温故知神—福音は東方世界へ(38)景教徒のビジネスマン伝道者には殉教者もいた 川口一彦

2016年1月21日15時10分 コラムニスト : 川口一彦 印刷
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温故知神—福音は東方世界へ(38)景教徒のビジネスマン伝道者には殉教者もいた 川口一彦

北京で発見された10世紀ごろの景教徒によるシリア語祈祷書には、殉教者の記事があり、その一文に、殉教した者は景教徒商人・ビジネスマンであったことが記されています。もともと景教徒による伝道は多くのビジネスマンたちによるものでした。

また、その商人たちはソグド人が多く、ソグド人信徒の墓碑が洛陽で発見されています。

そのシリア語訳文を佐伯好郎著『景教の研究』から抜粋し、現代訳して川口が紹介しました。

私たちはあなた(三一の神)を賛美します。義(ただ)しき直ぐな殉教者たち。あなたがたは以前からビジネスに従事してきた。見よ、あなたがたの財産は天に蓄えられている。あなたがたはあなたがたの首の血潮をもって宝玉を得た。

義しき者、主にあって喜べ。賛美は直ぐな者にふさわしい。殉教者たち、あなたがたはビジネスに従事してきた。あなたがたは海や河を渡り、山や野を越えて諸国を遍歴し、ついにあなたがたの血が流されてこの世を去った。あなたがたは祈りつつ、神の御子イエス・メシアを四方の国民に宣べ伝えた。

あなたがた殉教者たち、高きところの天のエルサレムに着き、あなたがたが首から流した血潮によって、私たちが望む天国を勝ち得た。

景教徒たちはペルシャから福音を携え、シルクロード(陸路)、シーロード(海路)を使って、艱難(かんなん)辛苦をも乗り越え、唐代中国へ福音宣教に従事しました。そして歴代の皇帝はじめ多くの人を救い、天に導きました。

ところが、845年の唐の武宗皇帝の時代、迫害と国外追放の憂き目に遭い、多くの景教徒の指導者や信徒たちが殉教。この殉教者たちを覚えた祈祷書には、景教徒がビジネスマンであったことを伝えています。当時、指導者たちも農業や家畜の飼育をしながら伝道し、商売をしながら宣教したと伝えています。

当時の彼らは、生活が保証されていた西方教会の指導者たちとは違い、イスラムが支配的になった本国のペルシャには帰れず、自分自身の全生活をかけて宣教に従事するためには、テントメーカー(自給自足の開拓伝道者。例えば異邦人宣教の使徒パウロのように)として生きることでした。信頼するのはお金でなく全能の主なる神様であり、神様からの恵みと守りと導きでした。

このシリア語祈祷書には、殉教者の姿勢が伺えます。それは殉教を特別に賛嘆するのでなく、実際になされた殉教を伝え、神を賛美しています。つまり「栄光はあなた(神)にあることを祈ります。われらの主よ、栄光は主イエスにあることを祈ります。それは私たちがあなたのみを信じ、あなたのみを避け所とするからです」とある通りです。

その祈りの文には、大変な迫害と困難の中で、彼らは「ステパノの殺害されたことを思い起こすごとに、称賛と感慨とは私に迫っています。ステパノの忍耐は私に感動を与えました」と、主イエス様の弟子たちや初期の信徒たちの生きざまから信仰を学び、神様に信頼していきました。

景教徒ビジネスマンの目標はお金を稼ぐことではなく、ビジネスを通して人を救い、いざというときは、迫害者や殺害者に対して、主イエスのようにその人を赦(ゆる)し、神の栄光をたたえて殉教を覚悟して生きていったこと。絶えず神を賛美し、信仰の目標である天の御国を慕って生きたと思います。

日本はビジネス大国ですので、ビジネスマンによって人の心に愛をもって福音を植えていくことも大切です。私は日本人のビジネス・メシアニックが宣教のため、救いの喜びを共有するため、神の栄光のために用いられるよう願っています。

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川口一彦

川口一彦(かわぐち・かずひこ)

1951年、三重県松阪市に生まれる。現在、愛知福音キリスト教会牧師。日本景教研究会代表、国際景教研究会(本部、韓国水原)日本代表。基督教教育学博士。愛知書写書道教育学院院長(21歳で師範取得、同年・中日書道展特選)として書も教えている。書道団体の東海聖句書道会会員、同・以文会監事。各地で景教セミナーや漢字で聖書を解き明かすセミナーを開催。

著書に 『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、2014年)、『仏教からクリスチャンへ』『一から始める筆ペン練習帳』(共にイーグレープ発行)、『漢字と聖書と福音』『景教のたどった道』(韓国語版)ほかがある。最近は聖句書展や拓本展も開催。

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