「銃暴力を今、終わらせなければ」 米で銃乱射事件相次ぐ、3件で32人死亡 教会指導者らが応答

2019年8月5日21時14分 印刷
+「銃暴力を今、終わらせなければ」 米で銃乱射事件相次ぐ、3件で32人死亡 教会指導者らが応答
(写真:世界教会協議会=WCC / Albin Hillert)

米国でこの1週間余りに、死傷者が10人を超える銃乱射事件が3件発生し、32人が死亡、少なくとも66人が負傷した。容疑者はいずれも10~20代で、逮捕されたか、射殺された。このうちテキサス州で発生した事件では、ヒスパニック(中南米)系住民を狙ったヘイトクライム(増悪犯罪)の可能性が高く、警察当局は「国内テロ」として捜査している。キリスト教団体や教会指導者らも事件を受けてコメントを発表しており、銃規制を強く求める声も上がっている。

7月28日、カリフォルニア州ギルロイ(3人死亡、13人負傷)

最初の銃乱射事件は7月28日午後5時半ごろ(現地時間)、カリフォルニア州中西部の都市ギルロイで発生した。ギルロイはニンニクの産地として有名で、事件は3日間にわたる毎年恒例の「ニンニク祭り」の最終日に起こった。サンティノ・ウィリアム・レガン容疑者(19)が銃を乱射し、6歳の少年と13歳の少女を含む3人が死亡。少年の母親ら、少なくとも13人が負傷した。

カリフォルニア州では21歳未満は銃の購入が禁止されているが、レガン容疑者は7月初め、銃規制が緩いネバダ州で合法的に銃を購入していたという。事件4日前に開設したインスタグラムには、白人至上主義的な本に言及していたと伝えられている。しかし、地元のロサンゼルス・タイムズ紙(英語)によると、これまでのところ動機の特定には至っていない。また警察は当初、警察官3人が事件発生1分以内にレガン容疑者を射殺したと発表していたが、検死を行った監察医は、レガン容疑者は自殺したとの見方を示している。

8月3日、テキサス州エルパソ(20人死亡、26人負傷)

2つ目の事件は8月3日午前10時ごろ(同)、メキシコとの国境沿いにあるテキサス州最西端の都市エルパソで起こった。大型小売店「ウォルマート」で、白人男性のパトリック・クルシウス容疑者(21)が銃を乱射し、20人が死亡、26人が負傷した。英公共放送BBC(日本語版)によると、クルシウス容疑者は約千キロ離れた同州ダラス近郊在住で、犯行前には「ヒスパニックによるテキサス州侵略」に対抗するための行動だとネット上で表明していた。

エルパソは中南米からの移民が多い都市で、人口の約8割がヒスパニック系。死亡した20人のうち、6人がメキシコ人だった。クルシウス容疑者は、駆け付けた警察官らに現場で身柄を拘束された。

ヒスパニック系では最大規模の福音派団体「全米ヒスパニック・キリスト教指導者会議」(NHCLC)のサミュエル・ロドリゲス会長は、米クリスチャンポストに宛てた声明(英語)で、事件が特にヒスパニック系住民を狙ったものであったことに悲しみを表明し、次のように語った。

民主党議員も、共和党議員も、わが国の政治指導者の方々には、この事件を最後に、わが国の移民問題を非政治化してくださるよう求めます。そして移民問題、またわれわれを分断しているすべての政治的問題に対して、事実に基づいたアプローチを取るように求めます。さらに、この国の先行きを懸念する誠実なる信仰者の方々に対しては、「他者」を愛することに再度献身するとともに、傷ついたこの国を神が癒やしてくださるよう、思いを尽くして祈ってくださるよう呼び掛けます。

8月4日、オハイオ州デイトン(9人死亡、27人負傷)

テキサス州で事件が発生してから約13時間後の4日午前1時ごろ(同)には、オハイオ州西部の都市デントンの繁華街にあるバーで、コナー・ベッツ容疑者(24)が銃を乱射。店内にいた22~57歳の男女9人が死亡、27人が負傷した。死亡した9人のうち1人は、ベッツ容疑者の妹であるメーガンさん(22)だった。

英ガーディアン紙(英語)が警察当局の話として伝えたところによると、ベッツ容疑者は、メーガンさんと友人の男性と共に同じ車に乗って、デントンの繁華街に来ていたが、常に3人で行動していたわけではなかったという。現場に居合わせた24歳の男性が同紙に語ったところによると、ベッツ容疑者は黒いバンダナで顔を隠し、発砲前には「マックリブが戻ってきた」などと話していた。マックリブは、マクドナルドが期間限定で販売している細長いハンバーガーで、ファンが多いという。この男性は「明らかに変だった。その場を立ち去るべきだと感じた」と言う。

ベッツ容疑者は、発砲後約30秒で警察官に射殺された。警察当局は、まだ捜査の初期段階であり動機は解明されていないとしているが、「偏見に基づいた動機」ではないとする見解を示している。

銃暴力を今、終わらせなければ

一連の事件を受け、米国キリスト教教会協議会(NCCC-USA)は4日、「銃暴力を今、終わらせなければ」(英語)と題した声明を発表した。特に短時間に立て続けに起こったテキサス、オハイオ両州の事件について「明らかな国内テロだ」と非難。今年に入って、米国内ではすでに250件余りの銃に関連する事件が起きているとし、銃愛好家団体に配慮して有効な手立てを講じられていない政治家らを「怠慢で臆病」だと糾弾した。

世界教会協議会(WCC、英語)によると、NCCC-USAのジム・ウィンクラー議長兼総幹事は、次のようにコメントした。

攻撃用の武器を所持すべき理由は誰にもありません。攻撃用の武器は戦争のために生み出されたからです。米国社会には、銃の所有許可を求める広範な支持があります。同時に銃規制を求める声もあり、身元調査を求める声もあります。政治家が有権者の要望に応える行動を拒む唯一の理由は、彼らが銃愛好家団体の力を恐れているからです。

容易に入手可能な大量破壊兵器と有害な人種差別主義者、国家主義者のイデオロギーの結合は、銃乱射の温床です。この2つの悪に立ち向かうことができない場合、この国を待つのは、はるかに大きな暴力と社会的混乱です。

一方、WCCのオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事は、特にヘイトクライムの可能性が伝えられているテキサス州の事件について、「単なる法的規制の問題ではない」と指摘。問題解決のため、教育やアドボカシー活動など、教会が担うべき重要な役割があると述べた。

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