牧師の小窓(175)映画「教誨師」を観て<上> 福江等

2019年7月14日19時48分 コラムニスト : 福江等 印刷
+映画「教誨師」に見る宗教の現代的役割
©「教誨師」members

先日、以前から観てみたいと思っていた「教誨師」という映画をテレビで観る機会を得ました。この映画は同じ題名の本で堀川恵子という方が書かれた実話を元に映画化したものと思っていましたが、映画と本とではまったく印象が異なるものでした。それだけ新鮮な感動を持って観ることができました。ストーリーは次のようになっています。まずウィキペディアに記載されている要約を引用いたします。

「死刑囚の教誨師を務めるプロテスタントの牧師・佐伯は、月に2度拘置所を訪れ、年齢や境遇、性格の異なる一癖も二癖もある6人の死刑囚と面会する。独房で孤独に過ごす死刑囚たちにとって、教誨師の佐伯は良き理解者であり、格好の話し相手でもあった。佐伯は死刑囚たちに聖書の言葉を伝え、彼らに寄り添い話に耳を傾け、悔い改めることで安らかな最期を迎えられるよう対話を重ねる。無言を貫く者、真剣に思いを語る者、罪を他人のせいにする者、一貫して攻撃的な態度をとり続ける者・・・。佐伯は、死刑囚たちに自分の言葉が本当に届いているのか、牧師として本当に正しいことをしているのかと絶えず疑問をもち葛藤する日々を送る。この葛藤を通して忘れたい過去と対峙し、自らの人生と向き合うことになる佐伯。そして、ある受刑者に死刑執行命令が下される」

このように6人もの人々の人生が断片的に次々と出てくるので、ストーリーについていくのが難しい映画ですが、全体的に流れているのは、教誨師の佐伯自身に問い掛けられる福音理解と自己理解、人の人生に寄り添うことの意味の理解が深化していく過程であったと思います。最初は死刑囚たちに心の平安を見いだしてもらいたくて、聖書のみことばを語ろうとするのですが、彼ら(一人の女性を含む)の心には届きません。そして、彼らの話を聞いているうちに、一つの犯罪の背後には複雑な人間の心の動機が網の目のようにもつれ合っており、一体誰が悪くて誰が死刑に値する人間であり、神の前に悔い改めるべきかよく分からなくなってきます。

佐伯自身にも悲しい過去があり、自分の兄弟が殺人を犯して刑務所で自死をしています。自分がまったく同じことをしてしまった可能性もあるのです。そんな佐伯がある受刑者の死刑に立ち会うことになるのです。(つづく)

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福江等

福江等(ふくえ・ひとし)

1947年、香川県生まれ。1966年、上智大学文学部英文科に入学。1984年、ボストン大学大学院卒、神学博士号修得。1973年、高知加賀野井キリスト教会創立。2001年(フィリピン)アジア・パシフィック・ナザレン神学大学院教授、学長。現在、高知加賀野井キリスト教会牧師、高知刑務所教誨師、高知県立大学非常勤講師。著書に『主が聖であられるように』(訳書)、『聖化の説教[旧約篇Ⅱ]―牧師17人が語るホーリネスの恵み』(共著)、『天のふるさとに近づきつつ―人生・信仰・終活―』(ビリー・グラハム著、訳書)など。

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