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日本人には「難解」なキリスト教映画「ノック 終末の訪問者」

2023年4月4日14時09分 執筆者 : 青木保憲
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日本人には「難解」なキリスト教映画「ノック 終末の訪問者」+
映画「ノック 終末の訪問者」 / 4月7日(金)TOHOシネマズ梅田ほか全国ロードショー / 配給:東宝東和 ©Universal Studios. All Rights Reserved.

常々思っていることだが、キリスト教を日本で浸透させようと思うなら、絶対にハリウッド映画の紹介がいい。なぜなら、ハリウッド映画こそ「起承転結」のフォーマットを踏襲する映画であり、しかもストーリー運びに必ずキリスト教的な要素が加わっている。特にホラー映画のモンスターや悪役は、必ずと言っていいほど反キリスト的な存在である。また、普通のアクション映画やサスペンスであっても、人々に興奮と感動を与える要素として、必ず聖書的小ネタが仕込まれている。

一方、ストレートなキリスト教映画もあるが、これには二通りある。「神は死んだのか」や「パッション」のように、自分たちが「正しい」と思うことをそのまま「正しいでしょ?」と提示する作品がある一方で、単なる聖書物語の焼き直しでは面白くないと思うのか、あえてひねりや逆張りを加えてくる作品がある。

日本人にとっては、後者が厄介だ。なぜなら、聖書的知識や前提がないため、「どうしてこんな展開に?」と考え込んでしまうからだ。欧米諸国では「この流れで行くと、きっとこうなる」という予想ができ、その前提に沿った展開となるか、それともあえて王道から外れる展開となるか、ということになる。

例を挙げるなら、聖書物語の前提に沿った展開なのが、ダーレン・アロノフスキー監督、ジェニファー・ローレンス主演の「マザー!」だ。一方、聖書物語の前提を大きく外れる展開となっているのが、これまたアロノフスキー監督によるラッセル・クロウ主演の「ノア 約束の方舟」や、リドリー・スコット監督、クリスチャン・ベール主演の「エクソダス:神と王」である。

日本人には「難解」なキリスト教映画「ノック 終末の訪問者」
©Universal Studios. All Rights Reserved.

さて、本作「ノック 終末の訪問者」は、絶対に「マザー!」的作品である。聖書の「終末論」という前提なしには、本作は絶対に理解できない。言い換えるなら、終末論についての基本的な知識があれば、「だからこんな展開なのか」と理解することができるし、「なるほど、ここをあえてこう変えたのね」とニンマリできるだろう。

ストーリーは結構単純だ。しかしとんでもない。

静かな森の奥で過ごしている3人家族。娘のウェンは養女。彼女には「二人」の父親がいる。アンドリューとエリックである。母親はいない。つまり、ゲイカップルの家庭に養子縁組でもらわれてきたのである。ただし、この設定に他意はない。M・ナイト・シャマラン監督は、「本作は現代の聖書物語である」と述べているが、古めかしいコスチューム劇ではなく、現代の話だと観客に認識してもらうためにあてがった「現代的な家族構成」でしかない。ここを深読みすると、話がややこしくなると思われる。

この仲むつまじく暮らす一家の元に、奇妙な武器を持った4人の男女が訪れる。彼らは一見紳士的な振る舞いで近づいてくる。しかし、彼らを不審に思ったー家の人たちが窓や扉を締め切ると、いきなり暴力的になり、窓を破り、扉を蹴飛ばして中に侵入してくるのであった。抵抗もむなしく縛り上げられるアンドリューとエリック。そして侵入者たちは驚くべきことを告げる。

「いつの世も選ばれし家族が、決断を迫られた。君たちの一人が犠牲となり、止めるのだ。世界の終末を。君たちの拒絶は、何十万もの命を奪う」

日本人には「難解」なキリスト教映画「ノック 終末の訪問者」
©Universal Studios. All Rights Reserved.

皆さん、ついてきていますか。ここで「はぁ?」「どういうこと?」となるはずである。この物語に「理解と納得」はあるのか、そんな疑問が頭を飛び交うだろう。この先は触れられないので、直接劇場でその後の展開を見ていただきたいのだが、この時彼らが語る言葉の中に、聖書の終末論が透けて見える(はずである)。

本レビューではネタバレはできないので、婉曲(えんきょく)的な表現となるが、ヒントをちりばめることはできる。まず前提として、この極限的な状況から奇跡的に脱出するすべはない。彼らが語った通りであり、それを「聖書的に正しい」と受け止める知識がなければ、本作を「トンデモ映画」として処理してしまうだろう。特に当たり外れの大きいシャマラン監督の作品だけに、「シャマランがまたやらかした!」と言って終わりにしてしまう可能性は大いにある。

しかし本作は、終末論を詳しく知っている者(これは神学者や牧師、ごく一部の信徒に限られるのが日本の悲しい現実なのだが)にとっては、かなり興味深い設定で物語が展開することになる。そもそもキリスト教の中心にある「福音」という考え方は、三位一体である神の第二格であるイエス・キリストが、全人類の罪を贖(あがな)うために、「犠牲の死」を遂げるべくこの地にやって来ることから始まる。

その後の展開は、福音書やパウロなどの手紙によって、ある程度のバリエーションはあるが、いずれにせよ「人類はたった一人の神の子の犠牲によって救われる」ことで一致している。そして、十字架で人類のために亡くなったイエス・キリストは、3日目によみがえり、天に帰る。

そしてまたいつか(この時は分からないとされている)、しかるべき時にイエス・キリストはこの地にやって来て、そして世界の人々は「最後の審判」を受け、良き存在と悪しき存在に分けられ、前者は天国へ、後者は地獄へ行く。この2つを分けるのは、「イエス・キリストを信じているかどうか」ということになっている。そして、これらが終わった後(もしくはその前に)、この世界は終わる。

ざっくり言うと、これが聖書の終末論である(本当にざっくりとした説明なので、突っ込みどころ満載であるのはお許しいただきたい)。

日本人には「難解」なキリスト教映画「ノック 終末の訪問者」
©Universal Studios. All Rights Reserved.

さて、この終末論に当てはめるなら、本作はストーリー自体が大きなメタファーとして回収されることになる。ここでは、以下に幾つかのヒントをにおわせて終わりにしたい。できることなら、半年後くらいにしっかりとした「ネタバレありレビュー」を書き下ろしたい。

  • 一家は「3人」暮らしである。父親たちの間に優劣はないが、男女差を感じさせるジェンダー差別は存在しない。
  • 一人が全人類の代わりに「死ぬ」ことで、世界が救われる。
  • これは一家にとって「つらい決断」である。ちなみに、日本のワーシップソングの中に「父の涙」という名曲がある。その歌詞を検索してもらいたい。そこには、一人子を犠牲にする父のつらさが切々と語られている。

そして、最後のヒントとして一つの言葉を紹介したい。それは、クリスチャンたちの間で語られる「もしイエス様だったらどうするか?(What Would Jesus Do?)」という言葉である。これは、もし聖書に描かれているイエス・キリストが現代に生きていたら何をするかを考え、「イエス様と同じように考え行動すべきだ」と自らを方向付けていくための言葉である。

いかがだろうか。ぜひ本作を観終わった後、これらのヒントについて、皆で語り合ってもらいたい。すると、シャマラン監督が本作で示したかったことがきっと分かるはずだ。

映画「ノック 終末の訪問者」は、4月7日(金)からTOHOシネマズ梅田ほかで全国ロードショーされる。

■ 映画「ノック 終末の訪問者」予告編

■ 映画「ノック 終末の訪問者」公式サイト

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

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