Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 文化
  3. 映画

命は誰のもの? 人生の始まりと終わりを「操作」する問題に警鐘を鳴らす2作品 「ベイビー・ブローカー」「PLAN75」

2022年7月22日15時46分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
命は誰のもの? 人生の始まりと終わりを「操作」する問題に警鐘を鳴らす2作品 「ベイビー・ブローカー」「PLAN75」+
映画「ベイビー・ブローカー」(配給:ギャガ)と映画「PLAN 75」(ハピネットファントム・スタジオ)のポスター。共に全国で公開中。

2022年6月24日は、米国史に刻まれる日となるだろう。米連邦最高裁はこの日、1973年に下された「ロー対ウェイド」裁判の判決を覆し、中絶する権利は憲法が定めるものではないと結論付けた(この件に関しては、また後日まとまったものを提示したいと考えている)。この議論の対立点は、「命は誰のものか」ということになる。言い換えれば、「誰が命を扱っていいのか」ということである。胎児を宿した「母親(女性)」か、それとも「胎児それ自体」に帰すべきなのか――。

このような命をめぐる議論に深く関わる映画が、日本で相次いで公開された。公開時期は前後するが、命の始まりとその終わりという時系列で考えるため、まず「ベイビー・ブローカー」(6月24日公開)を取り上げたい。

「ベイビー・ブローカー」

今年の第75回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品された作品で、監督は是枝裕和、主演はソン・ガンホ。4年前の第71回カンヌ国際映画祭で、最高賞のパルムドールを「万引き家族」で受賞した是枝監督が、韓国の大スター、ソン・ガンホとタッグを組んで作り上げた最新作が本作である。今回はソン・ガンホが最優秀男優賞を、作品自体はエキュメニカル審査員賞を受賞している。

物語は、何らかの事情で育てられない赤ちゃんを匿名で預かる「赤ちゃんポスト」が置かれている教会から、秘密裏に赤ちゃんを連れ出し、子どもを欲しがっている夫婦へ引き渡す裏家業「ベイビー・ブローカー」に手を染めているサンヒョン(ソン・ガンホ)とドンス(カン・ドンウォン)が、一人の新生児を手にしたところから始まる。彼らはいつものように、この赤ちゃんを買い手のところへ届けようとするが、何とその前に、赤ちゃんの母親が現れる。赤ちゃんを盗んだことがバレることを恐れた2人は、この母親を連れて赤ちゃんのもらい手を探す旅に出ることになる。

命は誰のもの? 人生の始まりと終わりを「操作」する問題に警鐘を鳴らす2作品 「ベイビー・ブローカー」「PLAN75」
映画「ベイビー・ブローカー」より ©2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

一方、頻発する「赤ちゃん誘拐事件」を追っていた女性刑事2人は、サンヒョンとドンスを尾行し、赤ちゃん売買の決定的瞬間に彼らを逮捕しようとしていた。追う者と追われる者、赤ちゃんを売ろうとする者とそれを手にしようとする者。この対立軸が次第に崩れていく様をカメラは追っていく。ドンスがかつて過ごしていた孤児院から、一人の少年がこの旅に加わったことで、サンヒョンらはまるで「家族」のような温かい交流を始めるが、物語はさらなる急展開を迎えることになる――。

本作の肝となるのは、是枝監督もインタビューで語っているとおり、やはり物語の中心に存在する赤ちゃんである。この子は一言も発しない。そして、さまざまな大人に抱っこされる。しかし、次から次へと、たらい回しのように手渡され、それと同時にこの子の運命も大きく変化していくことになる。

映画「ベイビー・ブローカー」予告編

考えてみると、私たちもこのような時期を経て、「赤ちゃん」から物心つく「子ども」へと成長し、時とともに「大人」になっていく。映画を観ながら、もしかしたら私も、自分の運命を左右する「手」に抱かれてどこかへ運ばれていたのかもしれない、と思わされた。それは決して気分のいいものではない。「疑似家族モノ」として見るなら、「万引き家族」と同じようなストーリーをなぞっているようにも見えるだろう。しかし本作は、「命は誰のもの?」という問いを、生まれたばかりの赤ちゃんの寝顔や笑い顔を通して突き付けてくる社会派ロードムービーである。

「PLAN 75」

一方、「静かな最大級の衝撃」という言葉を冠してもいい作品が「PLAN 75」(6月17日公開)である。監督は早川千絵。彼女は奇しくも、前述した「ベイビー・ブローカー」の是枝監督が初めて総合監督を務めたオムニバス映画「十年 Ten Years Japan」の第1編である、本作と同名の短編映画の監督である。ここで評価を受けた早川監督が、長編作品として新たに構成したヒューマンドラマが本作である。

命は誰のもの? 人生の始まりと終わりを「操作」する問題に警鐘を鳴らす2作品 「ベイビー・ブローカー」「PLAN75」
映画「PLAN 75」より ©2022「PLAN 75」製作委員会 / Urban Factory / Fusee

超高齢化社会が到来した近未来日本。若者たちが高齢者を襲う事件が頻発したことに端を発し、75歳以上の高齢者に自ら死を選ぶ権利を保障し支援する制度「プラン75」が導入されることになる。もしも「死ぬ権利」を公的に保障する社会が日本に生まれたら?という、空恐ろしい「もしも」をリアルタッチで描き出しているのが本作である。日本社会がその制度に振り回され、人生のゴール間近で「命は誰のもの?」と問わざるを得ない「私たちの未来」を淡々と描く本作は、具体的な恐ろしい出来事が起こらないからこそ、その底流に流れる「あらがえない死へのいざない」に背筋が寒くなってしまう。

職を失い、「プラン75」の申請を考え始める主人公の高齢女性を倍賞千恵子が演じ、「ビリーバーズ」の磯村勇斗、「由宇子の天秤」の河合優実ら、新進気鋭の個性派俳優陣が脇を固めている。彼らの中にいつしか生じる「心のノイズ」は、いつしか私たち鑑賞者の心にも広がっていく。スクリーン上では何もひどいことが起こっていないにもかかわらず、目をそむけたくなるような気持ち悪さが全編を覆っている。だが、それを見据えなければならない。なぜならこれは、確実に近い未来に起こり得ることだからである。命は、たとえ自らの命であっても、人間がそれを「操作」していいのか。本作は、そういった問いを突き付けてくる。同じような感覚に陥った作品として、カズオ・イシグロの同名小説を原作とした「わたしを離さないで」がある。これも併せて鑑賞すると、さらに落ち込むこともあるかもしれないが、命の尊さを考える機会にはなるだろう。

映画「PLAN 75」予告編

このように命をめぐる作品が、ハリウッド大作の陰でつつましやかに公開されている。ぜひ鑑賞し、友人・知人と語り合ってもらいたい。ひとたび語り合えば、それはきっと、聖書が語る生命観や人間観をシェアする機会となるだろう。

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

  • ツイート

関連記事

  • 映画「破戒」に見る人間の罪性と神のまなざし

  • 4K映像で再び劇場に!「ショーシャンクの空に」 キリスト教的世界観をベースに描き出された希望の寓話

  • 「流浪の月」 人の「分かり合えなさ」を映画ならではの手法で描く傑作

  • 「悪」はいかに伝染するか 「心の闇」描くサイコサスペンス映画「死刑にいたる病」

  • 「寄り添う」ことの大切さと難しさを問い掛ける秀作 映画「前科者」

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • ヨハネの黙示録(3)御言葉と証し 岡田昌弘

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.