インドのキリスト教ジャーナリストが告発 破壊されたキリスト教共同体と謎の本(3)

2014年8月14日10時23分 記者 : 行本尚史 印刷

この殺人と公判における主な出来事は次の通りである。

2008年8月23日にスワミ・ラクシュマナナンダ・サラスワティが他の4人と共に覆面の殺し屋たちに銃殺された。

警察は、この殺人が毛沢東主義者たちの仕業であり、その共産主義者たちが自ら犯行を主張したと即座に宣言した。

7人のキリスト教徒たちが逮捕され、この殺人のかどで裁判にかけられた。しかし、染められた集団たちは、真の殺人犯たちが逮捕されていないと繰り返し抗議した。

2011年8月4日、オリッサ州高裁はベティコラ決議を決定的に重要な証拠とするということを基本として新たな徹底調査を求めた。しかし、調査を命令することはなかった。

5周年である2013年に、染められた集団の指導者であるアショク・サフが「死ぬまで断食」を行い、真犯人の逮捕を要求したが、数日後にそれをやめた。

訴えられた殺人は簡素裁判所での4年間にわたる公判の間に100回近くも行われていた。

2013年3月に、簡素裁判所は閉鎖され、裁判長のビランチ・N・ミシュラは2013年7月に引退した。

新しい再審裁判所の裁判官は、2013年10月3日、訴えられた8人(キリスト教徒が7人と毛沢東主義者が1人)を有罪とし、彼らを終身刑に処した。

その判決文の冒頭の段落は次の通りである。

ヒンドゥー教の僧侶であるベーダンタ・ケシャリ・スワミ・ラクシュマナナンダ・サラスワティ(以下「スワミ師」とする)は、降誕日という聖日、すなわち2008年8月23日に、ある正体不明の攻撃者たちによってカンダマルの地域にあるジャレシュペタの僧庵で残忍にも殺された。彼は非常に尊敬を集めた宗教指導者であり、彼の人生は部族の福祉にささげられていた。スワミ師が、キリスト教の宣教師たちと牛屠殺反対運動の支持者による詐欺的な改宗と闘ったことが記録に残されている。彼はカンダマルで社会の隅に追いやられた貧乏な人たちの社会経済的な福祉のために働き、その宣教師たちは人々を生まれつきの信仰から改宗するために毛沢東主義者たちと組んで慈善活動を見せかけのために利用し、彼らがスワミ師暗殺の実行犯であり共謀者であるという主張がなされている。この暗殺は、膨大な被害と人々の財産に対する損失を引き起こした、カンダマル地区における宗教共同体の広範な暴動に続いて行われた(6000軒のキリスト教徒の家屋と300カ所の教会を指すものとして読むこと)。

カンダマルをきれいごとで済ませるNHRC

「人権のより良い保護」を確実にするという任務をもって設立された全国人権委員会(NHRC)は、(グジャラート州の)ゴドラにおける大虐殺(2002年にグジャラート州ゴドラで列車火災により59人が死亡し、それをきっかけに起きた暴動で1200人を超えるイスラム教徒が死亡した)以後の被害者たちにとって希望の印であった。しかしながら、それはカンダマルについては5年たっても一つの記者発表すら行わなかったのである。

カンダマルにおける破壊行為に関するこの謎の沈黙に対して反応を得ようと繰り返された努力は、反応を引き起こすことにはならなかった。実は、驚愕すべきことに、NHRCの調査団によって提出されたこの「調査報告書」は、カンダマルにおける膨大な人権侵害をきれいごとで済ませるために明白な試みを行ったのである。「救援キャンプは良く確立された」というNHRCの広範囲な所見は、水の供給や公衆衛生すらない青空難民キャンプの嘆かわしい状態を強調している社会運動団体の暴露報告とは著しい対照をなしていた。

NHRCの調査団は広報関係者を問題山積みのオリッサ州警察寄りにしてしまったように見える。この調査団の無神経さは、生きたまま焼かれてしまったヒンドゥー教徒の若い女性に対する集団強姦(ごうかん)と殺人についての報告において強められた。

「20歳の故ラジャニ・マジヒは、孤児院で暮らしている子どもたちの命を救うために、彼女自身の命を犠牲にした・・・」と、NHRCの調査員たちは述べた。衝撃的なのは、NHRCはヒンドゥー教徒の女子大生の集団強姦と生きたままの焼身を報告をし損ねたか、または意図的に覆い隠したことである。彼女自身もまた孤児であり、22人の幼いヒンドゥー教徒の孤児の男の子たちの世話をキリスト教センターでしていたのである。

全国的な人権監視機関がカンダマルの大火災をきれいごとで済ませていることは、それが誰の報告を実行していたのかという疑いをももたらすのである。

訳者注:アント・アッカラ氏には、『Kandhamal : A Blot on Indian Secularism(カンダマル:インド世俗主義の汚点)』(Media House)、『Shining Faith in Kandhamal(カンダマルの輝かしい信仰)』(Asian Trading Corporation)、『Kandhamal craves for Justice(正義を求めるカンダマル)』(Veritas India Books)、『Early Christians of 21st Century - Stories of incredible witness from Kandhamal jungles(21世紀の初期キリスト教徒たち―カンダマルのジャングルからの信じられない証しの物語)』(同)などの著書がある。

インドのキリスト教ジャーナリストが告発 破壊されたキリスト教共同体と謎の本(3)
アント・アッカラ氏の著書

■ インドの破壊されたキリスト教共同体と謎の本:(1)(2)(3)

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