Skip to main content
2025年6月16日23時55分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
神声人語

神声人語―御言葉は異文化を超えて―(44)2人のアイマラ語聖書翻訳 浜島敏

2018年4月16日06時04分 コラムニスト : 浜島敏
  • ツイート
印刷
関連タグ:浜島敏

翻訳者は普通1人で仕事を進めます。しかし、グレゴリオ・チョケとフスティノ・チスペの2人は一緒に働いて、聖書翻訳の上では最高の協力者となりました。

ペルーとボリビアの高地に住んでいる約百万人の先住民に話されているアイマラ語に福音書と使徒言行録が翻訳されたのは、その数年前のことでした。しかし、この初期の翻訳にはどうしても改訂が必要でした。また急速に増えているクリスチャンのためには、新約聖書の他の部分の翻訳も必要になっていました。

ボリビア人と宣教師で翻訳委員会が組織されました。しかし、その委員はほとんど首都ラパスに住んでおり、しかも忙しい人たちでした。委員たちがよく知っていたのは、だらだらと広がっている首都の先住民地区で話されている「訛(なま)った」アイマラ語であって、木も生えず、風にさらされた平原のあちこちにある無数の村に住んでいる先住民たちの言葉にはあまり関心がなさそうでした。グレゴリオとフスティノは、いい加減で不正確な翻訳をすることに反対したのですが、他の委員たちは2人の反対にはあまり耳を貸しませんでした。

グレゴリオとフスティノから聖書協会に戻ってきた校正ゲラには(他の委員は忙しくてそんなことにはかまっていられませんでした)、つづり、語順、そして語の使い方について600カ所もの訂正が入っていました。明らかに何かがおかしいのです。グレゴリオとフスティノの2人はがっかりしてしまいました。そんなにたくさんの変更はしたくないのですが、特にひどい間違いを直すだけでもこれだけが必要なのです。

もとの翻訳は、ほとんどスペイン語の逐語訳でした。しかし、スペイン語と違ってアイマラ語の文章では、文尾に動詞が来るのが正しいことはよく分かっていました。ぎこちない逐語訳のために、ガタハタ教会のシスコ老人のように聖書朗読の間は寝ていたのです。正直に彼は言います、「さあね、どのみち何を言ってるのか分からんからね」。

しかし、やっとすべてが変わるチャンスがやってきました。グレゴリオとフスティノの2人が責任を持って、それまでアイマラ人が話したり書いたりしてきた通りに語や節や文章を書くようにとの指示を受けました。書いてある内容はスペイン語の(2人はスペイン語も分かりました)内容と同じでなければなりませんが、言葉そのものはどこから見てもアイマラ人の母語と言えるようなものでなければなりません。

グレゴリオとフスティノは学校の先生であり、世界で最も高いところにある航海可能な湖であるチチカカ湖の湖畔にあるガタハタ教会の信徒リーダーでした。何年も前に、あるイタリア人の富豪がここを旅行していたとき、広大な高地に住んでいる先住民を見たのでした。彼らが経済的に奴隷状態になって悲惨な暮らしをしているのを見て心を動かされ、ボリビア政府に多額の資金を託しておりました。だれか責任ある団体が農地を買い、彼らを解放し、自由人として生活できるチャンスを与えてくれるようにとの願いからです。

ついにカナダ・バプテスト・ミッションがその役割を引き受け、ガタハタの風雨に浸食され荒れ果てた土地を買い上げました。間もなく、葦の生い茂った湖岸に沿って身を寄せ合って住んでいる村々に学校が建てられ、診療所が働きを始め、農業が改良され、人々は何世代にもわたる借金から解放され、良きおとずれが伝えられたのです。

グレゴリオ・チョケとフスティノ・チスペは宣教師の開いた学校を卒業し、近くの村々で教師の仕事に就きました。鋭い知性と、親切な心の持ち主で、分別ある指導力を持った2人は、学校においても教会においても群を抜いていました。2人は他の仕事をしなくていいので、新約聖書の改訂にすべてを尽くすように言われました。

来る日も来る日も机の両側に向かいあって座り、グレゴリオが原稿を読むとフスティノがスペイン語をチェックするといった具合です。その後で、語句の言い回しについて話し合うのです。語順はこれでいいだろうか。この代名詞で話し手と聞き手がはっきりしているだろうか。もししていなかったら、意味をはっきりさせるために代名詞の代りに名詞を使わなければならない。湖の反対側のペルーの人にもこの言葉は分かるだろうか、それともこの形はボリビア側のアイマラ人にしか使われないのか。

