同性婚ケーキ作り拒否 最高裁でケーキ職人が逆転勝訴、なぜ? 判決詳細

2018年6月8日21時41分 印刷
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首都ワシントンにある米連邦最高裁(写真:Daderot)
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同性婚を認めない保守派キリスト教徒のケーキ職人が、同性カップルのウエディングケーキを作ることを拒否したことをめぐる訴訟で、米連邦最高裁は4日、7対2でケーキ職人側を擁護する判決を下した。1審、2審でフィリップさんは敗訴しており、最高裁での逆転勝訴となった。

訴訟の概要

ケーキ職人のジャック・フィリップスさん(コロラド州在住)は2012年、男性同士のカップルであるデービッド・マリンズさんとチャーリー・クレイグさんのウエディングケーキを作ることを信仰上の理由から拒否した。マリンズさんとクレイグさんは、この行為が性的指向などに基づくサービス拒否を禁じる同州の反差別法に違反するとして、同州公民権委員会に申し立てを行った。同州では1審、2審ともフィリップスさんの行為を反差別法違反と認定。フィリップスさん本人と、運営するマスターピース・ケーキ店(同州レイクウッド)に対し罰金を科した。

しかし最高裁は今回、コロラド州の判決は、信教の自由を定めた米国憲法修正第1条に違反するとの判定を下した。判決(英語)に記された主流意見の概要は次のように述べている。

同性婚に対する異議も保護対象

「各法律と憲法は、同性愛者や同性愛者のカップルを市民権の行使によって保護することが可能で、ある場合にはそうすることが義務付けられている。しかし同性婚に対する宗教的・哲学的異議もまた保護を受けた見解であり、ある場合には保護を受けた表現形態である」

「同性愛者が商品を購入したりサービスを受けたりする際、コロラド州の法律によって他の市民と同様の条件で保護を受けることは例外的なものではない。しかし法というものは、宗教に対して中立的な形で適用されなければならない」

最高裁の判断によると、フィリップスさんが芸術的な能力を使ってウエディングケーキを作る行為は「憲法修正第1条における言論の構成要素が含まれており、深く誠実な宗教的信条を意味している」という。

当時は同性婚について法的に不明確

「フィリップスさんの葛藤は、2012年においては理解できるものである。当時はコロラド州が同州で行われた同性愛者の結婚について妥当性を認める前であり、当法廷が『合衆国対ウィンザー判決』(結婚を男女間に限定する連邦法「結婚防衛法」を違憲とした2013年の判決)または『オーバーグフェル判決』(同性婚を認めない州法をすべて違憲とした2015年の判決)を発表する前であったからだ。当時の米国の状況を鑑みれば、(ケーキ作りを断るという)判断を合法的だと見なすことは不合理ではないとするフィリップスさんの論理には一定の力がある。当時の州法は、不快に思う特定のメッセージを作ることを拒否する一定の言論の自由を認めていた」

反同性婚のケーキ作り拒否は合法とされている

「実際、即座の執行はされていないものの、ケーキ職人が同性愛者や同性婚の品位を落とすような飾り付けのあるウエディングケーキを作ることを拒否する行為は合法であると、米司法省公民権局が少なくとも3件において結論付けている。フィリップスさんも本件のあらゆる点において、自身の主張について中立不偏で丁寧な考察をする権利を持っていた」

宗教的信念に対する明確な「敵意」があった

その上で最高裁は、同州公民権委による当初の判断の中には、フィリップスさんのキリスト教信仰に対する明確な偏見があると批判。「同委の対応には、フィリップスさんの異議を動機付ける誠実な宗教的信念に対する明確かつ許容できない敵意を示す点が見られた」と述べた。

「宗教的信念は合法的に公的領域や商業領域に持ち込まれ得ないとする見解を、コロラド州公民権委の委員らは審議中に複数回にわたり支持しており、宗教的信条や宗教的人物がコロラド州のビジネス界で十分に歓迎されていないことを暗示している。フィリップスさんは『自身が信じたいと思うこと』を信じることができるが、『もしコロラド州でビジネスを営む決断をするなら』、自身の宗教的信念に基づいて行動することはできないと公民権委の1人は示唆していた」

最高裁はまた「その委員はフィリップスさんによる誠実な宗教的信念の主張を、奴隷制やホロコーストに対する弁護とさえ比較した」と指摘。「このような感情は、コロラド州の反差別法の公正かつ中立的な執行の責任を義務付けられた公民権委には不適切である。反差別法は、宗教や性的指向に対する差別を防ぐ法律である」と述べている。

最高裁はこの他、同委のフィリップスさんに対する「敵意」について、「反同性愛」のメッセージがあると見られるケーキを作ることに異議を唱えたケーキ職人に対する扱いとは「異なる扱い」をした事実からも示されると述べた。

今回の判決で反対意見を述べたのは、ルース・ギンズバーグとソニア・ソトマイヤーの両判事だった。

フィリップスさん側「異なる見識に対する敬意は必要不可欠」

フィリップスさんの弁護を務めた、キリスト教保守派の法律家らによる非営利団体「自由防衛同盟」(ADF)のクリステン・ワゴナー弁護士は声明(英語)で次のように述べた。

「信仰を持つ人々に対する政府の敵意は米国社会にあってはならない。しかしコロラド州は、フィリップスさんの結婚に関する宗教的信条に対して、公に敵意を示した。最高裁がそれを断罪したのは正しかった。宗教に対する寛容さと、異なる見識に対する敬意はこの国のような社会には不可欠だ。この決定は、フィリップスさんが持つ結婚に関する信念を政府が尊重しなければならないことを明らかにしている」

保守派キリスト教指導者は歓迎

この判決に対し、多くの保守派キリスト教指導者は支持を表明した。

大衆伝道者のフランクリン・グラハム氏はツイッター(英語)に「神が祈りに答えてくださったことを感謝します」「これは信教の自由の大勝利です」と投稿した。

南部バプテスト連盟(SBC)倫理宗教自由委員会のラッセル・ムーア委員長も「勝利」だと歓迎。同委のツイッターに投稿した動画(英語)でムーア氏は、「最も深いところにある信念に反することを人々に言わせるような政府は、私たちに必要ない」と強調。「この判決は、結婚と家庭を擁護するわれわれキリスト者にとって勝利であるだけなく、良心の自由と言論の自由を求めるすべての米国人にとっても勝利だ」と語った。

同性カップル側「差別する権利を与えるものではない」

一方、同性カップルの代理人を務めた「米国自由人権協会」(ACLU)はツイッター(英語)で次のようにコメントした。

「(今回の判決は)本件における特殊な懸念に基づいている。最高裁の判決は、憲法が差別する権利を与えるというものではなかった。(中略)われわれは一国家として、公共に開かれたビジネスに人を差別する権利があるという考えを既に拒否している」

保守派ブロガー「信教の自由の大勝利とは言えない」

保守派ブロガーのマット・ウォルシュ氏も同様の見解を示した。ツイッター(英語)には「これを『信教の自由の大勝利』と呼んではいけない。単にそうではないからだ」とコメント。「それは不正確で誤解を招く発言だ。これはジャック・フィリップスさんにとっては大きな勝利だが、こと信教の自由全般にとってはまったく役に立たない」と述べた。

※この記事はクリスチャンポストの記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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