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日本宣教論

日本宣教論(36)米国文化の偽善と独善 後藤牧人

2017年4月5日08時02分 コラムニスト : 後藤牧人
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関連タグ:後藤牧人

米国人の無邪気さ

英国の歴史学者クリストファー・ソーンは、米国人の単純、無邪気さをいささかの驚きをもって紹介している。

たとえば、 OSS(C I Aの前身)の調査分折員である学者たちがその調査の中で、アジアにおいては「アメリカの示唆・指導・保護がいかに待望されているか」を述べており、「中国、フィリピンにおけるアメリカ人の政策は、他のアジア人たちの『賞賛の声を巻き起こし・・・彼らは熱狂的なアメリカびいきで・・・』」などの報告、また「アジアは『アメリカとフィリピンの間の模範的な関係が、中国との間にも確立されねばならない・・・』と望んでいる」などと言っている。

米国文化の偽善と独善

なぜ、このような現実離れした観察が出てくるのであろうか。恐らく米国の国内には、先住民族への扱いなど、見て見ぬふりをせねばならぬものがあまりに多くある。前に述べたように、欧州ではアジア人、アフリカ人に対する非人間的な虐待は遠隔の地の出来事であるが、米国では目の前で起こっている。

米国人は、そのような現実を直視すること、または認識するのを拒否して社会を構成している。そういう偽善的な態度や、また建前と本音の間の大きな懸隔(けんかく)などが思考の底辺にあるのだろう。そこから米国人の自己観察、周囲の事柄の把握、思考のクセの中に、大きな盲点が生じているように思うのである。

『わが娘を愛せなかった大統領へ』の中で、レーガン大統領の娘が、父親はいつも現実を見ようとせず、それがないもののように振る舞った、それは父親レーガンばかりでない、米国の政治そのものの性格でもある、というように言っているところがある。これはまさによく言えており、確かな観察であると思う。(『わが娘を愛せなかった大統領へ』バティ・デイビス、玉置悟訳、KKベストセラーズ)

そういう性質が思わず外交的な判断にも出てきているのだろうか。米国人は、自分たちが優れており、他の国々は全て米国の政策を熱望していると「信じ続けていたい」のである。欧州人と比べて個人的には優劣はないが、欧州は体制がまずいので能力が発揮されていないと感じ、米国的な体制に近づくことが欧州の幸せであると考える。

アジア、アフリカに対しては、これらは全て劣等人種であり、その劣等さが生み出した劣等の政治体制の下で苦しんでいると考え、彼らにとって米国的な生き方が憧れの的であり、米国的な影響を少しでも及ぼしてやれば祝福があると考えている。事実、米国に移住を熱望するアジア人は数知れず、アジアで日本の次に富裕なはずの韓国でさえも米国への移住希望者が多く、移民枠は待ちリストがいっぱいであり、米国人の自信を増大させる。

米国には、学者が政府の立案、行政に関わり、また行政官として登用される伝統があり、そこから学者、知識人の政府批判が鈍るという傾向があるかもしれない。これに反して、日本では、学者は政府と距離があり、無遠慮に政府批判をするクセ(時には不必要なまでに)がある。日本でも、小規模であるが大学人を経済閣僚に登用するなどの施策が行われ始めてはいるが、むしろ例外的である。

プロテスタント・キリスト教は民主主義と相まって米国で発展を遂げたが、民主主義の基底である平等、また「人種性によらない個人の尊厳」ということは積み残したままであった。それは、キリスト教がその根底に人類は「単一の道程を通って進歩」するという概念を持っていたことと無縁ではないと思う。米国の無邪気さの陰には、このように自分たちの国民性の形成と深く関わっているプロテスタント・キリスト教の偽善的体質がある。

2001年、ニューヨークの9・11の世界貿易センターの攻撃の直後のことであるが、ブッシュ大統領は、米国がこんなに優れた国であることをもっと知ってもらいさえすれば、アラブからの敵意はなくなるはずであると考え、ホワイトハウスに広告業界の代表を呼び、対策を協議したという。

こんな素晴らしい国が憎悪されるというのは、何かの聞違いに違いない。広告業界に協力してもらい、1つキャンペーンを打って米国の現実を広く知らせるのだ、と考えたらしい。何という見当違いだろうか!

(後藤牧人著『日本宣教論』より)

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*

【書籍紹介】
後藤牧人著『日本宣教論』 2011年1月25日発行 A5上製・514頁 定価3500円(税抜)

後藤牧人著『日本宣教論』

日本の宣教を考えるにあたって、戦争責任、天皇制、神道の三つを避けて通ることはできない。この三つを無視して日本宣教を論じるとすれば、議論は空虚となる。この三つについては定説がある。それによれば、これらの三つは日本の体質そのものであり、この日本的な体質こそが日本宣教の障害を形成している、というものである。そこから、キリスト者はすべからく神道と天皇制に反対し、戦争責任も加えて日本社会に覚醒と悔い改めを促さねばならず、それがあってこそ初めて日本の祝福が始まる、とされている。こうして、キリスト者が上記の三つに関して日本に悔い改めを迫るのは日本宣教の責任の一部であり、宣教の根幹的なメッセージの一部であると考えられている。であるから日本宣教のメッセージはその中に天皇制反対、神道イデオロギー反対の政治的な表現、訴え、デモなどを含むべきである。ざっとそういうものである。果たしてこのような定説は正しいのだろうか。日本宣教について再考するなら、これら三つをあらためて検証する必要があるのではないだろうか。

(後藤牧人著『日本宣教論』はじめにより)

ご注文は、全国のキリスト教書店、Amazon、または、イーグレープのホームページにて。

◇

後藤牧人

後藤牧人

(ごとう・まきと)

1933年、東京生まれ。井深記念塾ユーアイチャペル説教者を経て、町田ゴスペル・チャペル牧師。日本キリスト神学校卒、青山学院大学・神学修士(旧約学)、米フィラデルフィア・ウェストミンスター神学校ThM(新約学)。町田聖書キリスト教会牧師、アジアキリスト教コミュニケーション大学院(シンガポール)教授、聖光学院高等学校校長(福島県、キリスト教主義私立高校)などを経て現職。

■ 【後藤牧人著書】(Amazon)
■ 【後藤牧人著書】(イーグレープ)

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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