ISの脅威あるも 新しい信者と洗礼者与えられ続けるイラクの教会

2015年6月15日23時59分 翻訳者 : 木下優紀 印刷
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イラクの首都バグダッドにある教会

過激派組織「イスラム国」(IS)が、イラクの一部を占有し、非常に多くのキリスト教徒がイラクから避難することを強いられている。しかしその一方で、現地のキリスト教指導者によると、それでもなおイラクでは多くの人がイエスに立ち返っている。

中東各国で宣教を行っているレバノン・アライアンス教団は、シリアに22、レバノンに6、そしてイラクに3つの教会を持つ。イラクでは、首都バグダット、北部のドホークとアルビールに教会がある。また、聖書学校2校を運営しており、1校はレバノンの首都ベイルートに、もう1校は北アフリカ・スーダンのヌバ山地にある。最近では、エジプトの首都カイロで同教団初の教会を設立した。

同教団の創立者で代表のサミ・ダガー牧師は、1990年からイラクで宣教し、教会を指導してきた。ダガー牧師は、サダム・フセイン政権下のイラクに居住し、フセイン大統領に聖書を送り、お返しに礼状と金の腕時計を受け取ったこともあるという。当時、イラクでキリスト教会を設立することは違法であったため、ダガー牧師は表向きは託児所として教会を始め、集まったキリスト教徒たちには、共に食事をするよう勧めた。そうすれば、祈っていることを理由に警察に捕まったとしても、食事を神に感謝していただけだと言えるからだ。

ISがイラクで影響力を持つようになってから、キリスト教徒の暮らしはさらに悪くなっている。ISの支配地域では、イスラム教に改宗するか、故郷を捨てるかを選ぶことを強いられ、従わなければ命の危険にさらされる。その多くは、レバノンやシリア、ヨルダンなどイラクの隣国へ避難し、難民として暮らしている。しかし、ISに家を追われたイラク人約280万人が現在もイラク国内にいると考えられており、仮設キャンプで暮らしている人もいれば、多くは廃校や他の建物の中で暮らしている。ダガー牧師は、米国のキリスト教支援団体「サマリタンズ・パース」と提携し、イラク北部のドホークやアルビールなどにいる最も支援を必要とする人々に対し、食糧や医療、シェルターなどを提供している。

英BBCのジャーナリスト、ライス・ドーセット氏は昨年9月、ISの戦闘員がバグダット近郊まで迫ってきたと伝えた。また、「中東地域への救援と和解財団」(FRRME)も当時、ISの戦闘員が「(バグダッドの)2キロ以内にまで近づいた」と伝えた。しかし、現在に至るまでバグダッドはISの制圧を免れている。

ISが影響力を持つようになってから、バグダッドにある同教団の教会では元からいた会衆のうち80%が教会を去ったというが、ダガー牧師は「教会はいまだに新来会者で満員です」と言う。「バグダッドでは毎週日曜日、400人が集います。その約30%がキリスト教以外の宗教を持つ人です」。現在、キリスト教に改宗を決めた73人が洗礼を受ける準備をしているという。

ダガー牧師によると、イラクのキリスト教徒はISを恐れているが、それにもかかわらず、多くのイスラム教徒がキリストの元へ来ているという。「彼らは真理を求めており、恐らく自分の宗教の中にはそれを見出せないのでしょう」とダガー牧師は話す。中東地域の正教会は、イスラム教徒が礼拝に参加することを許していないが、プロテスタント福音派の教会は門戸を開いている。

国際宣教団体「ユース・ウィズ・ア・ミッション」(YWAM)のケビン・サッター氏は最近、中東地域のイスラム教徒の間で霊的なリバイバルが起きていると主張している。一方、ダガー牧師は「リバイバル」という表現は強過ぎるが、多くのイスラム教徒がその信仰に幻滅し始め、キリスト教にその答えを求めているのだろうと言う。

ISの脅威あるも 新しい信者と洗礼者与えられ続けるイラクの教会
レバノン・アライアンス教団の代表であるサミ・ダガー牧師(写真:サマリタンズ・パース)

「彼らは、自分自身に爆弾を巻き付け、自分自身と他の人を殺すために出て行き、『アラー・アクバル(アラーは偉大なり)』と叫ぶ人々を見ています。また、他の人の首をナイフで切り落とし、『アラー・アクバル』と言い放つ人々を見ています。彼らは、どうしてアラーの名においてそういったことができるのか、本当に理解できないのです」

YWAMのスタッフの中には、キリスト教に改宗したISの戦闘員に会ったと言う者もいる。この話に対し、「私は驚きません」と言うダガー牧師は、「神は奇跡を起こすことができます」と断言する(関連記事:キリスト教徒殺害していた「イスラム国」戦闘員、夢でイエスを見て回心)。

中東地域はダガー牧師にとっても危険な地だ。しかし、英国人の妻子がおり、英国に移住することができるにもかかわらず、現在79歳になるダガー牧師は、「死んで埋葬されるまで」教会を開拓し続けると話す。

「聖霊は、私に(中東に)とどまる勇気と牧者を与え、暗い所に光をもたらしました。私たちは、神の言葉によって肩書が与えられています。その一つは、私たちはキリストの大使であるということです。私たちには和解の働きがあるのです。もし全ての働き手がレバノン、シリア、イラクから去ったら、誰が神と人を和解させるのですか? 誰が行くのですか? また、私たちには別の肩書もあります。私たちは世の光です。シリアは暗い所、イラクは暗い所、レバノンは暗い所、クルド人自治区も暗い所です。光がそこから去ったら、誰がそこを照らすのですか? 神によれば、私たちは暗い所を照らさなければなりません。暗い所なら、1本のろうそくから違いを生み出すことができます」

※この記事は英国クリスチャントゥデイの記事を日本向けに翻訳・編集したものです。一部、加筆・省略など、変更している部分があります。

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