「無縁社会」における最期の迎え方について 穂森幸一(2)

2015年9月9日08時30分 コラムニスト : 穂森幸一 印刷
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これはある和尚さんから聞いた話です。鹿児島市に他県から来られた高齢者が一人で住んでおられました。近くに身寄りはなく、独居老人ということで民生委員が重点的に訪問していました。その老人が病気になり、危篤になったとき、福祉課の担当者が必死に身内を探しました。やっとその方の息子さんの連絡先が分かり、連絡を入れました。

ところが驚くような返答だったというのです。「もう自分たちは関わりたくないからそっちで対応してください」という内容でした。やがてその高齢者は亡くなりました。葬儀には来てくれるだろうと思って連絡しましたが、前回と同じような反応でした。

福祉課の担当者と民生委員が立会人となり、火葬が行われました。担当者はお骨と供花を市役所に持って帰りました。そこへ別の用事で来ていた和尚さんと会い、「お寺で預かってくれ」と遺骨を渡されたというのです。

市の管理する無縁墓というのがありますが、これはあくまでも身内のいない人、行き倒れの人のもので、身内が見つかった人は埋葬できないそうです。

和尚さんは、息子さんに「自分が預かっているのでお寺まで取りに来てください」と電話したそうです。その返答にも驚かされます。「宅急便で、着払いで送ってください」ということだったそうです。しかし、何とか説得して最後は引き取りに来たということです。

ご家族にはいろいろな事情があり、第三者がとやかく言うべきではないのかもしれません。生きているときに周りにさんざん迷惑をかけると、死んだ後にも周りに迷惑をかけてしまうと和尚さんは話しておられました。その方の生き様が死に様になるそうです。

これは私が関わったケースです。ある夫婦が他県から鹿児島市に移り住んでおられました。子どもさんはいらっしゃいませんでしたが、素敵なクリスチャンで友人も大勢いらっしゃいます。奥さんが亡くなられたときは葬儀のお手伝いをさせていただきました。奥さんを天国に送られても友人たちに囲まれ、ボランティア活動に励んでいらっしゃいました。しかし、病院で大きな手術を受けられたとき、何かできないかと思って出掛けたのですが、集中治療室にいらっしゃる間は、家族以外は面会できないということで会うことができませんでした。私たちはキリストにあって一つの家族(マタイ福音書12:50)と思っていても、家庭裁判所で任意後見人の選任を受けなければ、実際には何もできないのです。行政書士、弁護士、ソーシャルワーカーなどの助けを得て、法的手続きも終活には必要です。「天におられるわたしの父のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、姉妹、また母なのです」(マタイ12:50)

ある方は海が好きで、自分は天国に行くし、墓守の負担はかけたくないということで骨は海に流してほしいと希望されました。しかし、ご遺族からすると海洋葬の場合、記念となる場所が残らず、寂しい気持ちになると言われました。分骨していくという方法もあります。また、桜の木のもとに埋葬してもらうことで、花の咲くころになると故人を偲べる樹木葬を希望される方もいらっしゃいます。

たとえ、天に召されても家族や友人とのつながりは保たれます。自分の最期に備えることは周りの人々への配慮でもあります。「あなたは私のたましいをハデスに捨てて置かず、あなたの聖者が朽ち果てるのをお許しにならないからである」(使徒2:27)

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穂森幸一

穂森幸一(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

株式会社カナルファホームページ
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