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聖書の中の気になる人物―イシュマエル

聖書の中の気になる人物―イシュマエル(4)イシュマエルもイエス・キリストの型では? 臼井勲

2017年6月3日10時37分 コラムニスト : 臼井勲
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イシュマエルもイエス・キリストの型では?

さてこの稿で今回のテーマの締め括(くく)りにしたいと思うが、先回はレビ記16章の2頭のやぎの記述を見た。1つは犠牲のために選ばれ、もう1つはアザゼル(追放または荒野の意)のため、汚れや罪咎を負わされて荒野へと追放される。

実はこの罪のあがないの儀式は、今なおユダヤ教の中で連綿として守られているという。アザゼルのやぎは荒野をさまよい、やがて疲労と渇きと飢えで死ぬ。

それを見届ける伝令の報がシナゴーグに届くと、「あなたの罪咎は赦(ゆる)された」という横断幕が掲げられるという。僕の推論では、この2頭のやぎをアブラハムの2人の息子、イシュマエルとイサクに当てはめた。すなわち犠牲のためにとっておかれるやぎはイサク、アザゼルのやぎはイシュマエルに符合すると考えた。

最初にこの聖書の箇所を読んだときに気が付かされた、2つの物語の長さが等しいこと、最中にあるベエル・シェバ(7つの井戸)の話を要に、左右に並べられていること。そして、この両方の記事の書き方に均等性があること。これらを分かりやすく表にしてみると、以下のようになる。

(イサク)22:1~19
▼神がイサクの名を付けられた
▼朝早く、アブラハムはろばに鞍をつけ・・・
▼イサクをほふろうとしたとき、神の声があった
▼角をやぶにひっかけた雄羊をみつけた
▼神のイサクの子孫への祝福の約束
▼ベエル・シェバに住みついた(イサクの年齢は15~16歳くらい)

(ベエル・シェバ)21:22~34
▼アブラハムがアビメレクから7頭の子羊の代価で、ベエル・シェバの井戸を買い戻す(7つの井戸の意味)

(イシュマエル)21:9~21
▼神がイシュマエルの名を与えられた
▼朝早く、アブラハムはパンと水の革袋を取って・・・
▼荒野で力尽きたとき、神の声があった
▼井戸を見つけた(ベエル・シェバのあたりで)
▼神のイシュマエルの子孫への祝福の約束
▼パランの荒野に住みついた(イシュマエルの年齢は16歳くらい)

こうして表にしてみると、いかに2つの記事が同じように書かれているかが分かる。そして、2人とも神が名前を付け、神がその行動を容認されている。そして、両方ともに子孫への神の祝福が約束されている。

また、一方はベエル・シェバの泉でいのちを救われ、もう一方はベエル・シェバに住みつく。このベエル・シェバとは何か。両方の物語の最中に突然現れてくる事情であり、中心に置かれた物語。それは、アブラハムが奪われた井戸を7匹の子羊の代価で買い戻す話である。

聖書で7の数字は完全を表す。完全な子羊、すなわちイエス・キリストによる買い戻し、「贖(あがな)い」を意味するのではないだろうか。そして、その井戸はベエル・シェバ、7つの井戸と呼ばれる。つまり、完全なる井戸、ヨハネ4章のスカルの井戸でイエスが言われた。「わたしが与える水を飲む者はだれでも、決して渇くことがありません。わたしが与える水は、その人のうちで泉となり、永遠のいのちへの水がわき出ます」。その井戸を意味するのではないだろうか。

このように解釈することができないだろうか。イシュマエルの物語も、人間のあらゆる不条理な罪を負わされて、十字架の上で一時的にも父なる神から捨てられたイエス・キリストを意味しているのではないだろうか。

もちろんイサクの物語は、イエス・キリストの贖いの子羊としての十字架を示していることは当然のことである。おのおのが神の贖いの方法を分担していることで、2人の息子は等しく、イエス・キリストを示している。そして、その中心にイエスが与える永遠のいのちの水が示されている。

イスラム教では、昔からアブラハムがモリヤの山で神にささげたのは、イサクではなくイシュマエルであったと主張している。僕もエルサレムに行ったが、エルサレムの神殿の丘、かつてモリヤの山だった所、そしてソロモンの神殿が建っていた所にイスラムのモスク、黄金のドームが建っている。その中には今でも下にモリヤの山の岩が敷かれている。

イスラムの人々も、神に選ばれたのは私たちだと主張し続けている。そこから争いが生まれる。今日もなお、イサクとイシュマエルの子孫たちは対立を繰り返している。イスラエルとパレスチナの土地をめぐっての紛争は解決のめどさえ見えない。

