Skip to main content
2026年1月20日12時21分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
床屋談義

床屋談義(4)「幸」の字で思うこと 臼井勲

2017年8月5日16時16分 コラムニスト : 臼井勲
  • ツイート
印刷
関連タグ:臼井勲

2009年の鳩山政権誕生でファーストレディーになられた幸(みゆき)夫人の言動が、当時話題を呼んだ。「幸」を「みゆき」と読むのは、「御幸」あるいは「御行」が「天皇が外出されること」で「みゆき」ということから来たと思われるが、普通は「さち」と読むのが自然である。

古語辞典を引くと、この「幸(さち)」は、神話の中の海幸(うみさち)の名前のように、海で漁をすること、またはその獲物のことをいうとある。そして、それが「しあわせ」をもたらすので、幸福の意味でもあるという。

その時の選挙では、「幸福実現党」から多くの候補者が出たことも印象に残っている。この「幸福を実現する」というのも、幸福とは獲得物であり、そこから得られる富を持つのが幸福ということになる。幸福とは、果たしてそれだけだろうか。

有名な詩に、「山のあなたの 空遠く 『幸』住むと 人のいふ」とあるが、この「幸(さいわい)」は、理想として追い求める、目に見えない心の希望、幸福感のような抽象的な世界を指すもののようでもある。「幸」とは何かと人に問えば、十人十色、百人百色の答えが返ってくるであろう。

ある時、漢字博士、白川静の『字統』でこの「幸」の字を調べてみた。驚いたことに、何とこの「幸」の字源は、手かせ(手錠)の形から来ているのだ。その説明は、罪を犯して手錠をかけられた状態にならないこと、ひどい目に遭わないで済むことを表しており、このことが広く「幸い」「しあわせ」の意味となったとある。手錠をはめられ、自由を奪われた状態、苦しく、悲惨、不自由、すなわち「不幸」といえるであろう。

昔、僕は結核で長期入院している母方の叔父を見舞ったことがあった。この叔父は戦争に行って、敗戦と同時にソ連に抑留された。1948(昭和23)年ごろにようやく解放され、帰国できた。

その後、日通に勤めて、主に美術品の梱包、輸送の分野を開拓した人だった。病魔により再びベッドにその肉体を縛られる状態になった。その病床で、叔父が今までの人生で一番幸福を感じた瞬間について話してくれた。「あのラーゲリ(強制収容所)から解放された朝、真っ青な大空の下で、せいせいと野糞をたれたときほど、幸せを感じたことはなかった」と。

確かに、足かせを解かれて自由になったとき、人は幸福を感じる。強力な抑圧や支配からの解放、これが幸せといえるのは本当だろう。しかし、人はその後自由になって何の束縛もなくなり、何もすることがなくなると、幸せ感が薄れていく。この頃、僕はこの足かせの状態こそが幸せであるという逆説も真なりと思うようになった。

エディ・マーフィの主演する映画で、彼が刑期を終えて出所するのを刑事が外で待ち構えていて、無理やり彼と自分の腕に手錠をかけ、結んでしまうというのがあった。ある事件の解決にぜひとも彼の協力が必要であるからという理由で、ムチャな話である。

どこへ行くのも、トイレに行くのもいつも一緒の生活が始まるというコメディー・タッチの物語である。初めはイヤで不自由でしょうがないが、一緒に悪者を追い詰めていくことにやがて生きがいを見いだしていく主人公の姿が描かれる。

意外と人は、誰かと何かと手かせで結ばれて協力させられ、協力していることを幸福と感じているのではないかと思うようになった。4歳の孫のモモちゃんを見ていると、とにかくママの手とつながれていることが一番の幸せなのである。

使徒パウロは、その手紙の中で「主において常に喜びなさい。重ねて言います。喜びなさい」(フィリピ4:4)と書いている。この手紙を出している彼自身はローマの獄につながれていて、しかも彼は自分を「キリスト・イエスの囚人」(エフェソ3:1)と紹介しているのである。

賛美歌の中に「主よ、われをば とらえたまえ、さらばわが霊(たま)は 解き放たれん」(讃美歌333)という1節があるが、この逆説的表現の中に、人間が持っている幸福感の不思議な消息があるように思える。

人間は、手持ち無沙汰でブランとした自由よりも、何か目に見えない理想や希望とか愛に、あるいは神に手かせをはめられて、行動を共にし、時に行動を強いられるときもあろうが、その方がむしろ自由であり、生きがいがあり、幸せを感じているのではないか。

僕の好きな人に、伊能忠敬がいる。江戸期の末ごろ、千葉の佐原の人で生い立ちは甚だ不幸だった。幼少で母を亡くし、貧しい父から他家に養子に出された。富裕な商家で庄屋を兼ねる家の権高(けんだか)でわがままな娘の婿になり、使用人同様に働いた。

彼は向学心旺盛で、厳しい1日の労働の後、家族が寝た後、菜種油を灯して書物を読んだ。それさえもある時、妻にとがめられ、油がもったいないと止められた。妻が亡くなって庄屋の主になり、その家業を成功させて子どもに跡を継がせ、楽隠居になったときには、すでに50歳を過ぎていた。

