Skip to main content
2025年5月17日12時19分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
日本宣教論

日本宣教論(37)日本の戦争責任 後藤牧人

2017年4月19日11時25分 コラムニスト : 後藤牧人
  • ツイート
印刷
関連タグ:後藤牧人

日本の戦争責任については、確かに韓国における暴政、中国における数々の凶悪な行動など、日本が悔い改めねばならない事柄は多々ある。

しかし、全てが日本の責任であり、日本の狂気がなせるわざであるとか、また、米国は善であり、終戦後に日本は米国に指導されて、初めて良い国となり始めた、戦前の日本は全く暗黒と狂気の満ちた国であった、などとするのは非常に無理がある。現代の日本人は、ほとんどが欧米のキリスト教国の植民地経営の実情について無知のまま議論をしているが、これでは話にならない。

牧師の全部でなくても、各教派の指導者格の人物は、これらのことを把握しておくべきであろう。歴史の無知からは、自分についての無知が生じ、また、相手についての無知が生じる。己を知らず、相手を知らずでは、宣教の戦術の立てようがないのである。

戦争責任論のタブー

また、先に述べたように、日本人の学者たちは、キリスト教の知識が十分でないことを自覚しているので、節度をもってあまりこれに立ち至らないようにしている。非クリスチャンが、これに触れて論じるのがタブーになっていることは、先に述べた。

一方、欧米の学者たちは、これまたキリスト教の矛盾と偽善について、自分たちの恥部であるので触れるのを避け、見て見ぬ振りをしている。これももう1つのタブーである。タブーというのは触れてはいけないもので、見ないことにする。それが続くと、やがて自分が見て見ぬ振りをしていることも忘れ、本当に見えなくなる。

それが、本格的な偽善への入り口である。これらの2つのタブーは、認識の真空を生んでいる。この真空は、壊されねばならない。内部告発が必要である。それができるのは、日本のクリスチャンだけである。アジアの一国であり、植民地化の害悪を見抜き、国の生命を賭けて、これを拒絶してきた日本である。内部告発は、日本のクリスチャンの義務である。それなしには、根本的な解決はない。

米国人の側では無邪気にも、自分たちの国は「自由と公正と博愛の国、人類の理想の社会」であると思っている。建前と現実の乖離(かいり)を認識できておらず、気が付いていない。

だいたいトーマス・ジェファーソン(第3代大統領)らが、米国の独立宣言を書いて「全ての人は平等」と言ったとき、「全ての人」とは一体誰を指していたのか。ハワード・ジンの『民衆のアメリカ史』によると、それは「財産を持った白人男性」のことである。

欧州では「貴族」だけが人間としての権利を持っているが、米国は違う。貴族でなくても「財産のある白人男性」なら、人間としての権利を持っているというのが、ジェファーソンの意味である。

だから、ジェファーソンらの独立宣言には、女性、財産のない白人、インディアン、黒人、また欧州から出稼ぎで来ている貧しい白人などは全て除外されている。彼らは「全ての人間」に入っていないのである(Howard Zinn, A People’s History of the United States)(『民衆のアメリカ史』ハワード・ジン、猿谷要監修、富田虎男訳、明石書店)。

福沢諭吉は、ジェファーソンの独立宣言に感激して、『学問のすすめ』の冒頭に「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず・・・」と書いた。そして、女を低く見る日本はけしからん、すべからく一夫一婦たるべし、妻妾同居など怪しからん、と説いた。字面だけ見て感激したのだろう。福沢諭吉がこれを読んだのは、ジェファーソンの独立宣言の90年ほど後のことである。

日本人はナイーブ過ぎる。理想が高らかにうたい上げてあると、その通りに行われていると思ってしまう。それだけ日本は建前と本音が近い正直な文化を持っているからだろう。だから、キリスト教国の建前主義にはコロリとだまされてしまう。

