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リビングストンの生涯

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(最終回)先生はお祈りしているのだよ

2022年2月9日13時55分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説+
リビングストン(1813〜73、写真:Thomas Annan)

一行がウジジに着いて間もなく、テントの外にいたスーシがあわてて駆け込んできた。「先生、人が来ました。アメリカ人だそうです。ぜひ先生にお会いしたいと言っています」。病み衰えたリビングストンは、ありったけの力を振り絞って客を迎えた。それは米国の新聞記者ヘンリー・モートン・スタンレーであった。彼はニューヨーク・ヘラルド社の依頼を受けて、消息を絶ったリビングストンを探しにここまでやってきたのだった。

「世界中の人が先生のことを心配しているのですよ」。スタンレーはこう言うと、従者の荷を解かせ、すぐに食事の用意をさせた。それはパン、チーズ、焼き肉、ビスケット、ゼリーなどで、リビングストンは久しぶりに十分な食事をとることができた。

「先生は良い従者をお持ちですね」。スタンレーは、スーシとチューマが自分の父に対するようにリビングストンの世話をする姿を見て感動したように言った。そしてその夜、2人はいろいろな問題について語り合ううちに、アフリカの開発と奴隷制度の撤廃について意見が一致し、親友となったのだった。

やがてわずかにリビングストンの体力が回復してくると、2人は一緒にタンガニカ湖を回ってナイルの水源を調査したり、ウジジから東に向かって480キロもの旅をして大きな村ウンヤンベに到着した。そこでスタンレーはリビングストンに一緒に英国に帰るよう誘ったが、彼はそれを拒絶して言った。

「私は決してアフリカを去ることはできません。やりかけた探検を終えたいし、報告書も完成させなくてはならないのです」。彼はすでに自分が余命いくばくもないことを予知していたのである。そして、故郷の友人に宛てた何通かの手紙と一緒に密封した日記帳や地図、報告書などをすべてスタンレーに手渡して言った。「さようなら。ここでの楽しい語らいを忘れません。国に帰られて、ますますお仕事に励まれますように」

1872年2月。スタンレーは米国に帰って行った。その年の8月、リビングストンの病気は悪化した。忠実なスーシとチューマは不安におののきながらも手を尽くして看病した。「舟に乗せて川を下り、チタンボという村に行ってくれないか。そこの首長はいい人だからね」。リビングストンはうわごとのように言った。

そこでチューマをはじめとする従者たちはその体を毛布でくるみ、抱きかかえて舟に乗せた。それから衣類や薬品とわずかな食料を積んでモリモラ川を下り、チタンボに着いた。リビングストンが言った通り、そこの首長はいい人で、自分の屋敷に一行を通し、奥の静かな部屋にリビングストンを寝かせて、昼も夜も現地人の医者をつけて看護させた。

しばらくして首長が部屋をのぞくと、リビングストンはベッドの横にひざまずいて頭を垂れて祈っていた。首長はチューマに言った。「あんたがたの先生は祈っているよ。病気を治すのに効き目のある祈祷師を呼んであげようか」。すると、チューマは首を横に振った。「いいえ。先生は、私たちアフリカに住む者のために祈っているのです」

それから間もなく、リビングストンは昏睡状態になった。しかし、しばらくして意識が戻ると、彼はチューマを呼んだ。「おまえは本当によくしてくれた。私がいなくなっても、皆で力を合わせて仲良くやっていくんだよ」。チューマは泣き伏した。それから、また彼は言った。「白人を、イギリス人だけじゃなくオランダ人も、ポルトガル人もゆるしてやれるかい」。チューマは、泣きながら言った。「ゆるしますとも。彼らだって兄弟です」。「ありがとう」と、彼は言った。それから、リビングストンはスーシにお湯を少し持ってこさせ、ろうそくをともしてもらった。

その後、チューマが部屋に行ってみると、リビングストンはベッドの下にひざまずき、クッションにもたれかかるようにして祈っていた。夕方になって、また行ってみると、まだ彼はそのままの姿で祈っていた。

「先生…」恐る恐る声を掛けたが返事がない。そっと近寄ってのぞき込むと、その体は冷たくなっていた。彼はすでに、天に召されたのである。

1873年5月1日のことであった。その翌年の4月18日。彼の遺体はチューマをはじめとする5人の黒人従者の手によって英国に運ばれ、ウエストミンスター寺院に葬られた。

*

<あとがき>

ご一緒にたどってきたリビングストンのアフリカ奥地の旅もいよいよ最終回を迎えました。今もリビングストン研究家の間で、彼のアフリカ開発事業は失敗であったのか、成功であったのかとの意見が分かれているようですが、そうした観点からリビングストンが「探検家」であるか「宣教師」であるかが議論されるようになったのでしょう。最後は、彼が私たちに残してくれたメッセージをもって閉じたいと思います。

リビングストンは、彼を祖国に連れ帰るためにやってきたスタンレー博士とウンヤンベで別れ、愛する黒人従者たちとチタンボの首長のもとを訪れ、そこで最期を迎えました。彼が祈りをささげている姿のまま亡くなったことは伝説となり、今なお世界中で語り継がれています。片時もそばを離れなかった少年チューマは、彼がアフリカに住む人々のために祈っているのだと言いました。リビングストンは今も後も、神のみもとでアフリカの人々のみならず、世界中の人々の魂が平安であるようにと祈っていることでしょう。

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説
(画像:栗栖ひろみ著『信仰に生きた人たち 第3巻 リビングストン』[1982年、ニューライフ出版社〕)

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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