それで自由になった彼は江戸へ出て、天文学、数学を学んだ。師の高橋至時(よしとき)に頼まれた日本地図作成の仕事を引き受け、残りの生涯のほとんどをかけて、自前の費用と労力でその事業をほぼ完成させた。

彼には一生涯、常に足かせが結ばれていた。それから解放された後、ブラリとした生活は送らず、自ら新しい足かせを結んだ。生涯、それを結び続けた。彼の生涯は誠に幸せだったと僕は思っている。

<<前回へ     次回へ>>

◇

臼井勲

臼井勲

(うすい・いさお)

1942年東京・深川生まれ。57年受洗。64年早稲田大学文学部西洋史科卒業。96年JTJ宣教神学校卒業。2007年から日本聖契キリスト教団の伝道師となり、現在、同教団新秋津キリスト教会伝道師。同教団の酒匂キリスト教会、平塚聖契キリスト教会で説教奉仕をしている。JTJ宣教神学校「イスラエル史」講師。「『物語り』から聖書を学ぼう」講師。聖句書道教室講師。平塚のルデヤ理容館店主。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:臼井勲
  • ツイート

関連記事

  • 床屋談義(3)俺を持っている俺は、どこの誰だろう 臼井勲

  • 床屋談義(2)「まっとう」について考える 臼井勲

  • 床屋談義(1)床屋と縁側 臼井勲

  • 聖書の中の気になる人物―イシュマエル(4)イシュマエルもイエス・キリストの型では? 臼井勲

  • 聖書の中の気になる人物―イシュマエル(3)アザゼルのやぎとは誰か 臼井勲

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • ドニー・マクラーキン牧師の件で日本の皆さんに伝えたいこと

  • 世界最悪は北朝鮮、死者が最も多いのはナイジェリア 迫害国50カ国まとめた報告書発表

  • カトリックとプロテスタントが合同開催 キリスト教一致祈祷週間、18日から

  • 刑務所伝道プログラム「受刑者の旅」修了生が100万人突破 プリズン・フェローシップ

  • 「信徒の友」「こころの友」などが休刊へ、日本キリスト教団出版局の事業整理・縮小で

  • ゴスペル歌手で牧師のドニー・マクラーキン氏、元秘書による性的暴行告発を否定

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(262)聖書と考える「おコメの女」

  • 同志社前総長の大谷實氏死去、91歳 犯罪被害者支援に尽力

  • 韓国の李在明大統領、国内の宗教指導者らと懇談会 旧統一協会や新天地の問題にも言及

  • シリア語の世界(41)シリア正教会の典礼①典礼の祈り 川口一彦

  • ドニー・マクラーキン牧師の件で日本の皆さんに伝えたいこと

  • 世界最悪は北朝鮮、死者が最も多いのはナイジェリア 迫害国50カ国まとめた報告書発表

  • カトリックとプロテスタントが合同開催 キリスト教一致祈祷週間、18日から

  • 「信徒の友」「こころの友」などが休刊へ、日本キリスト教団出版局の事業整理・縮小で

  • 大きな喜びを引き寄せる御言葉の恵み 万代栄嗣

  • 同志社前総長の大谷實氏死去、91歳 犯罪被害者支援に尽力

  • 刑務所伝道プログラム「受刑者の旅」修了生が100万人突破 プリズン・フェローシップ

  • ゴスペル歌手で牧師のドニー・マクラーキン氏、元秘書による性的暴行告発を否定

  • いのちのことば社、元職員の不適切な会計処理巡る質問・意見への回答を公表

  • シリア語の世界(41)シリア正教会の典礼①典礼の祈り 川口一彦

  • いのちのことば社元職員が不適切な会計処理、数千万円規模か 社長は引責辞任へ

  • いのちのことば社、元職員の不適切な会計処理巡る質問・意見への回答を公表

  • 米福音派の著名作家、フィリップ・ヤンシー氏が不倫を告白 執筆・講演活動から引退

  • 米のベネズエラ攻撃・大統領拘束に対する現地の福音派キリスト者の反応

  • 「信徒の友」「こころの友」などが休刊へ、日本キリスト教団出版局の事業整理・縮小で

  • 英ポルノ女優リリー・フィリップスさんが受洗 心からの回心?売名行為? 真意巡り議論

  • 【クリスマスメッセージ】この世に来られた救い主―イエス・キリスト 渡部信

  • 日本聖書神学校、2026年度から「基礎科」新設

  • 世界最悪は北朝鮮、死者が最も多いのはナイジェリア 迫害国50カ国まとめた報告書発表

  • ドニー・マクラーキン牧師の件で日本の皆さんに伝えたいこと

編集部のおすすめ

  • 上智大学キリシタン文庫が初の貴重資料展、キリシタン版や大友宗麟書状など30点を公開

  • 給食で子どもたちに笑顔と教育の機会を 最貧国マラウイを支援する「せいぼじゃぱん」

  • 日本聖書協会が恒例のクリスマス礼拝、聖書普及事業150年を感謝しコンサートも

  • 「神の霊によって、主はこの国を造り替えられる」 日本リバイバル同盟が「祈りの祭典」

  • 15人の演者でマルコ福音書を再現、観客をイエスの物語に引き込む「マルコドラマ」

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • Threads
  • RSS
Copyright © 2002-2026 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.