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日本宣教論

日本宣教論(8)日本の周囲の状況:インドネシア(その3) 後藤牧人

2016年3月9日11時36分 コラムニスト : 後藤牧人
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関連タグ:後藤牧人

レフレム報告書という文書がある。これはスマトラ島の一地方に関する調査報告書である。それによるとオランダ人農園主は、現地人労働者に対する懲罰権を持っており、しばしば労働者は刑罰として殴打されている間に死亡し、死体は農園内で地中に埋めて処分された。これに対して白人農園主が裁判にかけられたことはなかった。

アメリカ人は黒人を奴隷として使ったが、それなりに大切にもした。米国では奴隷は高価であったし、むやみに殺したり不具にさせたら、それは農園主の損害である。殴打してケガをさせれば、労働の能率が下がる。アメリカ黒人は人間としての尊厳は許されなかったかもしれないが、むやみに殺されることはなかったし、体力維持のため、食事も豊かであった。

ところがインドネシアではわずかの前渡金で何年かの労働をやらせる。かりに不具になっても、殺してもすぐ次を雇える。周りには、幾らでも希望者がいる。そのような実情が、この報告書には入っている。

レフレム報告書はその存在が隠され、国会では植民大臣が「誇張にすぎない」と取り上げなかった。またこの報告書が、研究者や大学関係者の手に渡ることがないように工作がされた、と。

国会では、この報告書の存在についての論議は「まさかオランダ人がそんなことをするはずがない」という理由で取り上げることを拒否され、オランダの社会はそれでよしとした。これはすべて、白人は勤勉で創造性に富み、アジア人は怠惰で知能程度も低い、そういう者たちを優れた者が統治するのは当然であるという理由によったのである。

ソーンによると、太平洋戦争で日本軍が攻めてくると、インドネシア現地人兵はみな逃亡した。残ったのは、白人将校と白人下士官だけであった。オランダ現地軍は命令者だけが残り、こうして戦闘能力を失ってしまった。

英国や米国の統治した植民地では親英、親米のゲリラが日本軍を多く悩ました。マレーやフィリピンの現地人は英国や米国の帰還を希望し、反日ゲリラを組織して戦ったのである。ところがオランダ人はあまりに残虐だったので、インドネシア人でオランダの復帰を望むものはおらず、親オランダの抗日抵抗勢力は存在しなかった、という。

カウスブルックによると、オランダ領インドの日本軍の残虐さに関して、オランダ国内では数百冊の本が書かれているが、実は冷静に事実関係を記録したものは数冊にすぎない。オランダ人がナチスから受けた残虐行為は恐ろしいものであった。一方アジアでも日本によって不当な扱いを受けた、ということで、日本については具体的な事実は報告に入れず、ただその被害者の意識が述べられ、ナチスと同じだった、ということになっているのである。

1980年になってもユトレヒト市での「オランダ領東インド記念大会」でベーツ教授という人物が演説して「非西欧人の侵略者と相対したことを耐え忍んだ」と言っている。これはカウスブルックによれば、オランダ人よりはるかに劣等民族である日本人から屈辱を受けた、それはやりきれないことだった、と言っているのだ、と。

レムレフ報告書はやっと20世紀末になって出版され、日の目を見た。その他の各地の実情報告も出版され始めているということである。カウスブルックは、これからは毎年の8月15日の式典ではオランダ人自身の被害を述べるのは少し控えよう、われわれに酷使されて死に、餓死させられ、蹴り殺されたりした多くの名もなきインドネシア人のことに思いをはせよう、と言っている。

だいたい植民地経営というものは、なかなかプラス勘定にはならず、英国のインド経営は赤字のままに終わったという。ところがオランダの場合はインドネシアからの収入が国家予算の半分近くを占めるほどになったという。いかにその搾取が過酷であったかが分かる。

オランダといえば、プロテスタント信仰の牙城の一つである。ファン・デン・ボスの強制栽培法は、神学者のアブラハム・カイパーが首相から降りた、その数年のちのことである。なぜそのような残酷なことが行われたのだろうか。

それとも、プロテスタント信仰の柱の一つに、そのような白人至上主義、有色人種劣等視主義が存在しているのだろうか。

(後藤牧人著『日本宣教論』より)

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*

【書籍紹介】
後藤牧人著『日本宣教論』 2011年1月25日発行 A5上製・514頁 定価3500円(税抜)

後藤牧人著『日本宣教論』

日本の宣教を考えるにあたって、戦争責任、天皇制、神道の三つを避けて通ることはできない。この三つを無視して日本宣教を論じるとすれば、議論は空虚となる。この三つについては定説がある。それによれば、これらの三つは日本の体質そのものであり、この日本的な体質こそが日本宣教の障害を形成している、というものである。そこから、キリスト者はすべからく神道と天皇制に反対し、戦争責任も加えて日本社会に覚醒と悔い改めを促さねばならず、それがあってこそ初めて日本の祝福が始まる、とされている。こうして、キリスト者が上記の三つに関して日本に悔い改めを迫るのは日本宣教の責任の一部であり、宣教の根幹的なメッセージの一部であると考えられている。であるから日本宣教のメッセージはその中に天皇制反対、神道イデオロギー反対の政治的な表現、訴え、デモなどを含むべきである。ざっとそういうものである。果たしてこのような定説は正しいのだろうか。日本宣教について再考するなら、これら三つをあらためて検証する必要があるのではないだろうか。

(後藤牧人著『日本宣教論』はじめにより)

ご注文は、Amazon、または、イーグレープのホームページにて。

◇

後藤牧人

後藤牧人(ごとう・まきと)

1933年、東京生まれ。井深記念塾ユーアイチャペル説教者を経て、町田ゴスペル・チャペル牧師。日本キリスト神学校卒、青山学院大学・神学修士(旧約学)、米フィラデルフィア・ウェストミンスター神学校ThM(新約学)。町田聖書キリスト教会牧師、アジアキリスト教コミュニケーション大学院(シンガポール)教授、聖光学院高等学校校長(福島県、キリスト教主義私立高校)などを経て現職。

■ 【後藤牧人著書】(Amazon)
■ 【後藤牧人著書】(イーグレープ)

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:後藤牧人
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