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脳性麻痺と共に生きる

脳性麻痺と共に生きる(39)学校を休んで 有田憲一郎

2017年11月4日05時48分 コラムニスト : 有田憲一郎
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関連タグ:障がい

高等部1年生の時に初めて参加した全肢連(全国肢体不自由児者父母の会連合会)の関東甲信越のブロック大会と全国大会は、緊張して不安を覚える中にも、「今から何が始まるのだろう」という期待と楽しみが交錯していました。僕は父と受け付けを済ませ、千人も集まる会場に入っていきました。

体に障碍(しょうがい)を持った子どもの親や家族が集まるのですが、僕が参加し始めた当時、障碍を持つ当事者の子どもを連れて参加する家族は僕たちだけでした。大会期間中、当事者の子どもは家族や親戚と一緒に、または緊急一時保護といった福祉サービスなどを利用して留守番していたのでしょう。僕も中学部までは家で母と弟、隣近所のおじいさんやおばあさん、そして、長崎から祖母が来て一緒に留守番をしていました。

広い会場をキョロキョロ見まわしても、車いすに乗っている人や障碍を持った人はどこにもいません。会場の端の席に静かに座っていても、僕の姿は目立っていました。

大会の休憩中や懇親会の席では「こんにちは」と多くの人が話し掛けてくれます。しきりなしに声を掛けられるので、しばらくすると僕はうんざりし、疲れも感じましたが、「もう嫌」とは言えず、「東京から来ました息子の憲一郎です。よろしくお願いいたします」と握手をし、あいさつしていました。「もう、疲れた」と隣にいる父に表情で合図を送りますが、多くの人とあいさつを交わしている僕の姿を見て、父はなんだか誇らしげに笑っていました。それは、僕を自慢しているようでした。

僕は高等部1年生の時から10数年間、毎年必ず関東甲信越のブロック大会と全国大会に参加していました。毎年参加していると「今年も会えましたね」「また来年もお会いしましょう」と声を掛けてもらえるようになり、僕からも自然に声を掛ける知り合いが増えていきました。いつしか、僕は大会の常連になっていました。

声を掛けてくれる人は、僕のことを見てこう言います。「うちの子も連れてくればよかった」「来年から、うちの子も連れてきて、一緒にいろいろ学ばせようかな」。すると父は「そうですよ。こういう大会にお子さんも連れてきて、いろいろ学ばせ、いろんな経験をさせるべきですよ。当事者本人なんですから」と熱く語っていました。そして年々、当事者の子どもを連れて参加する父母が増えていったのです。

医療、教育、地域福祉、就労、施設入所、在宅支援、親亡き後のことなど、さまざまな課題がある中で、テーマごとに分科会が分かれています。僕は、今後自分が必要とする内容の分科会に参加し、生きていくための勉強をしていました。

高等部1年生の時、初めて「◯月◯日から全肢連の大会に行ってくるので、1週間休みます」と言って、学校を休みました。大会に参加するまで、僕は学校を休むことが嫌いで、休まず学校に通うことは当然のことだとしか思っていませんでした。両親、特に母の頑張る姿を見て育ってきたこともあり、自分の中で「学校は休んではいけない」という姿勢が自然に身に付いていたのだと思います。

障碍のある僕を育てていくために、両親は将来的な介助面のことなどを考え、母は働き、父は専業主夫の暮らしとなりました。母はスナックを3軒経営する社長で、夜は店に出て働き、昼間は接待や経理の仕事をこなし、寝る間のないほど家族のために働いていました。それでも、僕や弟の学校行事やイベントなどには必ず笑顔で参加してくれていました。そんな母の背中を見て僕は育ち、言葉では言われずとも「簡単に休んではいけない」ことや責任というものを教えられていた気がします。

養護学校(現在の特別支援学校)に通う子どもたちの中には、障碍の関係や体が弱いなどの理由から、定期的に学校を休んで通院しなければいけない子どもたちもいます。ありがたいことに、僕は中学部までいたって健康体で、学校を休むのは大きな風邪をひいた時ぐらいでした。

でも中には、体調や定期健診のためではなく、旅行に行くことを理由に休む子もいました。先生はその子に「いいね。楽しんでくるんだよ。そして、いろんなモノを見て、いろんな経験をしてくるんだよ」と笑顔で送り出していました。

全肢連の大会に参加するまで僕は「どうして、学校を休んで旅行に行くんだろう?」と疑問を感じ、「学校を旅行に行く理由で休んでもいいのか。ダメでしょう」と心の中で思っていました。しかし、大会に参加することを通して、僕の思いは一転したのでした。

大会が終わると、「さあ、どこに行こうかな」と地図を広げ、行きたい場所を選びました。有名な観光地にも行きますが、あまり人が行かないような場所を巡るのが好きで、目的もなく人里離れた山中を走って峠を越えたり、海岸沿いを走って小港巡りや灯台巡りをしたりしていました。

旅を終えて学校に行くと「おかえり。楽しかった? 大会の感想文、書いてね」と先生に言われました。僕は「うそ~」と思いながらもワープロの前に座り、学校ではホームルームや国語の授業で簡単な報告会もしていました。

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◇

有田憲一郎

有田憲一郎

(ありた・けんいちろう)

1971年東京生まれ。72年脳性麻痺(まひ)と診断される。89年東京都立大泉養護学校高等部卒業。画家はらみちを氏との出会いで絵心を学び、カメラに魅力を感じ独学で写真も始める。タイプアートコンテスト東京都知事賞受賞(83年)、東京都障害者総合美術展写真の部入選(93年)。個展、写真展を仙台や東京などで開催し、2004年にはバングラデシュで障碍(しょうがい)を持つ仲間と共に展示会も開催した。05年に芸術・創作活動の場として「Zinno Art Design」設立。これまでにバングラデシュを4回訪問している。そこでテゼに出会い、最近のテゼ・アジア大会(インド07年・フィリピン10年・韓国13年)には毎回参加している。日本基督教団東北教区センター「エマオ」内の仙台青年学生センターでクラス「共に生きる~オアシス有田~」を担当(10〜14年)。著書に『有田憲一郎バングラデシュ夢紀行』(10年、自主出版)。月刊誌『スピリチュアリティー』(11年9・10月号、一麦出版社)で連載を執筆。15年から東京在住。フェイスブックやブログ「アリタワールド」でもメッセージを発信している。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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