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インドのキリスト教ジャーナリストが告発 破壊されたキリスト教共同体と謎の本(1)

2014年8月14日10時08分 記者 : 行本尚史
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関連タグ:インドアント・アッカラ
インドのキリスト教ジャーナリストが告発 破壊されたキリスト教共同体と謎の本(1)+
謎の本『Harvest of Hate―Kandhamal in Crossfire(嫌悪という収穫―十字砲火の中のカンダマル)』(左)と『ORISSA in the CROSSFIRE – Kandhamal Burning (十字砲火の中のオリッサ―燃えるカンダマル)』(右)

野党であるインド国民会議の上級指導者、ディグヴィジャヤ・シン氏は11日、同国の与党であるインド人民党(BJP)の母体でヒンドゥー至上主義を掲げる「民族義勇団」(RSS)のイデオロギーをタリバンのそれにたとえ、この右翼団体がインドの平和を損なっていると述べた。インドの英文ニュースメディア「インディア・トゥデイ」などが同日に報じた。

シン氏はRSSが宗教共同体のイデオロギーを広めている本に言及し、「マイケル・パーカー著『Harvest of Hate―Kandhamal in Crossfire(嫌悪という収穫―十字砲火の中のカンダマル)』と、ブランノン・パーカー著『Orissa in the Crossfire(十字砲火の中のオリッサ)』という本がある。これらはインド財団から出版されている。しかし、この本やインターネットにはこの本の出版者に関する情報がない。さらに、これらの本の前書きは内閣のニルマラ・シタラマン大臣によって書かれている」と述べた。

カンダマルはインド南東部のオリッサ州にあるキリスト教徒が住む地域で、2007年12月に暴動で多くの教会や住民が甚大な被害を受けた。

シン氏はこれらの本の発禁とこの問題に関する調査を要求した。同氏はもし政府がこのような本の流通を認めるならば、それはインドにおいて宗教共同体に対する暴力が拡大することにつながるだろうと述べた。

一方、カンダマルに関する調査報道で昨年に国際キリスト教メディア機構(ICOM)からジャーナリズム国際人権賞を受賞した、インドのキリスト教ジャーナリストでカトリック信徒のアント・アッカラ氏は、6日、英文ニュースメディア「マターズ・インディア」で「カンダマル:茶番劇とこの国に対する欺瞞」と題する論説を寄稿し、次のように述べた。以下は、本紙が同氏の許諾を得てそれを転載・翻訳したものである。ただし、文末にある添付資料は省略した。

◇

2008年8月のスワミ・ラクシュマナナンダ・サラスワティ(部族の福祉のために生涯をささげ、インドで非常に尊敬を集めた宗教指導者でヒンドゥー教の僧侶)に対する謎の殺害の後、オリッサ州のカンダマルにあるジャングルが炎につつまれてキリスト教徒たちが追い回されてから約6年が経ったが、あののどかな丘の地域は正義を切望している。

(オリッサ州都のブバネーシュワルにある「正義と平和及び人権に向けたイニシアティブ」によると)何週間も続いて衰えることのない暴力で、100人を超える人々が死に、6000軒近いキリスト教徒の家屋と300カ所の教会が破壊された。

この流血と破壊行為を裁くために2つの簡素裁判所が設置されたにもかかわらず、828の供述調書に名前が挙げられた1万1300人以上のうち、たったの3181人しか裁判にかけられておらず、放火や暴動のような軽微な犯罪に対しては477人しか有罪判決を受けていない。

いかさまの調査と精彩を欠く起訴、そして証人に対する脅迫の横行のせいで、27件の殺人裁判のうち、2件を除けばそれ以外はみな殺人容疑が無罪放免で終わってしまった。7件の別々の殺人で訴えられたにもかかわらず、BJPによって候補に仕立て上げられ、獄中から立法議会の議員に選出されたマノジ・プラドハンは、簡素裁判所の入り口で見張り番として座っていた上、裁判所の構内においてさえも証人たちを脅していた。

ところが、それに対して行われた事件の裁判の途中で、簡素裁判所は2013年に解散してしまったのである。

『Harvest of Hate(嫌悪という収穫)』—謎の本

カンダマルの大火災にはもっと大きな計画があったのではないかという疑惑は、マイケル・パーカーの著書で謎の「インド財団」によって、ニューデリーの実在しない住所から出版された『Harvest of Hate―Kandhamal in Crossfire(嫌悪という収穫―十字砲火の中のカンダマル)』という本の出版によって強まった。

この本の題名自体が、スワミ・アグニヴェシュとヴァルソン・タンプ師による『Harvest of Hate – Gujarat under Siege(嫌悪という収穫―包囲されたグジャラート州)』という本の題名からの盗作である。

この題名とは裏腹に、この348ページの本はキリスト教徒たちに対して浴びせられたあの残忍な憎悪の犯罪を無視し、ずうずうしくもそれを正当化したのである。サッと通読しただけでも、その文言と内容によって誰もが本当にそれがシアトルに居を構える米国の人類学者の作品なのかと不思議に思うだろう。

キリスト教について流言を広めたこととは別に、この『嫌悪という収穫』はキリスト教徒の魔女狩りに反対して声を上げた他の人たちさえも見逃さなかった。カンダマルのキリスト教徒たちの魔女狩りについての公判の間に痛烈な批判的発言をしていた最高裁判所のマルカンディ・カッジュ裁判官――現在はインド報道協議会の議長だが――は、「インド国民会議によって書かれた台本に従っている」と露骨に非難されたのである。

このかさばった本が匿名の送付人たちによってタダで送られ、RSSの指導者たちによってさえ教会の最高指導者たちに「贈呈」されているにもかかわらず、また、現在ナレンドラ・モディ首相の内閣の大臣でBJPの上級指導者であるニルマラ・シタラマンによる「前書き」があるにもかかわらず、それはその(出版社の)住所では販売向けに入手できず、そのEメールアドレスからは全く返事もなかった。現実には存在しない「インド財団」には電話番号さえないのである。(続く)

■ インドの破壊されたキリスト教共同体と謎の本:(1)(2)(3)

関連タグ:インドアント・アッカラ
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