2001年9月11日、米ニューヨークにある世界貿易センタービルに民間航空機二機が突撃した現場跡に建てられた十字架のシンボルについて、米国内の無神論者から「ノンクリスチャンを差別している」との理由で十字架を取り除くべきであるという訴えがなされてきた。
米クリスチャンポスト(CP)によると、米国無神論者の団体「米国の無神論者たち(AA)」代表を務めるデーヴィッド・シルヴァーマン氏は「クリスチャン以外の人々を排他する十字架だけを跡地に建てることは良くありません。これは異宗教の排他というよりは、あらゆる宗教を信じる人たちのために重要なことです」と述べているという。
同組織は米国最大の世俗主義の団体のひとつで、昨年7月にテロ事件後の十字架のシンボルを取り除くことに関する訴状を裁判所に提出した。一方米国9.11記念博物館では、「十字架のシンボルを展示することは誰に対しても攻撃的な意図はなく、同事件を記憶に留め、復興へ向かうための希望と慰めのために存在している」と弁明している。
記念館の展示物として飾られている十字架は、貿易センタービルが崩壊した後に偶然見つかった、十字架の形に似た一対の建築材の鉄鋼が元になっている。崩壊した跡地で作業を行っていた建設作業員によって発見された。その後この十字架に似た建築材が牧師らによって祝福され、多くのキリスト者の希望の象徴とされることになった。
一方AAでは、「私達は亡くなられた方に敬意を払い、またそのご家族の方々にも敬意を払っています。そのため多くのキリスト教信者ではない犠牲者ならびにそのご遺族にとって、十字架のシンボルだけを飾るのはふさわしくないと考えます。これはアメリカに対する攻撃であったのであり、キリスト教に対する攻撃ではありませんでした。ただ単に残骸が十字架に似ていたというだけでキリスト教のシンボルとしてこの残骸だけが利用されるべきではありません。さらに跡地での十字架の展示は、全能の神がイスラム教のテロリストの攻撃を止められず、貿易センタービルを保持することができなかったことをいつまでも記憶に留めさせる役割も担っているのではないでしょうか。ばかげたことです」と述べている。
一方法と正義のための米センター(ACLJ)では、9.11を記念する十字架を取り除くことは、アンチキリスト者の高まる感情をますます刺激することになるとし、「9.11記念博物館は適切に弁明しています。博物館が所有して展示している展示物の一つである十字架を、一つの宗教的象徴であるという理由だけで取り除かれなければいけない理由はありません」と述べている。
米国憲法においては、すべての宗教的シンボルが公的な場所から取り除かれなければならないことを要求していないという理由から、多くの法律専門家らは十字架だけをシンボルとすることは違法ではないと指摘している。そのため法律問題アナリストのジェフェリー・トゥービン氏は米CNNに対し「最高裁が十字架のシンボルを取り除くべきであるという判決を下す可能性は実質ゼロであると言えるでしょう」と述べている。
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