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WCC、ヒンドゥー教文化の中のキリスト者の自己理解を促進

2011年10月19日13時30分
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 WCC会議参加者らの様子。スイスにあるボセイエキュメニカルインスティテュートで(写真提供:WCC)。+
 世界教会協議会(WCC)は12日から15日にかけてスイスボセイにあるエキュメニカル大学で、地域的にヒンドゥー教徒と密接に関わる社会で生活するインド、ネパール、バングラデシュ、スリランカ、マレーシアおよびインドネシアのキリスト教徒らが集い、キリスト教徒とヒンドゥー教徒の関係について考察する会議が行われた。

 会議は「ヒンドゥー教との関わりにおけるキリスト者の自己理解」というテーマで開催され、ヒンドゥー教の伝統が根付く社会の中で実際の対話と行動を通してどのようにヒンドゥー教徒との関係を構築していくかについて議論された。ヒンドゥー教が伝統的に根付くこれらの地域では、地域内での緊張関係緩和のためにも少数派のキリスト教徒と地域で伝統的宗教文化を形成しているヒンドゥー教徒が良好な関係を構築する切実な必要が生じている。

 同会議の開催にあたって、WCC総幹事のオラフ・フィクセ・トゥヴェイト博士は「伝統的諸宗教間の対立を緩和させ調和を促進させるため、また宗教的多様性がキリスト教神学、信仰生活および自己理解に与える影響をより深くし、宗教的多様性に関する新たな対応を模索されること願います」と諸教会からの参加者らに呼びかけた。
 
 同会議では、この数百年間ヒンドゥー教徒とキリスト教徒との関係性の根本的問題となっていた事柄について話し合われ、ヒンドゥー教徒との「人生に関する対話」の重要さを認識し、より促進していくことが強調された。

 会議参加者らは、ヒンドゥー教徒との関係構築において「実際の行動による対話」が必要であることについて改めて認識を深め合った。互いに同じ地域で生活を共にするヒンドゥー教徒とキリスト教徒が共に抱える正義や平和、人権その他地域社会における懸念事項について共に解決の道を模索していく姿勢が重要であることが指摘された。

 WCC国際関係委員会ディレクターのマシューズ・ジョージ・チュナカラ氏は、同会議で「ヒンドゥー教徒のナショナリズムと宗教の政治利用」についてプレゼンテーションを行い「宗教と政治活動を関連付けて行動する人々は、ヒンドゥー教共同体の中でもほんの少数にすぎません。しかしながら宗教の政治利用の傾向が高まっていることがインドにおける宗教的寛容と調和の精神構築を妨害する要因となっています」と説明した。

 会議参加者らはヒンドゥー教徒が伝統的に深い霊性と寛容の精神があることを認識し、伝統的ヒンドゥー教とヒンドゥー教をナショナリズムに結びつける動きを分けて考えることに合意した。

 同会議ではヒンドゥー教が根付く地域社会に住むすべての人々のための正義を模索し、同地域の「カースト制度」の文化の下で「不可触民」に分類され深刻な社会差別を受けている人々が社会的に公正に扱われるようにするために、キリスト教組織が他宗教団体と提携関係を構築し、働きかけていく必要性があることが呼びかけられた。

 会議の閉幕にあたって、「キリスト教の信仰の実践および神学を深め、啓蒙させていくために、ヒンドゥー教の多様な霊的価値観に対して純粋に宗教的に立ち向かっていかなければならない。この点において、(きちんとヒンドゥー教の信仰に立ち向かうことができるために)キリスト教徒の人生観、キリスト教の霊的価値観を地域キリスト教会において回復し、イエス・キリストの共同体として、神の統治の下にある私たちとして改めて信仰者としての振る舞いを確かにしていくことが、ヒンドゥー教の伝統文化の影響下にある社会に暮らすキリスト教徒にとって重要である」ことにおいて合意がなされた。

 WCCでは宗教的多元社会におけるキリスト教徒の自己理解深化のための活動を行っており、宗教間の信頼関係を強化し、互いに互いの信仰を尊重し合いながら、対話を通した関係性の深化のための道を模索している。同会議はWCCの同活動の一環として行われた。

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