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「トイ・ストーリー4」に描かれる人の生きざまのリアル

2019年7月17日20時35分 執筆者 : 青木保憲
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「トイ・ストーリー4」に描かれる人の生きざまのリアル+
映画「トイ・ストーリー4」。7月12日(金)から全国の映画館で上映中。

2019年夏も映画界は大作ぞろい。日本映画では新海誠監督の「天気の子」を筆頭に、さまざまな趣向を凝らした「夏休み映画」が公開される。一方、洋画はというと、4月の「アベンジャーズ / エンドゲーム」以降、5月には「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」、6月には「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」と、軒並みブロックバスター大作が公開されている。

その中で今年上半期の真打と言ってもいい作品が、「トイ・ストーリー4」だろう。1995年の第1作から数えて25年の月日が流れたが、その人気は衰えることなく、主人公のウッディ、バズらはディズニーの顔にまで成長した。

1995年といえば、私が結婚した年であり、その冬に新婚旅行で訪れた米ポートランドでこの映画を鑑賞したことを今でも覚えている。画期的だったのは、「フルCGアニメ」という技術面での革新的な前衛性だけではない。物語を手描きで温かみを醸し出せる従来のセル画から、どうして無機質的なCGアニメに移行しなければならなかったのか、というその必然性が本作には感じられた。つまり人間ではない、おもちゃの世界を描くためには、どうしても私たちのような生物とは異質な「無機質感」とでも呼ぶような突き放した表現が必須であったのだ。

しかしご存じのように、トイ・ストーリーシリーズは、「おもちゃたちが私たちと同じ心と感情を持っていたら」というコンセプトで紡ぎ出された現代の寓話(ぐうわ)だ。いつしか私たちがウッディやバズに感情移入し、本当に彼らが生き、動いているかのような錯覚を起こすことになる。最初は無機質なおもちゃがぎごちなく動いていたはずだったのに、いつの間にか、キャラクターたちの冒険活劇として、私たちも違和感なく観てしまう。

そんなシリーズは、当初2010年の第3作で「完璧な」ラストを迎えた。これ以上ないという落としどころに主人公たちは着地し、観ている私たちの涙を搾り取った。しかし、製作者であるピクサーは、「まだ終わっていないよ」とでも言いたげに、半ば後出しジャンケンのように4作目となる本作を世に出してきたのである。

このようなやり方は、今までうまくいったためしがない。例えば、スーパーマンシリーズは、回を重ねるたびに質が劣化し、第4作は「駄作」のレッテルを貼られてしまった。同じくエイリアンシリーズも、何とか3作目まででオチがついたのに、強引に4作目を製作し、ついに前日譚(ぜんじつたん、プリクエル)へと視点をずらさざるを得なくなった。

では、トイ・ストーリーシリーズはどうなのか。予想通り賛否両論が入り乱れている。おそらくそれは、ピクサー側も承知のことだろう。私も観終わってしばらく天を仰いで考え込まざるを得なかった。しかし時が経つにつれて、製作者が伝えたかったメッセージの本質が何となくじわりじわりとしみてくるようになった。これは、ある特殊な世界に生きることを宿命付けられた人間が、その世界の中に幸せを見いだし、かつ与えられた世界そのものを相対化して成長する物語である。そしてこれは、筆者にとってまさに「私の物語」であるともいえる。

トイ・ストーリーシリーズにおける「おもちゃたち」は、望んでおもちゃとして生まれたわけではない。今回登場するフォーキーというキャラクターを通して、そのことを強く教えられる。しかし、おもちゃとして生まれた以上、そこでの「生き方」を会得しなければならない。それは「人間の子どもを楽しませることで存在意義を得る」ということだ。トイ・ストーリーの第1~3作は、この世界観の中で「おもちゃ」としての幸せを模索する物語である。この在り方は、キリスト教界における「クリスチャン・ジュニア(クリスチャンの家庭で生まれた子ども)」の在り方に似ている。

私は教会と共に育ってきた。幼き頃から親に教会へ導かれ、否、連れて行かれ、ほぼ強制的に「キリスト教」を信じ込まされた。「キリスト教界」という日本において特殊な世界での生き方を教えられ、それに恭順せざるを得ない少年時代を送ってきた。やがて青年期に差し掛かり、この「特殊な世界」の新たな側面を見いだす。そしてこの世界の中に幸せを見つけ、その生き方を自らのそれとして受け入れた。語弊があることを承知で申し上げるが、ウッディやバズが「おもちゃ」としての幸せを受け入れ、人間のおもちゃとしての役割を自らの生き方の指針としたのと同じである。

「クリスチャン・ジュニア」の若者には、やがて転機が訪れる。それは生まれ育った教会を出て、新たな教会へと赴くことである。それには、進学、結婚、転勤など、さまざまな理由があるだろう。ウッディにおいては、最初の遊び相手であるアンディから、3作目のラストで新たな遊び相手ボニーと出会い、彼女の持ち物とされる。

今までアンディ一筋であったウッディは、新たな遊び相手との出会いを通して、自身の世界観を相対化させられたことになる。そして本作におけるウッディは、もはやボニーから相手にされず、ずっと押し入れの中に閉じ込められてしまう存在へと堕してしまうのである。それでも必死にボニーのために尽くすウッディ。それはかつてアンディとそうだったように、再びおもちゃと人間の良き関係を取り結ぶことができるはずだ、と考える彼なりの「アイデンティティー探し」なのだろう。

教会の中で育った者にも、同じような経験をする。新たに通うようになった教会は、当然以前の慣れ親しんだ母教会とは異なる。些細な違いから、教理的な違いまで、事あるごとに気になることがある。そしてある時は、自分がいかに小さな世界に閉ざされ、その中で生きることに満足していたのかを知るようになる。それがまさに私だった。

本作は、ラストに驚愕の展開が待ち受けている。思わず「おいおい、お前大丈夫か?」と、その行動を選択するキャラクターに声を掛けたくなる。今までの「お約束」を完全に反故にする展開だ。しかしそれは、25年間もある特殊な世界に生きることを宿命付けられた存在が、やっとその世界を相対化させ、自らの意志で選択する瞬間なのである。そのキャラクターの眼差しは、「無限のかなたへ」向けられるのだ。そう思うと、これはある種、必然の結末かもしれない。

私たちは、25年間彼らの活躍を見る中で、いつしか彼らが「おもちゃ」ではなく、「人間」に生まれ変わっていたことに気付くのである。4作目はその変化をはっきりと描き出す。それは、「クリスチャン・ジュニア」として自他ともに認めていたアイデンティティーが、やがていろんな変化を通して「クリスチャン」として自立していくようなものだ。

私たちの先には、常に新しいもの、いまだ見たことのない世界が広がっている。それに自ら向き合い、一歩踏み出そうという決断は、従来の「特殊な世界で生きることを宿命付けられた存在」を超えて、「自らの意志で新たな世界へ踏み出す存在」へと成長した証しとなる。

聖書の次の言葉は、常に私たちに新鮮に響く。

まさしく、聖書に書いてあるとおりです。「目が見たことのないもの、耳が聞いたことのないもの、そして、人の心に思い浮かんだことのないもの。神を愛する者のために、神の備えてくださったものは、みなそうである。」(コリント一2:9)

今の生活、現状に意外と満足してしまっている人にこそ、観てもらいたい傑作である。本作こそ、真の「トイ・ストーリー完結編」なのだから。

■ 映画「トイ・ストーリー4」予告編

■ 映画「トイ・ストーリー4」公式サイト

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

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