インドでキリスト教徒に対する襲撃事件が増加 2015年に重大事件だけで365件以上

2016年2月5日22時40分 翻訳者 : 木下優紀 印刷
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2015年2月5日、多数のキリスト教徒がニューデリーに集まり、過去2カ月間に起こった教会に対する一連の襲撃事件に対して抗議活動を行った。(写真:Edwin Fernandes)

インドのムンバイに拠点を置くキリスト教人権団体は、2015年の1年間に1日1回以上の割合でキリスト教徒に対する事件が起きており、牧師7人が死亡し、8千人以上の信者が被害に遭ったと公表した。

最近発表された「カトリック・セキュラー・フォーラム」(CSF)の年次報告書「インドにおけるキリスト教徒に対する迫害―CSF2015年度報告書(Indian Christian Persecution - The CSF 2015 Report)」には、「入手できた報告によると、殺人、教会や礼拝所の破壊、武力による襲撃や監禁、強姦、妊婦に対する激しい暴力なども含めて、少なくとも365件の事件」があったという。

しかし、CSFのジョセフ・ディアス総主事は、「これらの事件は、CSFが働いている実態に即していえば氷山の一角にすぎません」と強く主張した。この報告書は、キリスト教活動家は権力者に敵対することを望まないか、再度迫害に遭うことを恐れ、迫害に遭ってもほとんど報告しないという事実に焦点を当てている。

元ボンベイ・カルナータカ高等裁判所判事のマイケル・サルダーニャ氏が議長を務めるCSFは、ここ数年にわたり、インドではキリスト教に対する迫害の増加が見られ、ピークに達していると述べた。現政権が選出されてから迫害の増加が加速したことと、現政権の与党インド人民党(BJP)が権力を握る全ての州で迫害が増加したことは偶然ではない。

キリスト教徒に対する迫害の厳しさをランク付けした人権監視団体「オープン・ドアーズ」の「ワールド・ウォッチ・リスト」では、インドは昨年の21位から17位に上がっている。つまり、エジプト、ミャンマー、ベトナム、サウジアラビアなどと同様に、迫害のレベルが「非常に高い」のだ。

しかし、CSFが報告した事件数は「オープン・ドアーズ」のそれより多く、国内のキリスト教コミュニティーからは懸念の声が上がっている。

「殺人の件数は、昨年の4、5件に対して2倍になりました。憂慮すべきことは、地域における暴力の拡大です。2014年には18州で暴力の報告がありましたが、2015年にはインドの全29州のうち、23州で報告がありました」とディアス氏は述べた。

少なくとも牧師7人と伝道者1人が、キリスト教信仰の故に命を落としたとの報告がある。デリーカトリック教会のキリスト生誕像には放火があった。特にマディヤ・プラデーシュ、ケーララ、ハリヤーナー、テランガーナ、西ベンガルでの各州では、十字架がしばしば標的となっている。

聖書を焼いたり投げ捨てたりする多くの事件が明るみとなった。デリー、ウッタル・プラデーシュ、ゴアの各州では、聖人像がけがされた。ケーララ州では、カトリックの聖廟や墓地に名誉を棄損するようなポスターが張られる事件があった。マハーラーシュトラ州やマディヤ・プラデーシュ州では、教会の資産の損壊があった。

西ベンガル州やチャッティースガル州では、修道女が襲撃され強姦された。パンジャブ州やテランガーナ州では、妊婦が執拗に暴行され、胎児が死亡する事件が複数報告された。ジャールカンド、ウッタル・プラデーシュ、マディヤ・プラデーシュの各州では、女性信者が裸にされ、残忍な暴行を受けた。ほとんどの事例では、子どもにすら暴力の矛先が向いている。

ビハール州、アッサム州と中央インド地方行政府では、宗教的過激派がトリスル(三又鉾[みつまたほこ])、刀、棒などで武装し、キリスト教の会衆を襲っていることで知られている。2015年には、キリスト教式の葬儀が拒否され、遺体がヒンズー教の儀礼に従って火葬されるケースもあった。

オリッサ州のカンダマルやその近郊では、ヒンズー至上主義者によって大規模行動が呼び掛けられ、キリスト教徒を教会に行かせないために、道路に障害物が積み上げられる事態が起こっている。ほかの州では、祈祷会や聖歌隊ですら襲撃されている。

地域のキリスト教系の学校やサービスセンターでも、ほかの宗教による施設では起こらないような襲撃や「強盗」が起こっている。被害に遭ったのはホーリー・チャイルド・アウクシリウム・スクール(デリー)、聖アウグスティヌス社会奉仕会と聖ヨセフ教会(マディヤ・プラデーシュ)だ。西ベンガル州のアッセンブリーズ・オブ・ゴッドの学校では爆弾が爆発した。

キリスト教系の学校に対し、ヒンズー教の学業の女神サラスヴァティー(弁財天)の肖像画か像を設置するよう求められている。インド人民党の支配下にある学校の多くでは、ヨガとスリヤ・ナマスカール(太陽礼拝)が義務となっているか、あるいは義務化を検討している。民族義勇団(RSS)は、2017年より前に、全てのブロックに1校ずつモデル校を設置することを望んでいる。民族義勇団は、ヒンズー教の思想を喧伝(けんでん)するため、グルクル(訳注:ヒンズー教のグルと子どもたちが同居し、共に生活する全寮制の学校)と学校合わせて70万校の設立を計画している。村レベルでのモデル校設立のために、地域の若者10万人以上を選抜し、訓練している。

ナレンドラ・モディ首相の台頭によって、インドが国家間の相互礼譲(れいじょう)により発展する希望がもたらされた。しかし、国民の大多数がヒンズー教の信者で、また世界で2番目に多いイスラム教人口を抱えるインドでは、キリスト教はその非暴力の故に、2・3パーセントという極めて少数派となってしまっている。

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