日本では、現実から離れた理想などを言うとバカにされるので、現実から少しだけ前向きのことを言う。米国では、現実はどうであっても理想を高く掲げると、それだけで偉人として通用するようである。

ジェファーソンが自分の屋敷に120人も黒人奴隷を持っていたこと、また、屋敷の中で女奴隷の何人かを愛人にしており、混血の子どももいた。そういうことは、福沢諭吉は夢にも思わなかったということだろう。

白人が黒人を殺しても、裁判にはならなかった。20世紀になって、白人の犯人が逮捕され起訴されても、陪審制だから白人は常に無罪にされてきた。こうして黒人は完全に去勢されてきた。そのことは前に述べた。そして、福沢諭吉が独立宣言に接してから約100年後に、公民権法が成立し、 黒人は「人間」扱いを許され、黒人を殺すと有罪ということになったのである。

黒人の反乱の最大のものは、ナット・ターナーの乱であるが、数十人が結束して白人60人ほどを殺し、すぐ鎮圧され、関係者は処刑された。 1831年、南北戦争の30年前のことである。

一体何がこれほど黒人を無力化させたのか。これは単に「政策」の問題ではないであろう。白人一般の市民意識の問題である。黒人は分散させられ、米社会の白人は男も女も結束して抑圧に回ったということであろう。黒人には銃を持たせず、一方、白人は各家庭にライフル銃を置いたのである。

そうだとすると、フィリピンのマニラでジェファーソンらの独立宣言のスペイン語訳を没収して焼却してしまったという米軍の行動は、まさに米社会の有色人種に関する観念と一致するのである。

日本人はフィリピン戦争の時に、マニラで米軍が独立宣言のスペイン語訳の載っている新聞を燃やしたというのを読んでも、ウソだろうとか、まさか米国人がそんなことをするはずがないなどと思ってしまうのである。日本人はいつも、自分たちも人間であると思ってきた。ところが米国からみれば、無知で貧しいアジア人は「全ての人間」の中には入っていなかったのである。

日本宣教の見地から言うと、日本の戦争責任を強調し、悔い改めを迫るのは再考すべきであろう。現在行われている戦争責任論の多くは、勉強し直してもらわねばならない。不十分で不正確な歴史把握から出てきている論議は、社会からは反発されるだけ、つまずきを生むだけである。

(後藤牧人著『日本宣教論』より)

<<前回へ     次回へ>>

*

【書籍紹介】
後藤牧人著『日本宣教論』 2011年1月25日発行 A5上製・514頁 定価3500円(税抜)

後藤牧人著『日本宣教論』

日本の宣教を考えるにあたって、戦争責任、天皇制、神道の三つを避けて通ることはできない。この三つを無視して日本宣教を論じるとすれば、議論は空虚となる。この三つについては定説がある。それによれば、これらの三つは日本の体質そのものであり、この日本的な体質こそが日本宣教の障害を形成している、というものである。そこから、キリスト者はすべからく神道と天皇制に反対し、戦争責任も加えて日本社会に覚醒と悔い改めを促さねばならず、それがあってこそ初めて日本の祝福が始まる、とされている。こうして、キリスト者が上記の三つに関して日本に悔い改めを迫るのは日本宣教の責任の一部であり、宣教の根幹的なメッセージの一部であると考えられている。であるから日本宣教のメッセージはその中に天皇制反対、神道イデオロギー反対の政治的な表現、訴え、デモなどを含むべきである。ざっとそういうものである。果たしてこのような定説は正しいのだろうか。日本宣教について再考するなら、これら三つをあらためて検証する必要があるのではないだろうか。

(後藤牧人著『日本宣教論』はじめにより)

ご注文は、全国のキリスト教書店、Amazon、または、イーグレープのホームページにて。

◇

後藤牧人

後藤牧人

(ごとう・まきと)