双方にそれぞれの言い分がある。長い彼らの歴史を見ると、イサクの子孫であるユダヤ人は、AD70年にローマ帝国により国を滅ぼされ、故国を追われ、ディアスポラとして全世界に散らされた。これは、イシュマエルの体験をなぞったことになる。

そして、ナチスによるホロコースト(全焼のいけにえ)、ユダヤ人は「ショア―」と呼ぶ。まさにイサクがモリヤの山にささげられたように、600万人ものユダヤ人がガス室で焼かれた。その犠牲の上に今日のイスラエル国の建国がある。

イシュマエルの子孫たるパレスチナ人もまた1948年5月のイスラエル国独立により故国を追われたのである。そして、この2つの民族の対立は今も続いている。国連や大国もこの問題の解決に手を束ねている。

イエスが十字架におかかりになる少し前に、数人のギリシャ人がイエスの所を訪れた。彼らはイエスに何を求めたのだろうか。パウロは、「ギリシャ人は知恵を求める・・・」と評した。ある訳に、この知恵を「知的な万能薬」と訳した聖書があった。つまり、ギリシャ人は問題解決、これは今日のパレスチナ問題の解決や、あらゆる人間が抱える問題解決を含む「問題解決の処方箋」を求めたと推理することができよう。

その問い掛けにイエスは、「一粒の麦がもし地に落ちて死ななければ、それは一つのままです。しかし、もし死ねば、豊かな実を結びます」と答えられた。これが、イエスが示された解決であった。イエス・キリストの十字架の贖いの死が、2つの裂かれた傷を癒やすのである。対立する両者を和解させるのである。

創世記25章9節に、アブラハムの死に際し、「彼の子らイサクとイシュマエルは、彼をマクペラのほら穴に葬った」と記されている。父の葬儀を2人の息子たちが執り行っている姿から、兄弟のいさかいより和解の姿が見えてくる。

2人の息子はおのおのの痛みの経験を通して、父の死の悲しみを分け合うことで和解しているのである。聖書をよく読むと、その後この2人の兄弟の子孫は歴史の中で交差し、助け合っている記事が記されている。

ヨセフが兄弟たちのねたみから空井戸に投げ込まれたとき、イシュマエル人のキャラバンが通りかかり、ヨセフをエジプトに連れて行った、とある。つまり、イシュマエルの子孫により、イサクの子孫であるヨセフはいのちを助けられ、そのヨセフにより一族全部がエジプトで生き残るきっかけが作られた訳である。

そして、このイシュマエルにはもう1つ、今日のわれわれが直面している、自殺、いじめ、引きこもりといった諸問題への切り口の1つがある。数年前、僕は聖契キリスト教団の赤城山のキャンプに参加した。その時の講師は、高名な精神科医の平山正実師であった。

師が講演の中で聖書の人物を引用されるところで、「私にとって参考になる人物は、立派な信仰の人、あるいは成功者よりも、聖書の中の失敗した人、負けた人、弱さに悩む人物たちです」と言われた。現実の問題に打ちひしがれ、引きこもったり、精神を患ったりしている人々には、立派な信仰の聖人や英雄は役に立たず、むしろ失敗者や追放された人々への神の処方箋の方が助けになる、との言葉に僕は共感した。

お休み時間に平山師に、僕のイシュマエルについての持論をお話ししたところ、まるで水を得た魚のように、お互いに肝胆相照らし、平山師も僕の意見に呼応してくださり、その会話で時を忘れてしまい、先生のお休み時間をすっかり奪ってしまったことがあった。

それで僕は、このイシュマエルに関する持論に大きな手応えを感じたのである。平山師は心の病に取り組んでおられ、それに関しての著書も数多く出されておられる。少し前、新聞に書かれた「自死」に関する先生の記事を読んで大いに共鳴させられた。

僕も9歳の幼少期に母を病気で亡くし、22歳の時、祖母を自死で失った。僕がイシュマエルのことに気付きを与えられたのも、この若い時に経験した悲しみ、心の痛みの痛切さを身にしみて覚えたことがあるいは下地になっているかもしれない。

イシュマエルの名前の中にすでに神の答えがある。「神は私たちの心の叫び、声なき声、痛みや悲しみを聞いてくださる」のである。

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◇

臼井勲

臼井勲

(うすい・いさお)

1942年東京・深川生まれ。57年受洗。64年早稲田大学文学部西洋史科卒業。96年JTJ宣教神学校卒業。2007年から日本聖契キリスト教団の伝道師となり、現在、同教団新秋津キリスト教会伝道師。同教団の酒匂キリスト教会、平塚聖契キリスト教会で説教奉仕をしている。JTJ宣教神学校「イスラエル史」講師。「『物語り』から聖書を学ぼう」講師。聖句書道教室講師。平塚のルデヤ理容館店主。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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