Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 文化
  3. 映画

映画「僕はイエス様が嫌い」 「幼年」から「少年」へのイニシエーションとしてのJESUS

2019年4月25日15時53分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
関連タグ:僕はイエス様が嫌い(映画)
映画「僕はイエス様が嫌い」+
©2019 閉会宣言

本作「僕はイエス様が嫌い」のあらすじや受賞歴などについては、以前こちらの記事で紹介があったので割愛させていただき、ここではキリスト教会の牧師という立場から、本作のレビューを書かせていただきたい。

まず、スペインの第66回サンセバスチャン国際映画祭で最優秀新人監督賞を史上最年少の22歳(当時)で受賞した奥山大史監督の感性に感嘆させられる。自らの幼少期に重ね合わせた設定で、時にはそこに監督の体験そのものが鮮明に描き出される一方、別のシーンでは、あくまでも突き放した視点で物語の経過を冷徹なまでに紡ぎ出す。その両極端な演出が良い意味で陰影となり、本来はかなりビターな「幼少期の体験」を見事にエンターテインメントに昇華させたといえよう。

まず何と言っても、主人公のユラにしか見えないイエス様の造形が見事である。考えてみれば、私たちキリスト者は「イエス・キリスト」と告白する仲間が全世界に3分の1ほど存在しているにもかかわらず、私たちをつなぎとめているその存在を、一度もビジュアライズして同一人物だと確かめたことはない。そもそも、そんなことはできないだろう。

言い換えるなら、各々のイメージするイエスであっていいわけであるし、それ以上に共通項を見いだす必要もないのである。だから主人公ユラにとって、お風呂の中でアヒルの乗り物に乗ってプカプカしているのがイエスであって何の問題もない。

映画「僕はイエス様が嫌い」
©2019 閉会宣言

ユラは引っ越した先で、ミッション系の小学校に通うようになり、初めてキリスト教に触れる。厳かだが退屈な礼拝を幾度も繰り返していくうちに、おそらく彼なりの「キリスト教」が構築されていったのだろう。それは他の生徒と同じく純粋で、善意に満ち、そして祈れば何でも願いをかなえてくれる、そんな魔法のような神を彼はイメージし、ビジュアライズすることに成功したと受け止めることができる。

ここに今なお現存するミッションスクールの希望を見いだすことができよう。明治期や戦前のような「ミッション」スクールではなくなったとしても、確かにキリスト教系教育機関は今なお若者たちの心に種をまき続けているのである。

しかしある事件を通して、ユラの心に変化が生じる。それは悲惨な出来事ではあるが、大なり小なり私たち信仰者もぶち当たる障壁である。ここから映画は物語を大きく変化させていく。この展開をどう受け止めるかが、この映画を好きになるか嫌いになるかの分岐点であろう。

私とは異なる見解だが、なるほどと思わされたのは映画ジャーナリストの中山治美氏による次のコメントである。

何より描こうとしているテーマは、マーティン・スコセッシ監督が「沈黙―Silence―」で挑んだテーマと同じ “神の沈黙”。巨匠が歳月と大金をかけたのに対し、新人監督が子どもを起用して軽やかに描いてしまったのだ。

確かにそういう見方ができる。おそらく奥山監督自身も、そういった不条理を体験した幼少期の一コマを映画として表現したのだろう。だが、彼と若干異なる境遇ではあるものの、幼き日よりキリスト教に触れざるを得ない環境で生まれ育った筆者のような者にとっては、ユラを通して表現した奥山監督自身が体験したあの「出来事」は、これまた異なる色合いを醸し出しているのである。

幼き日より教会に通い、教会学校で聖書を学び、そこに書いてあることが「真理」であると教え込まれてきた者にとって、ユラのような体験は日常茶飯事であった。そしていつしか「聖書の物語=真理」という枠組みをカッコ付きで捉えなければならないことに気付かされるようになるのである。そういった過程ではまさに、本作の主人公と同じ心境の変化を味わうことになる。

映画「僕はイエス様が嫌い」
©2019 閉会宣言

だが、映画はここで終わってしまうが、実際に生きている子どもたちはそれでも変わりなく教会に通い続けるし、ましてや学校であるなら、そこを卒業するまでは今までと同じ「礼拝」、同じ「聖書の時間」を過ごすことになるだろう。私はそうやって生きてきた。

すると今になって分かることがある。それは、幼少期にインパクトを強く抱いた「キリスト教信仰」は、幼き者の信仰であるが故に純粋だが、一方で世間知らずの「温室培養」でもあるということである。年齢とともに私たちの信仰も成長し、また社会や世の中にうまく順応していくことになる。

ここで私たちは「純粋な信仰」こそが素晴らしく、「世に適応する信仰」が妥協の産物として汚れていると受け止めてしまってはいけない。なぜなら、世の中の軋轢(あつれき)やプレッシャーに負けずに生きる指針を得ることこそ、信仰者がこの世でキリストを信じる醍醐味(だいごみ)だからである。

本作で描かれたのは、幼年期の終わりである。人から教えられ、言われるがままに祈りや文言を唱える時代の終幕である。ユラは、もはや大人たちの「単なる操り人形」ではない。そのことに気付かされた彼は、「幼年」から「少年」へと成長したことになる。だから陽気で無邪気なイエスは必要なくなるのである。そう考えるなら、本作でイエスに象徴されているのは、信仰の純粋さよりも、イニシエーションとして人の成長を促す存在だったということだろう。

そして、少年期には少年期なりのイエスとの出会いがあるはずである。やがて青年期、そして大人へと成長するにつれ、私たちの信仰はなくなるのではなく、成長に伴った変化を信仰自体も遂げていくのである。少なくとも、私のつかんでいる「キリスト教信仰」はそういうものだった。

映画「僕はイエス様が嫌い」
©2019 閉会宣言

だから、中山氏が語るような「神の沈黙」とは似て非なるテーマが本作には垣間見えるような気がする。その証左として、奥山監督がこうやって幼少期の思い出を映画という形に昇華させているではないか。本作のタイトルのように「僕はイエス様が嫌い」であるなら、決して作り上げることはできなかったであろうし、そもそもこのエピソードを映画化しようとは思い至らないであろう。「嫌よ嫌よも好きのうち」というが、そんな温かくほんわかとした眼差しでキリスト教と対峙する監督の姿勢を私は感じた。

もし続編があるなら、今度はどんなイエスがユラの前に姿を現すのだろうか。やがて少年期を終え、青年期に入るとき、そのイエスはどうなっていくのだろうか。

そんなことを勝手に想像したくなる本作は、5月31日からTOHOシネマズ日比谷ほかで全国順次公開される。ぜひ多くのキリスト者に観てもらいたい一作だ。特に子どもの頃から教会に通っていた方は、いろいろと「あるある」を見つけることができるはず!

■ 映画「僕はイエス様が嫌い」予告編

■ 映画「僕はイエス様が嫌い」公式サイト

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

関連タグ:僕はイエス様が嫌い(映画)
  • ツイート

関連記事

  • 「僕はイエス様が嫌い」、ダブリン国際映画祭で最優秀撮影賞 国際映画祭で4受賞目

  • 小川政弘ワーナー元製作室長×青木保憲牧師対談(1)映画との出会い、キリスト教との出会い

  • それでも愛せるか? それでも愛するとは? 映画「ビューティフル・ボーイ」に見るドラッグと米国

  • 「ある少年の告白」に見るLGBT映画とキリスト教の行方

  • 「神の日曜日」 キリスト者必見の「キリスト教映画」

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ヨハネの黙示録(3)御言葉と証し 岡田昌弘

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.