1933年、東京生まれ。井深記念塾ユーアイチャペル説教者を経て、町田ゴスペル・チャペル牧師。日本キリスト神学校卒、青山学院大学・神学修士(旧約学)、米フィラデルフィア・ウェストミンスター神学校ThM(新約学)。町田聖書キリスト教会牧師、アジアキリスト教コミュニケーション大学院(シンガポール)教授、聖光学院高等学校校長(福島県、キリスト教主義私立高校)などを経て現職。

■ 【後藤牧人著書】(Amazon)
■ 【後藤牧人著書】(イーグレープ)

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:後藤牧人
  • ツイート

関連記事

  • 日本宣教論(36)米国文化の偽善と独善 後藤牧人

  • 日本宣教論(35)日本国内の状況:「きけ わだつみ」現象 後藤牧人

  • 日本宣教論(34)日本国内の状況:勝算があっての開戦ではない・その2 後藤牧人

  • 日本宣教論(33)日本国内の状況:勝算があっての開戦ではない 後藤牧人

  • 日本宣教論(32)日本国内の状況:開戦の詔勅と大東亜宣言 後藤牧人

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 21世紀の神学(27)プロテスタント教会側から見るローマ教皇 山崎純二

  • 世界では神を信じている人の方が多い 85カ国・地域9万1千人を対象に大規模意識調査

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(222)心を癒やす祈りと賛美 広田信也

  • 映画「空中の権威」が日本語字幕で視聴可能に 現代クリスチャンに警鐘鳴らす作品

  • カリフォルニア州のビーチで7752人が受洗、米国史上最大規模の合同洗礼式

  • 聖書普及事業150年記念式典・レセプションの申し込み受け付け始まる

  • ワールドミッションレポート(5月17日):パキスタン 南部パンジャブ州のサライキ語話者のために祈ろう

  • 不公平な愛 菅野直基

  • ワールドミッションレポート(5月16日):米国 民族言語の聖書翻訳が共同体にリバイバルをもたらす

  • ワールドミッションレポート(5月13日):インド パンジャブ州で拡大するリバイバル

  • 新教皇を選ぶコンクラーベ、いつ、何回目の投票で決まる? 181日間に及んだケースも

  • 映画「空中の権威」が日本語字幕で視聴可能に 現代クリスチャンに警鐘鳴らす作品

  • 次期ローマ教皇の有力候補4人

  • 21世紀の神学(27)プロテスタント教会側から見るローマ教皇 山崎純二

  • カリフォルニア州のビーチで7752人が受洗、米国史上最大規模の合同洗礼式

  • 聖墳墓教会の床下発掘調査で貴重な発見、ヨハネ福音書の記述を裏付ける証拠に

  • 「司牧と行政の両方に深い知識と経験」 日本司教協議会会長、新教皇誕生でメッセージ

  • 新ローマ教皇にプレボスト枢機卿、教皇名は「レオ14世」 初の米国出身者

  • 四半世紀ぶりに欧州で大規模伝道会議、今月末にベルリンで 牧師ら約千人が参加

  • 世界では神を信じている人の方が多い 85カ国・地域9万1千人を対象に大規模意識調査

  • 新教皇を選ぶコンクラーベ、いつ、何回目の投票で決まる? 181日間に及んだケースも

  • 次期ローマ教皇の有力候補4人

  • 新ローマ教皇にプレボスト枢機卿、教皇名は「レオ14世」 初の米国出身者

  • ローマ教皇フランシスコの死去に対する日本国内の他教派の反応

  • 聖墳墓教会の床下発掘調査で貴重な発見、ヨハネ福音書の記述を裏付ける証拠に

  • 映画「空中の権威」が日本語字幕で視聴可能に 現代クリスチャンに警鐘鳴らす作品

  • 21世紀の神学(27)プロテスタント教会側から見るローマ教皇 山崎純二

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • フランスのカトリック教会、復活祭に成人1万人以上が受洗 昨年比45%増

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

編集部のおすすめ

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 後藤健二さん没後10年、追悼イベントで長女が映像メッセージ 「誇りに思っている」

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.