こういった問いを一つ一つ取り上げて、それを解決していかなければなりませんでした。その地域の説教者であるモデスト・アリアガ牧師に何回も尋ねたり、技術的な細かいことや意味のちょっとした違いについては宣教師たちの助けを求めたりしました。

何カ月もの骨の折れる綿密な仕事が終わり、訳稿を送りましたが、これはアイマラ人の言葉で書かれているというのはもちろんのこと、句読点からつづりの細部に至るまで、米国聖書協会が受け取った原稿としては最高のものでした。原稿と一緒に一通の手紙が入っており、それには自分たちの言葉への新約聖書改訂という仕事をすることができた特権を神に感謝すると書かれてありました。

これは愛の奉仕であり、また感謝の気持ちからなされたことで、フスティノが「良きおとずれが私たちのところにやって来ました。まるでイエス・キリストが私たちの村に住んでいるみたいです」と分かりやすく述べていることで証明されています。

<<前回へ     次回へ>>

*

【書籍紹介】
ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』
訳者:繁尾久・郡司利男 改訂増補者:浜島敏

ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』

世界の人里離れた地域で聖書翻訳を行っている宣教師たちと一緒に仕事をすることになって、何百という言語に聖書を翻訳するという素晴らしい側面を学ぶまたとない機会に恵まれました。世界の70カ国を越える国々を訪れ、150語以上の言語についてのさまざまな問題点を教えられました。その間、私たち夫婦はこれらの感動的な仕事の技術的な面や、人の興味をそそるような事柄について、詳細なメモを取りました。

宣教師たちは、未知の言語の文字を作り、文法書や辞書を書き、それらの言語という道具を使って神の言葉のメッセージを伝えるのです。私たちは、この本を準備するに当たって、これらの宣教師の戦略の扉を開くことで、私たちが受けたわくわくするような霊的な恵みを他の人たちにもお分かちしたいという願いを持ちました。本書に上げられているたくさんの資料を提供してくださった多くの宣教師の皆さんに心から感謝いたします。これらの方々は、一緒に仕事をしておられる同労者を除いてはほとんど知られることはないでしょう。また、それらの言語で神の言葉を備え、有効な伝道活動の基礎を作ったことにより、その土地に住む人々に素晴らしい宝を与えられたことになります。その人たちは、彼らの尊い仕事を決して忘れることはないでしょう。

本書は説教やレッスンのための教材として役立つ資料を豊富に備えていますが、その目的で牧師や日曜学校教師だけのために書かれたものではありません。クリスチャン生活のこれまで知らなかった領域を知りたいと思っておられる一般クリスチャンへの入門書ともなっています。読者の便宜に資するために3種類の索引をつけました。①聖句索引、本書に引用されている聖書箇所を聖書の順に並べました、②言語索引、これらのほとんど知られていない言語の地理上の説明も加えました、③総索引、題目と聖書の表現のリストを上げました。

ユージン・ナイダ

◇

浜島敏

浜島敏

(はまじま・びん)

1937年、愛知県に生まれる。明治学院大学、同大学院修了。1968年4月、四国学院大学赴任。2004年3月同大学定年退職。現在、四国学院大学名誉教授。専攻は英語学、聖書翻訳研究。1974、5年には、英国内外聖書協会、大英図書館など、1995、6年にはロンドン大学、ヘブライ大学などにおいて資料収集と研究。2006年、日本聖書協会より、聖書事業功労者受賞。2014年7~9月、ロンドン日本語教会短期奉仕。神学博士。なお、聖書収集家として(現在約800点所蔵)、過去数回にわたり聖書展示会を行う。国際ギデオン協会会員。日本景教研究会会員。聖書の歴史、聖書翻訳に関する著書・翻訳書、論文多数。

■ 【浜島敏著書】(Amazon)
■ 【浜島敏著書】(イーグレープ)

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:浜島敏
  • ツイート

関連記事

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(43)トルディンガー博士のディンカ語聖書翻訳 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(42)良き訪れを伝える者 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(41)ハイラム・ビンガム 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(40)ブラザー・シェリー 浜島敏

  • 神声人語―御言葉は異文化を超えて―(39)ヘンリー・マーティン 浜島敏

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • リック・ウォレン牧師、カトリックのイベントで講演 宣教による一致を語る

  • 「もうひとりの助け主」の恵みを受けよう 万代栄嗣

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月16日):アンゴラのクワンガリ族のために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月13日):カメルーンのクワクム族のために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月10日):アンゴラのクワァビ族のために祈ろう

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • リック・ウォレン牧師、カトリックのイベントで講演 宣教による一致を語る

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.