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イエス伝

「イエス伝」(36)・・・負けを認めたイエス 平野耕一牧師

2010年7月15日11時09分
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関連タグ:平野耕一

これまで二人の女性に向き合ったイエスの姿を観察してきた。ベタニアのマリヤはイスラエル人、サマリヤの女はイスラエル人と異邦人の混血。今日テーマにするカナンの女は異邦人、それも歴史的にイスラエルを敵視し争ってきた民なのだ。

イエスは、この時一度だけイスラエルの地を離れたのだが、それは宣教のためではなく、弟子たちを十字架への道を歩むために備えるためであった。イスラエルの地ではイエスの知名度が高くて、人々に囲まれることが多く、落ち着いた時間を弟子たちと過ごせないからであった。ところが、邪魔が入る。

カナンの女は、悪霊につかれて苦しんでいる自分の娘を助けてもらおうとイエスに悲痛な叫び声を上げた。「主よ。ダビデの子よ。私をあわれんでください。娘が、ひどく悪霊につかれているのです」。

ところが、どんなに大声で叫び続けても、イエスは彼女の訴えを無視し続けた。たまらなくなった弟子たちは「助けてあげてください。そうしないなら、あの女を追いかえしてください」と言ったが、イエスは「わたしは、イスラエルの家の滅びた羊以外のところには遣わされていない」と、きっぱり言い放なった。冷たい拒絶の言葉だ。

しかし、弟子たちに返答する中で一瞬イエスの足が止まった。この女はその一瞬の隙を見逃さずイエスの前に来て、「主よ。私を助けてください」と懇願する。

すると、背筋に寒気が走るような言葉がイエスの口から発せられます。「子どもたちのパンを取り上げて、子犬に投げてあげるのはよくない」。

私たちは、これらのイエスの言葉がいつもとあまりにも違うので、耳を疑う。イエスはこの女に対してあまりにも意地悪な言葉を発しているではないか。

まずは、この女の叫びを聞こえないふりをして何も答えない。

次に、イスラエル人以外は恵みの対象外と言わんばかり、人種偏見もはなはだしい。

次に、あなたの娘は子犬と言う。これほど人を馬鹿にしたイエスは見たことがない。

あなたなら、どのレベルでつまずきますか。無視されて?イスラエル人でなければだめと言われて?子犬と言われて?

ところが、この女はつまずくどころか、ますますイエスに言い迫って「主よ。そのとおりです。ただ、子犬でも主人の食卓から落ちるパンくずはいただきます」と答えた。この女にとって自分が不快になる、傷つく、馬鹿にされることなどは、どうでもよかった。娘の癒しだけが大切であった。唯一のチャンスだ。この時を逃せば、イエスは自国へと帰ってしまう。自分のすべてをイエスにぶつけた。

この言葉でイエスはギャフンと来た。イエスの敗北である。返す言葉がなかった。女の勝ちだ。イエスは、彼女の願いが応えられるまで決して後に引かない信仰を見た。

イエスは「ああ、あなたの信仰はりっぱです。その願いどおりになるように。」イエスは敗北を認めた。そして、娘は癒されたのだ。

イエスについて知らなければならないことがある。彼は私たちが期待したとおりに語ったり動いたりしないということだ。彼は私たちの予測を裏切るのだ。

サマリヤの女に語ったとき、彼女はイエスの親切さに驚いた。マリヤに対しては繊細極まりなく、その悲しみに涙を流した。しかし、イエスがいつも同じように振舞うことを期待すべきではない。イエスの態度は一人一人に対し、状況によって違うのだ。ここでは「こんなに冷たく意地悪なイエス」と思う。

しかし、一見「こんなに冷たく意地悪なイエス」は彼女の信仰の極みを引き出したのだ。「ああ」というのは、イエスの驚きを示している。「あなたの信仰はりっぱです」。イエスは、だれにこれほどの褒め言葉を与えただろうか。私が思い出す人はたった一人ローマの百人隊長だけだ。「これほどの信仰はイスラエルのどこでも見たことがない」。

いつまでも続くものは三つしかない。信仰と希望と愛だけだ。イエスは一見、この女の心を傷つけ続けているように見えるが、最終的に永遠に価値ある信仰を引き出したのだ。

私はアブラハムとモーセの祈りを思い出す。主がソドムとゴモラを滅ぼすことを告げた時、アブラハムは「よき者をあしき者と共に滅ぼすのはよくない」と言い、主と交渉に入った。「50人のただしい者がいたら町全体を救ってください」から始まって、45人、40人、30人、20人、遂には10人へとその人数を下げていった。主は「10人の正しい者がいたら滅ぼさない」とアブラハムに押しまくられた。

イスラエルの民が金の子牛を造り、祭壇を築き、いけにえをささげ、そのまわりで戯れた時に、主が怒りを発して「民を消し去る。モーセよ、わたしがなすがままにする」と宣言したとき、モーセは主の前に立ちはだかり議論した。

イスラエルは「神が自ら選びエジプトから導き出した」のであり、滅ぼせば「エジプト人は、主が荒野で滅ぼす目的だったと言う」「アブラハム、イサク、ヤコブとの約束を思い起こしてください」と論争し、主は下そうとしたわざわいを思いなおされた。

この女もアブラハムやモーセのように主と言い合って恵みを勝ち取ったのだ。

イエスは議論で負けたことがない。パリサイ人、サドカイ人、律法学者、祭司長、どんな難題を吹きかけられても、彼らを言葉でねじ伏せた。誰の目から見ても勝負は明らかであった。しかし、ただ一度だけこの女に負かされた。

イエスが女の信仰を「りっぱだ」と言ったのは、告白の言葉からだけではなく、拒まれても、拒まれても信仰を貫いたからである。だから、イエスはより高度な信仰のレベルを彼女から期待し、そして彼女は応えたのだが、イエスが驚いたのは彼女がイエスの期待以上の信仰を表現したからだ。「信仰なくしては神に喜ばれることはできない」のだが、この日イエスは大いに喜ばされたはずである。

◇

平野耕一(ひらの・こういち):1944年、東京に生まれる。東京聖書学院、デューク大学院卒業。17年間アメリカの教会で牧師を務めた後、1989年帰国。現在、東京ホライズンチャペル牧師。著書『ヤベツの祈り』他多数。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:平野耕一
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