福音派の4割、医師による自殺ほう助は「倫理的に容認できる」 米調査

2016年12月18日23時55分 翻訳者 : 山本正浩 印刷
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(画像:クリスチャンポスト)

米国の福音派信者の10人に4人が、医師による末期患者の安楽死や自殺ほう助を肯定的に考えていることが、米福音主義世論調査機関「ライフウェイ・リサーチ」の調査で分かった。

ライフウェイ・リサーチは任意に選んだ全米千人の回答者を対象に、9月27日から10月1日にかけてオンライン調査を行った。調査の結果、プラス・マイナス3・1パーセントの誤差範囲で、69パーセントが「末期患者が自らの命を終わらせることを、医師が援助することは認められるきだ」という見解にある程度同意しているか、はっきりと同意していることが明らかになった。

「患者が痛みを伴う死にゆっくりと向かっている場合、米国人は(安楽死・自死するか否かの)選択を望みます」と、ライフウェイ・リサーチのスコット・マコネル常任理事は声明の中で述べた。「死に向かう援助を求めることは、倫理にかなった選択だと多くの人が考えています。自然死するまで苦しむことが唯一の選択だとは考えていません」

福音派信者の42パーセントがこの見解に一定の同意を表明し、カトリック信者の70パーセントとプロテスタント信者の53パーセントは、医師が患者の生命を絶つ援助をすべきだと回答した。

合計すると、調査対象となったキリスト教徒の60パーセントがこの見解に同意したことになる。一方、無宗教と他宗教の回答者は、それぞれ88パーセントと77パーセントが同意している。

同じ調査の別の質問では、患者が苦痛を伴う末期症状にある場合、医師に命を絶つための援助を求めることが「倫理的に容認できる」かどうかを回答者に尋ねた。

福音派の4割、医師による自殺ほう助は「倫理的に容認できる」 米調査
「患者が苦痛を伴う末期症状にある場合、医師に命を絶つための援助を求めることは倫理的に容認できる」とする見解に対し、米国人の67パーセントが同意し、福音派信者の38パーセントが同意している。(画像:ライフウェイ・リサーチ)

回答者の67パーセントは、この見解に「ある程度」または「はっきりと」同意し、福音派信者の38パーセントも医師に自死のための援助を求めることは「倫理的に容認できる」と回答し、一定の同意を示した。

カトリック信者の70パーセントとプロテスタント信者の53パーセントも一定の同意を示していることから、調査を受けた全キリスト教徒のうち59パーセントが、この見解に同意したことになる。

月1回以上、宗教的な集会に出席している回答者の52パーセントもこの見解に同意した。また、月1回未満しか集会に出席していない回答者の78パーセントも、倫理的に容認できると回答した。

多くの場合、世論調査では回答者の福音派に対する認識にズレがあるため、調査にはゆがみが生じる恐れがあるが、ライフウェイ・リサーチの場合、回答者を福音派と認定する基準がとても詳細に設けられている。

四肢まひ患者で「ジョニーと友人の国際障がい者センター」の創始者、また著作家でもある福音派の障がい者活動家、ジョニー・エレクソン・タダ氏は8日、ライフウェイ・リサーチの調査結果によると、福音派信者は「基本的に苦しみを恐れています」と、クリスチャンポストに語った。

「福音派の信者は加齢や痛み、障がいを基本的に恐れていますが、恐怖は良好な社会政策の基盤にはなりません。苦しみや障がいに対する恐れは、決して社会政策の基盤となるべきではないのです」とタダ氏は述べた。「私が申し上げたいのは、『尊厳死』を許容する基準を示す法律はもう十分にあるということを、大抵のクリスチャンが理解していないということです」

「(末期患者は)延命措置を受ける必要はありませんし、余分な手術を受ける必要もありません。人工透析を受けたり、化学療法を受けたり、痛みを長引かせたりする必要もありません」とタダ氏。「意識すべきことがあるとしても、それは安楽な死の選択を容易にすることではありません。疼痛(とうつう)管理治療や疼痛管理技術を開発し、医師に対して効果的な疼痛管理を啓発するために財を投じようではありませんか」と続けた。

タダ氏は、この種の問題やその他の政治問題について、キリスト教徒が発言しなくなってきているとの考えを示した。

「私は多くのクリスチャンがさじを投げていると思います。文化があまりにも巨大化してしまい、それを変革する手立てが自分たちには何1つないと感じているようです。新聞や雑誌で、また裏庭の垣根越しに聞こえてくる概念や文化的メッセージのせいにするだけで終わっています」とタダ氏は述べた。

福音派の4割、医師による自殺ほう助は「倫理的に容認できる」 米調査
四肢まひ患者の活動家、ジョニー・エレクソン・タダ氏(写真:同氏)

ライフウェイ・リサーチの調査結果が発表される前に、コロラド州は末期患者の自殺ほう助を合法化する6番目の州となった。同州の有権者は住民投票の当日、精神的に健康な成人が余命半年の末期患者であると診断された場合、自死を許可する処方箋を請求し、受け取ることを可能にする法改正に賛成票を投じた。

このコロラド州の終末期選択法案(第106州法改正案)の反対者らは、適切な安全措置が講じられていないとし、「医学の進歩により、患者は数カ月間から数年間、延命できるかもしれないのにもかからず、第106州法改正案は、保険業者が末期患者に高額治療を中止するよう促すことになる」恐れがあると主張していた。

10月、自殺ほう助の法令が可決した直後のカリフォルニア州では、末期患者の母親が、主治医から化学療法を推奨されていたが、そのための保険による保障が拒否されたことが報じられた。保険会社からは、自殺薬なら保険でカバーできると言われたという。

また、オランダの医師が7月、アルコール中毒で苦しむ41歳の男性を安楽死させていたことが最近になって報じられたが、ライフウェイ・リサーチの今回の調査結果はその後に公開された。評論家らは、男性の安楽死には「深刻な懸念があり、今回の安楽死は自殺ほう助や安楽死を決して行ってはならない事例の1つであった」と述べている。

自殺ほう助の法令がある州が、末期症状の定義緩和を迫られるのはそれほど現実離れした話ではないと、タダ氏はクリスチャンポストに語った。タダ氏は、1人の障がい者が生きる希望を失い、末期症状の定義緩和に賛成するよう裁判官に請願するなら、それだけで事足りるでしょうと語った。

「私のように減らず口を言う四肢まひ患者がしびれを切らして、『私はもうお手上げです』と言って法廷に訴え出る日が目に見えるようです。ベルギーやオランダであったように、裁判官は末期症状の定義を緩和するかもしれません」とタダ氏。「私たちが、要支援家庭に必要な支援を提供しない限り、そうなってしまうのではないでしょうか」と語った。

※この記事はクリスチャンポストの記事を日本向けに翻訳・編集したものです。一部、加筆・省略など、変更している部分があります。

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