Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム

居心地の良い場所から追い出されるとき 佐々木満男

2019年4月26日23時23分 コラムニスト : 佐々木満男
  • ツイート
印刷
関連タグ:佐々木満男

「お巡りさん、大変です。病気で寝たきりの母が家から突然いなくなってしまいました! 近くに住んでいる兄に聞いても知らないと言います。すぐに探してください!」

警察に捜索願を出したA子さんは、母の安否を気遣ってその晩は一睡もできなかった。翌朝、警察から電話があった。「念のために、お兄さんに連絡したら、『妹が働かないで家賃も払わず母の貯金でぜいたくに暮らし、あげくに母を虐待して財産を独り占めにしようとしていたので、私は母を守るために安全な場所に移動したのです』と言っていました。警察としては家族の問題にまで介入できませんので、あとはお兄さんと話し合ってください」とのことであった。

独身であったA子さんは、会社に勤めて働きながら、長年にわたって母と同居して年老いた母の面倒を見ていた。その後、病気で寝たきりになった母を介護するには、会社を辞めなければならなかった。母は献身的に助けてくれるA子さんに感謝して、夫から相続した家を自分の死後はA子さんにそのまま相続させたいと思った。母は公証人を家に呼んで公正証書遺言書を書いてもらい、A子さんに全財産を相続させることにした。近くに住んでいた他の唯一の相続人である兄は、サラリーマンで自分の家を買い、妻子と住んでいて生活には困っていなかった。

ところが、遺言書のことを知った兄が、突然に母を連れていってしまったのだ。A子さんは弁護士に相談したが、家族間の問題なので裁判で解決することは難しいとのことであった。

数カ月後、兄が連れていった入院先で母が亡くなった。しばらくして、兄の弁護士から、兄が家の権利を相続したのでA子さんに家から立ち退くようにという内容証明郵便が届いた。驚いて、法務局で調べたところ、家の名義はすでに相続により兄の名義になっていた。兄が母に新しい公正証書遺言書を書かせ、自分が全財産を相続したのである。結局、A子さんは家を追い出された。

「神様、あまりにも酷すぎます。なぜこんな不条理を許されるのでしょうか? 一体私がどんな悪いことをしたと言うのでしょうか? どうして貧しい私が永年住み慣れた家を出ていかなければならないのでしょうか?」

いくら祈っても、何の答えも来なかった。一人で小さなアパートに閉じこもり、悶々とした日々を過ごしていた。「兄だけは絶対に赦(ゆる)せない。いっそのこと兄を殺して自分も死んでしまいたい」。A子さんは心を病んで精神科に通うようになる。

ある日、病院の待合室で何気なく聖書を読んでいた。キリストが十字架にかかり、「父よ。彼らをお赦しください。彼らは、何をしているのか自分でわからないのです」(ルカ23:34)と叫んだ場面に心を打たれた。「イエス様は生涯にわたり良いことしかなさらなかった。それなのに人々はイエス様を十字架につけて殺してしまった。しかもイエス様は自分を殺そうとしている人々を赦していたのだ」。教会で何度も聞いた話であるが、その時は神がA子さんに直接に語られたような気がした。

A子さんはようやく兄を赦し、新しい道を歩む決心をした。そして母の介護の経験を活かし、介護福祉士の資格を取った。今では介護支援専門員(ケアマネージャー)として、生きがいをもって、心身の障害により日常生活を営むのに支障がある多くの方々のケアをしている。

また、同じ職場の男性の職員と結婚して、新しい家に住むことになった。実は、結婚式に赦した兄を招いたら来てくれた。その後、兄からお祝いとして、母の家を売った売却金全額がA子さんの口座に振り込まれてきた。「これで2人の新居を買ってください」とのことだった。

◇

佐々木満男

佐々木満男

(ささき・みつお)

弁護士。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL. M)。インターナショナルVIPクラブ東京大学顧問。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:佐々木満男
  • ツイート

関連記事

  • 「バカヤロー」vs「ガンバロー」 佐々木満男

  • ドングリをどう見るか 佐々木満男

  • あなたは誰の子なのか? 佐々木満男

  • 敬天愛人 佐々木満男

  • 地球はとても美しかった 佐々木満男

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.