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こころと魂の健康

こころと魂の健康(39)信仰という偽りの万能感 渡辺俊彦

2016年6月4日21時57分 コラムニスト : 渡辺俊彦
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関連タグ:渡辺俊彦

私は、福音派の教会に導かれ、福音派の神学校で学び、訓練を受けました。今、思い返せば「あの頃は純粋だった」と感じます。別な言い方をすると、盲目的だったということでもあります。

先輩牧師たちや神学校の教師たちは、何かがあるたびに「祈りなさい」という言葉を繰り返しました。その上、イエス様は「あなたがたが信じて祈り求めるものなら、何でも与えられます」(マタイ21:22)と言われたから祈りなさい、でした。

確かにその通りで、誰も反論はできません。また「アブラハムはまだ見ぬ地に神様の約束の地に出発した。だから、神様の約束を信じ出発するのが信仰だ」とよく言われたものです。これもその通りで、誰も反論できません。

しかし、それができないのは不信仰であると言われているようなものでした。それは、信仰は万能であって、何も起こらないのは信仰が足らないということを、暗黙のうちに言われていることに等しかったのです。

つまり、信仰の万能性を体験することが求められたということです。私は、さまざまな学びを通して、このような信仰は偽りの万能感だと気が付きました。

そもそも万能感とは何かということです。「万能感」とは、自分は万能で何でもできるのだ、不可能なことはないという高揚した感覚や思い込みです。精神分析では「全能感」といわれます。

この万能感は、人間の発達に欠かせない大切なものです。人間は幼児期に万能感を持つものです。人間にとって幼児期は、何でも思い通りになると感じている時期です。ですから、自分の感情をコントロールすることができません。

実は、この頃から本格的なしつけが始まる時期でもあります。この時期は、養育者からすると「この子は何とわがままな子、頑固な子」などと感じてしまうものです(この時期は、しつけと称して身体的虐待が起こるケースが少なくありません)。

本来、万能感は成長と共にさまざまな失敗や挫折を経験しながら「人間には限界があること」を学習します。そこで、思い通りになるのは自分の選択と行動であることを知ります。

また、自分と他者の間には「境界」があることを知ります。こうして、人間は健全な成長をしていくのです。ですから、私たちにとって万能感は、成長過程に欠かせない大切なものです。

ところが、万能感を維持したまま成長してしまうと「自分は何でもできる」「自分は特別な存在だ」という意識を持ってしまいます。この姿を「偽りの万能感(全能感)」といいます。

偽りの万能感を維持している人は、自分の要求を満たすために相手をコントロールするようになります。具体的には、幼い子どものように泣いたり、いじけたり、叫んだり、怒鳴ったりなどしながら万能感を満たそうとします。また、自分の万能感を満たすために依存したりもします。

しかし、現実は自分の思う通りになりません。そのため、偽りの万能感を維持している人は、何をしても人生に満足できません。現代人は、偽りの万能感の状態の人が多いように感じます。ここに、福音がなかなか届かない原因の一つがあるのではないでしょうか。

さて、この万能感は私たちの信仰にも大きく関係していると思われます。神様は創造者です。私たち人間は被造物です。人間が被造物であるとは「人間には限界性がある」ということです。この限界性も神様の創造の一部です。ですから、私たちが救いの恵みにあずかっても、限界があることには変わりはありません。

ところが、信仰という名のもとに、この限界性がぼやけてしまうことがしばしばあります。意識的には分かっているのですが、日常の信仰生活の中でぼやけてしまうことが少なくありません。

そして、信仰という名のもとに自分が何でもできる万能(全能)であるかのように思い込んでしまうのです。私はこれを「信仰の偽りの万能感」と理解しています。

私たちは、日常生活の中で人間の限界がぼかされてしまうと、誤った万能感によって行動してしまいます。そのため、信仰という名のもと「何でも可能だ」と勘違いしてしまい、自分の限界に直面すると適切な対応ができず、混乱してしまうのです。

私たちは、主の御心だと信じ、仕事や奉仕をすることがよくあります。しかも、自分の限界を意識しないまま、仕事や奉仕をしていることが多いものです。

私たちは勘違いしてはいけません。どんなに主の御心であっても、人間性を越えて自分が何かできるということではないということです。確かに、神様は人間性を越えて御業を成し遂げてくださいます。それは、私たちがするのではありません。神様がしてくださることです。

大切なことは、私たちには限界があり、その限界を受け入れて、与えられた責任を果たしていくことです。そして、神様はその限界を越えて、御業を成し遂げてくださるという信頼が信仰です。この点が理解されていないと、信仰の混乱が起こってしまうのです。

イエス様はゲツセマネの祈りの中で「父よ。みこころならば、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの願いではなく、みこころのとおりにしてください」(ルカ22:42)と言われました。

イエス様は真の人間であり真の神です。そのイエス様が、十字架を前にして混乱することなく、祈りの座についていた姿は見事です。これが、成熟した信仰の姿です。

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◇

渡辺俊彦

渡辺俊彦

(わたなべ・としひこ)

1957年生まれ。多摩少年院に4年間法務教官として勤務した後、召しを受け東京聖書学院に入学。東京聖書学院卒業後、日本ホーリネス教団より上馬キリスト教会に派遣。ルーサーライス神学大学大学院博士課程終了(D.Mim)。ルーサーライス神学大学大学院、日本医科大学看護専門学校、千葉英和高等学校などの講師を歴任。現在、上馬キリスト教会牧師、東京YMCA医療福祉専門学校講師、社会福祉法人東京育成園(養護施設)園長、NPO日本グッド・マリッジ推進協会結婚及び家族カウンセリング専門スーパーバイザー、牧会カウンセラー(LPC認定)。WHOのスピリチュアル問題に関し、各地で講演やセミナー講師として活動。主な著書に『ギリシャ語の響き』『神学生活入門』『幸せを見つける人』(イーグレープ)、『スピリチュアリティの混乱を探る』(発行:上馬キリスト教会出版部、定価:1500円)。ほか論文、小論文多数。

■ 上馬キリスト教会ホームページ
■ 上馬キリスト教会ツイッター
■ 【渡辺俊彦著書】(Amazon)
■ 【渡辺俊彦著書】(イーグレープ)

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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