温故知神—福音は東方世界へ(35)中国景教遺跡巡りツアーレポート③ 川口一彦

2015年12月10日18時37分 コラムニスト : 川口一彦 印刷
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内モンゴルの二つの博物館を訪問

ツアーの一行は、北京から飛行機で内モンゴルの呼和浩特(フホホト)空港に飛び、そこからマイクロバスでシャラムレン博物館と百霊廟(パイリンミャオ、その北のオロンスムでは十字墓石が多数発見)にある博物館へと向かった。シャラムレンと呼ばれる所と、さらに北にある百霊廟では1936年前後から、十字とシリア文字が彫られた信徒の墓石が多数発見され、調査がなされた(江上波夫氏は1935[昭和10]年に現地調査に出掛けていた)。

陰山山脈を過ぎると大平原が目の前に広がり、その光景は日本では見ることのできないもので驚きの一言であった。遠くに見えたのは多くの羊の群れを導いている光景で、先頭を歩いている羊飼いの姿を見て、詩篇23篇やヨハネ10章の羊飼いと羊の記事を思い浮かべた。

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中国の元の時代には景教と呼ばれる名称はなくなり、也里可温(エリカオン=福音の意味)と呼び、会堂は大秦寺から十字寺になった。陰山山脈を過ぎて北方面の百霊廟、オロンスム地域には多くのオングト族たちが支配しており、その中にキリスト教徒のエリカオン信徒たちが生活していた。

私たちが最初に訪れたのは包頭(パオトウ)市のシャラムレン博物館であった。中に入ると草の上に無造作にシリア文字の聖句の入った墓石が置かれてあった。墓石群はこの付近で多く発見され、博物館に移管された。墓石は雨ざらしの状態で、やがて風化していくことを考えるなら購入したいとさえ思ったが、これも中国の一つの姿なのかとも考えた。近くには王の娘のミイラの遺体が地下室に保存されていた。

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しばらくすると、住宅や多くのパオというホテルが見え始め、興味が湧き起こった。パオの食堂の門前で私たちは特別な儀式で迎えられ、中に入ると卓上には羊の骨の付いた大きな肉が焼かれた姿で置かれ、豪華な昼食や、驚くばかりのおもてなしを受け、独特な異文化体験を味わった。

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私は以前にこの地を訪問したが、一度目に出掛けたときの館はなく、新しく大きな博物館が建てられ、そこに墓石群が置かれていた。すでにオロンスムには墓石がなく、百霊廟の博物館に移管されていた(写真の一つは「百霊廟大橋」と刻されてある)。

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ところで、十字墓石に彫られたシリア文字は何と書かれてあるのか。石がかなり風化していて、シリア文字の解読が難しいものであるのが残念である。北京や福建省泉州、中央アジアの十字墓石においては解読が進んでいる。

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川口一彦

川口一彦(かわぐち・かずひこ)

1951年、三重県松阪市に生まれる。現在、愛知福音キリスト教会牧師。日本景教研究会代表、国際景教研究会(本部、韓国水原)日本代表。基督教教育学博士。愛知書写書道教育学院院長(21歳で師範取得、同年・中日書道展特選)として書も教えている。書道団体の東海聖句書道会会員、同・以文会監事。各地で景教セミナーや漢字で聖書を解き明かすセミナーを開催。

著書に 『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、2014年)、『仏教からクリスチャンへ』『一から始める筆ペン練習帳』(共にイーグレープ発行)、『漢字と聖書と福音』『景教のたどった道』(韓国語版)ほかがある。最近は聖句書展や拓本展も開催。

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