Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 文化
  3. 映画

「寄り添う」ことの大切さと難しさを問い掛ける秀作 映画「前科者」

2022年1月17日13時15分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
「寄り添う」ことの大切さと難しさを問い掛ける秀作 映画「前科者」+
©2021 香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会

2022年に入り、「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」のメガヒット現象が日本でも起こっている。劇場が活況になることはいいことだ。とはいえ、コロナ禍でハリウッド大作が停滞したため、その穴を埋めるように公開館数を増やしてきた良質の日本映画が再び隅に追いやられてしまう。これは嘆かわしいことだ。現在はその過渡期だといえよう。

そんな中、この1月から3月にかけて、奇しくも同じテーマを扱った作品が公開される。その一つが「前科者」である。1月28日の劇場公開に先立ち、WOWOWで主人公の前日譚(たん)に当たるドラマ版「前科者―新米保護司・阿川佳代―」(全6話)が放送された(現在は、WOWOWオンデマンドとアマゾン・プライム・ビデオで配信中)。主演は有村架純。原作は「ビッグコミックオリジナル」(小学館)で2018年から連載中の同名の人気漫画である。監督は「二重生活」「あゝ、荒野」(前篇・後篇)の岸善幸。ちなみに筆者は、「あゝ、荒野」(後篇)のクライマックスであるボクシングシーンは日本映画史に残る名シーンだと考えている。

さて保護司とは、保護司法と更生保護法に基づき、法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員で、犯罪や非行に陥った人の更生を任務とする職務である。基本無報酬(活動内容に応じて実費弁償金は支給される)で、民間のボランティアによって成り立っている。つまり「生活の糧としての職業」ではなく、この働きに意義や意味を見いだした人々の手によって運営されているのである。正直、このあたりの法制度についてはほとんど知らなかった。不勉強を恥じた次第だ。

「寄り添う」ことの大切さと難しさを問い掛ける秀作 映画「前科者」
©2021 香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会

ドラマ版で描かれたような新米時代を終えた保護司・阿川佳代(有村架純)は、会社の同僚を刺殺した罪で前科者となった工藤誠(森田剛)と向き合うことになる。いつものように優しく元犯罪者の更生を手助けしようとするその姿は、どことなく現代キリスト教会の牧師のイメージと重なるように思えた。考えてみれば牧師も、保護司に近い働きで社会に貢献していることになる。基本無報酬(教会からの献金のみ)で、どこか心に傷を負った人々と向き合い、そして彼らの更生(キリスト教用語では「救い」)のために尽力する。そこには、単に自教会の信者を増やすというだけでなく、キリスト教精神に基づいて、個々人が社会でたくましく生きていけるように手助けするという「広い意味での福音宣教」が重ねられている。いつしか主人公の阿川に自らの牧師像を重ねて観てしまうのは、職業柄致し方ないことなのかもしれない。

映画そのものの出来は、さほど傑出しているとは思えない。物語の流れにところどころ無理が見られ、ご都合主義的なストーリー展開も否めない。しかし、それを補って余りある阿川のキャラクターが本作最大の魅力となっている。劇中、自らの職務に疑問を抱いてしまった阿川に対し、友人(元犯罪者で、更生し社会生活をまっとうに送っている女性)が、次のような内容を語り掛けるシーンがある。

「犯罪を犯した後で会うやつら(警察官、弁護士、裁判官など)は、まっとうで強い人間ばっかり。あいつら世間を代表したような気になって『今日からまともになれ』って言いやがった。でも佳代ちゃんは違った。佳代ちゃんが隣にいると落ち着ける。前科者に必要なのは、あんたみたいな人間だよ」

「寄り添う」ことの大切さと難しさを問い掛ける秀作 映画「前科者」
©2021 香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会

ここに本作のテーマが熱く語られている気がした。映画ならではのサスペンスやどんでん返しを取り込んで2時間余りの作品にしているため、どうしてもヒューマンドラマとしての相性は良くない。しかしそれを補って余りあるのは、この「寄り添う人」の描写である。

聖書に次のような言葉がある。

キリストは、神の御姿であられるのに、神としてのあり方を捨てられないとは考えず、ご自分を空しくして、しもべの姿をとり、人間と同じようになられました。(新約聖書・ピリピ人への手紙2章6~7節)

これこそが「寄り添う人」の姿である。現代は、頭ごなしの叱責や激励は好まれないようだ。むしろ葛藤し、苦しむ人々に寄り添い、彼らを包み込むことで、その人自らが変貌を遂げていく姿を見守ることこそ、求められているのかもしれない。

「寄り添う」ことの大切さと難しさを問い掛ける秀作 映画「前科者」
©2021 香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会

そんな「寄り添う人」として、阿川は描かれている。何事にも実直で、やれることは全力で取り組む。時としてそのストレートな性格の故に失敗したり落ち込んだりする。有村が演じているからかわいいと思って観ていると、いつしかそこに実在の「阿川佳代」がたたずんでいるような錯覚に陥ってしまう。それくらい有村の自然な演技を堪能することができる。そしてその姿に「一匹の羊を探す牧者」と共通するものを感じられた。

本作はぜひ、全国の牧師の皆さんにご覧になっていただきたい。きっとスクリーンの中に自分の姿、またはかつてそのような意欲に燃えていた頃の自分のパッションを見いだすことだろう。そして劇場を去るとき、「もう一度!」と心新たにすることができるはずである。

■ 映画「前科者」予告編

■ 映画「前科者」公式サイト

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

  • ツイート

関連記事

  • 映画「教誨師」に見る宗教の現代的役割

  • 牧師の小窓(175)映画「教誨師」を観て<上> 福江等

  • 死刑制度めぐり被害者遺族と加害者が対談 パネリストらが支援団体結成

  • 死刑囚2人の死刑執行 加害者・被害者遺族・牧師の立場から死刑制度を考える

  • 刑務所伝道シリーズ特別編 鈴木啓之牧師×進藤龍也牧師対談(前編)

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.