが止まっていました。以前通っていた学校でスクールバスには乗っていたものの、観光バスに乗るのは初めてのことでした。「さあ、出発しますよ」と先生が言うと、僕たちを乗せたバスは静岡県の伊豆下田に向けて走り出しました。

同級生といっても僕以外、それまで普通校に通い、手術を受けるために入院して学校に通う子どもたちです。考え方や学力も、普通校に通う子と一緒です。3泊4日の間、観光地や訪れる先々の自由行動で、他の子は行き先も自分で決めて楽しんでいる中で、僕は自分で何も決められず「行きたいところや、見たい場所があったら言ってね」と先生に言われるものの、先生に車いすを押されるまま、ぶらぶらとしていたのです。夜も、同級生がそれぞれ寝ているそばで、先生に甘えて一緒の布団に寝ていました。

その後、整肢療護園を退院し、東京都立大泉養護学校に転校しました。毎年、1泊から3泊の生活訓練が行われます。桐ヶ丘養護学校で経験した生活訓練が、それでも大きかったのでしょう。「〇月〇日から生活訓練で〇〇に行きます」と言われると、不安や恐怖心といったものもなく、同級生と一緒に当日が待ち遠しくなっていました。

生活訓練が近づいてくると、ホームルームや通常の授業を変更して準備会や勉強会が行われます。訪れる場所のことを調べたり、役割分担を決めたりしていました。

中学部の生活訓練で僕は、男子の部屋長を任されました。宿泊先は青年自然の家で、普通校の中学校からも宿泊に来ていて、夜は交流を兼ねた部屋長会議が行われます。自然の家の事務室に集まり、学校の紹介をしたり、1日の活動やスケジュールを報告したり、決まりごとを決めたりします。

僕が通っていた学校は、普通校の小学校、中学校、高校が隣接する場所にありましたので、普段から年に数回交流していましたが、自然の家や生活訓練などの出掛け先で普通校の生徒さんと交わる機会を持つことは素晴らしいことだなと感じています。

以前書いたように、高等部に入った数カ月後、僕は右足が痛み出し、学校を休みがちになってしまいました。そのため、直前まで「何とかして行こう。行けるように頑張ろう」としていましたが、痛みに苦しみ、高等部の生活訓練に行くことができませんでした。高等部3年生になると修学旅行が行われます。「修学旅行は一緒に行こうね」と同級生や先生が励ましてくれていました。

高等部2年生の2学期、修学旅行でどこに行きたいかと先生に希望を聞かれました。修学旅行のイメージというと、やはり京都、奈良が頭に浮かんできましたが、僕は足の痛みを緩和させたく「温泉に行きたい。山梨辺り」と言いました。それは、まるで湯治に行くイメージでした。

先生はみんなの意見を聞きましたが、通っていた学校の高等部の修学旅行はほとんど宮城県の仙台に行くことが多く、僕たちも、行きたい場所に出てこなかった仙台になりました。先生はこう言います。「みんなの意見にはなかった仙台に行くことに決まりました。3泊して、仙台市内と松島と、有田が温泉って言っていたので作並温泉という所に行きます。行く場所のことなどは、みんなで調べて勉強して行きましょう」

修学旅行を迎える頃には足の痛みもピーク時よりは徐々に治まり、薬を飲み、痛いときには先生にもんでもらって動かないように足を固定してもらいながら、学校生活最後の修学旅行に行くことができたのです。

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◇

有田憲一郎

有田憲一郎

(ありた・けんいちろう)

1971年東京生まれ。72年脳性麻痺(まひ)と診断される。89年東京都立大泉養護学校高等部卒業。画家はらみちを氏との出会いで絵心を学び、カメラに魅力を感じ独学で写真も始める。タイプアートコンテスト東京都知事賞受賞(83年)、東京都障害者総合美術展写真の部入選(93年)。個展、写真展を仙台や東京などで開催し、2004年にはバングラデシュで障碍(しょうがい)を持つ仲間と共に展示会も開催した。05年に芸術・創作活動の場として「Zinno Art Design」設立。これまでにバングラデシュを4回訪問している。そこでテゼに出会い、最近のテゼ・アジア大会(インド07年・フィリピン10年・韓国13年)には毎回参加している。日本基督教団東北教区センター「エマオ」内の仙台青年学生センターでクラス「共に生きる~オアシス有田~」を担当(10〜14年)。著書に『有田憲一郎バングラデシュ夢紀行』(10年、自主出版)。月刊誌『スピリチュアリティー』(11年9・10月号、一麦出版社)で連載を執筆。15年から東京在住。フェイスブックやブログ「アリタワールド」でもメッセージを発信している。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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