「彼への希望は捨てない」 米教会銃乱射事件犯人に洗礼授けた牧師の思い

2017年2月18日23時58分 翻訳者 : 野田欣一 印刷
+米黒人教会乱射事件
銃乱射事件で亡くなった男女9人の犠牲者の写真(右)と抗議の意思を示して燃やされた南軍旗(写真:The All-Nite Images)

2015年6月、米サウスカロライナ州の黒人教会で銃を乱射し、牧師を含む黒人の男女9人を殺害した22歳の白人青年、ディラン・ルーフ死刑囚。事件当時は21歳で、今年1月に死刑を宣告された。裁判では起訴事実を争わず、精神疾患も自ら否定、反省の様子も見せなかったルーフ死刑囚だが、1997年にノースカロライナ州にあるルーテル教会で洗礼を受けていたという。ルーフ死刑囚に洗礼を授けたリチャード・グラフ牧師は最近、地元テレビ局の取材に応じ、今でもルーフ死刑囚に対する希望を捨てていないことを明かした。

「彼のしたことはひどいことでした。弁解の余地はありません。神の民に対する、そして神ご自身に対する犯罪でした」。グラフ牧師は、NBC系列の地元放送局WECT(英語)にそう語った。「神から与えられた人々の命を奪ったのですから」

しかし、グラフ牧師は同時に「今、私たちの政府は、私もその構成員の1人ですが、それと同じことを彼にしようとしているのです」と言う。また、人々が憎しみを撒き散らし、ルーフ死刑囚の全てを罪悪視するような風潮に心を痛めていることを明かした。「悪は私たちの中にもあります。誰も完全な人はいません。私たちは皆、死を免れることはできませんし、その死は私たちの中にある罪によるのです」

グラフ牧師は、洗礼は聖なる行為であり、ルーフ死刑囚にとって自身に対する赦(ゆる)しの鍵になると考えている。もちろん、それはルーフ死刑囚自身が望めばの話だというが、この50年間で千人以上に洗礼を授けてきたグラフ牧師は、洗礼に大きな意味を置いている。

ルーフ死刑囚が洗礼を受けたのはまだ2歳の時。グラフ牧師は、ルーフ死刑囚にとって洗礼を受けるか受けないかはその当時、選択できるようなことではなかったかもしれないが、洗礼を受けたことを保ち続け、洗礼に伴う約束を守り続けることは、まさにルーフ死刑囚自身の選択だと言う。

「そうすれば何とかなるかといえば、それは分かりません。でも、神は決して私たちを見捨てることはしません。神は常に共にいてくださいますから、私もルーフに対する望みを捨てないのです」

ロンドン神学院の校長でメソジスト教会の牧師であるカルビン・サミュエル氏もグラフ牧師と同じ思いを語っている。「罪は世界に蔓延(まんえん)しています。ですから、クリスチャンはあらゆる機会に神の愛を人々に提供しようとするべきです」

「何よりもまず、私たちは寛大で愛をほどこす神の似姿とならなければなりません。ある罪に相当する罰を、とことん課すことは慈悲深い行為ではありません。罪に対する最終的な罰は神の御手の中にあるのであって、私たちにはありません。神が定めた時になされるのです」

※この記事は英国クリスチャントゥデイの記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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