JEA神学委がコロナに関する神学的考察 委員ら8人がエッセー形式で

2020年6月9日22時00分 印刷
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ウェブ配信用の礼拝撮影風景

日本福音同盟(JEA)神学委員会は8日、新型コロナウイルスに関する神学的考察「心をひとつにして、福音の信仰のために〜新型コロナウイルス時代を生きる教会〜」をJEAのホームページで発表した。新型コロナウイルスによる現状を神学的にどのように受け止め、実際にどのように取り組んでいくかを、8人の委員らがそれぞれ、信徒も読みやすいように短いエッセー形式でまとめた。

文書の冒頭でJEAの岩上敬人総主事は、新型コロナウイルスの影響による「新しい日常」が始まる中で直面する「さまざまな問い」が、教会の信仰に本質的な課題を突き付けていると指摘。例として、教会に集うことの意味は何か、そもそも礼拝とは何か、キリスト者の交わりとは何か、オンライン礼拝はこれからも続けるべきなのか、聖餐式はオンラインで可能なのか、これまでの教会は疫病にどのように取り組んだのか、これからの教会活動に次世代通信規格5GやAI技術をどのように取り入れて新たな教会の在り方、宣教の可能性に取り組めるのか、などを挙げた。

その上で岩上総主事は、それぞれの神学エッセーが聖書的、神学的回答を導き出すものではないとしつつも、「これらの課題についてこの文章を読む方々と一緒に考えるため、このような時代に置かれている私たちが、互いに励まし合い、心を一つにして、福音の信仰のために、力を合わせて戦いたいという願いから書かれています」と述べた。

「我、教会を信ず」とのタイトルで寄稿した篠原基章氏(福音伝道教団、東京基督教大学准教授)は、感染拡大の影響でたとえ教会堂が閉ざされたとしても「教会は決して閉ざされることはない」と論じた。教会とは「キリストのからだ」(エペソ1:23)であり、「教会のかしらであるイエス・キリストにあって集められた群れそのもののこと」とし、「それゆえ、教会は私たちが行く場所ではなく、私たち自身が教会そのものであることを思い起こしたい」と述べた。

一方で、世界保健機構(WHO)が、人とのつながりなどの社会的側面を断つニュアンスが含まれることを危惧して「ソーシャル・ディスタンシング」(社会的距離の確保)を「フィジカル・ディスタンシング」(物理的距離の確保)と言い換えていることに言及し、教会も「スピリチュアル・ディスタンシング」を生んではならないと指摘。キリスト者は「キリストにあって一つのからだ」であり、「互いに離れていたとしても、互いを自分の一部として感じ、祈りに覚えることを通し、互いに支え合うことができる」と述べた。

自粛を余儀なくされる中で教会の働きが停滞しているように思われても、「教会に与えられている生命はひとりひとりのキリスト者によって、確かに今もなお社会全体に差し出されている」とし、「私たちの生活の場、働きの場こそが教会の最前線であることを覚えたい」と述べた。さらに、「信徒はキリストの祭司性にあずかっており、それぞれの場にあって、それぞれの職業に従って、この世の真っただ中で神に霊的な犠牲をささげ、そのことによってキリストのからだなる教会を建て上げるのです(1ペテロ2:5)。聖職者は聖徒たちをこの奉仕の働きのために整える召しをこの時も受けています(エペソ4:12)」とした。

青木義紀氏(日本同盟基督教団、東京基督教大学講師)は、オンラインなどの遠隔礼拝における聖餐執行の課題を論じた。まず、聖餐において大切なこととして、1)主の御言葉、2)主の指定した物質(パンとぶどう液)、3)主の意向、の3つを挙げた。第一は聖餐制定の御言葉(マタイ26:26〜29、マルコ14:22〜25、ルカ22:14〜20、1コリント11:23以下など)が正しく読まれること。第二は、主の指定した物質であるパンとぶどう液が使われること。第三は、主が聖餐を制定した意向を踏まえて執行され、会衆も主の意向を踏まえてあずかること。「要するに、主が語られた通りに、主が指定された物質を使って、主の望まれる聖餐が行われること」とし、「それに先立って、私たちの思いや都合が優先されてはならない」と述べた。

次に、「一つのパンと一つの杯から分けられたものに、それぞれがあずかること」(1コリント10:16、17)を重要な点として挙げ、遠隔礼拝で聖餐が行われる場合、各自がそれぞれにパンとぶどう液を用意するのではなく、あらかじめ教会で分餐したものを使用するのがよいとした。また、それが困難であれば、メーカや商品を指定して、せめて同じ味のパンとぶどう液にあずかるようにしたらよいのではないかと述べた。

また、「聖別の対象を明確にする」という重要な点が、遠隔礼拝では曖昧になる可能性があると指摘。信徒が、聖別されていないパンとぶどう液にあずかることがないよう、執行者が十分に気を付けなければならないとした。

さらに、聖餐にあずかるのに「ふさわしい者」の吟味についても、遠隔礼拝では執行者から会衆が十分に見えないという難しさがあり、「会衆の主観に任せるだけでなく、より客観的な吟味のために、この点をどう克服し、聖餐をふさわしく執行するかは、今後の大きな課題」と指摘した。

こうした考察をした上で、「緊急事態の期間は、聖餐を控える方が賢明」と青木氏。しかし一方で、「これが長期化し、一年も聖餐にあずかれないという事態が生じることは避けるべき」とし、「むしろ、御言葉の約束をますます確信させる聖餐が、ふさわしく行われることによって信仰者が希望を見いだし、福音の約束に立ってこの困難を乗り越えていくことを何よりも願う」と述べた。

「心をひとつにして、福音の信仰のために〜新型コロナウイルス時代を生きる教会〜」に収録されている神学エッセーのタイトルと執筆者(敬称略)は次の通り。

  • 我、教会を信ず
    篠原基章(福音伝道教団、東京基督教大学准教授)
  • 「いっしょに」集まる幸い〜愛と善行を励まし合うことにこそ〜
    赤坂泉(聖書宣教会、聖書神学舎)
  • 聖書(特に旧約聖書)における律法の柔軟な運用
    千代崎備道(日本ホーリネス教団、東京聖書学院)
  • インターネットを用いて「礼拝する」とは
    山田泉(ウェスレアン・ホーリネス教団、ウェスレアン・ホーリネス神学院)
  • 遠隔礼拝における聖餐
    青木義紀(日本同盟基督教団、東京基督教大学講師)
  • 感染症とキリスト教会の歴史から
    吉川直美(シオンの群教会、聖契神学校)
  • AI技術の成熟と教会を考える〜30年後を見据えて〜
    能城一郎(日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団、中央聖書神学校)
  • コロナ禍におけるみことばの励まし
    宮崎聖輝(イムマヌエル綜合伝道団、聖宣神学院)

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