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聖ニコラスの生涯

サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(29)獄を照らす光

2025年10月1日13時12分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(1)孤児ニコラス+
聖ニコラスの肖像画(画:ヤロスラフ・チェルマーク)

暗闇の中で目が慣れてくると、獄の中にたくさんの囚人がいることが分かった。皆、絶望しきって、頭を抱えたり、世の中を呪う言葉をつぶやいたりしている。クリスチャンはほぼ2、3人しかいなかった。ニコラスは、彼らと一緒にいられるわずかな間に、何とか心の中に希望の灯をともしてあげたいと思った。

「皆さん」。彼は立ち上がると語った。「囚人である私は、あなたがたに自由を与えることも、食物や衣類をお分けすることもできません。でも、私はどんな宝にも勝って高価なものを持っている。それは、希望です」。その時、一同の間にため息が流れた。

「私たちを取り巻く世界がどんなに絶望的なものであっても、私たちには新しい住居が用意されているのです。救い主であるイエス様はおっしゃいました。父の家には住居がたくさんある――と。だから、私たちはどんな苦労にも耐えられるのです。死をも恐れる必要はない。死の向こう側には新しい世界があるのです」。気が付くと、囚人たちだけでなく、獄の番人や兵士たちも入り口に集まってきて、話を聞いていた。

この時である。いきなりドーン!という音がしたかと思うと、ぐらぐらと建物が揺れ出し、それが次第に激しさを増していった。そのうち天井から砂や小石が落ちてきて、鉄格子もミシミシと音を立てて歪み、鍵が全て外れてしまった。

「地震だ! 地震だぞ!」兵士たちは、あわてふためいて外に逃げ出していった。しかし、獄に捕らわれている者たちは、戸が開いてしまったにもかかわらず、誰一人外に出ようとせず、話に聞き入っていた。

やがて揺れも徐々に収まっていったが、外で兵士たちの叫びがこだました。「大変です! 地震で牢獄の扉が壊れ、囚人たちが逃げました!」獄吏が大声で叫ぶのが聞こえた。やがて、慌ただしい足音がしたかと思うと、知事のセルギオの大きな体が現れた。「ああ、何ということだ」。彼は頭を抱えてうめいた。

「獄の錠が外れて、扉が全部開いているではないか。私は囚人を全部逃した罪に問われ、免職だけでは済まない。死刑になるだろう。こんなことになるのだったら、あのキリスト教徒を尋問したとき、殺してしまうんだった」。そして、彼はいきなり剣を抜いて自殺しようとした。

「お待ちなさい!」ニコラスは叫んだ。「早まってはいけません。私たちクリスチャンも、それから獄に捕らわれている人たちも誰一人逃亡した者はいません。全部ここにいます」

ガクガク震える体を引きずるようにして、セルギオは開いた扉から中に入り、一人一人見て回った。そして、ニコラスの言った通り、一人も欠ける者がなく、全員がそこにいるのを見ると、驚きのあまりよろめいた。

「逃げる者など一人もいませんよ。なぜなら、外の世界よりも、この牢獄の中に自由があるからです」

「おお、信じられないことだ。あなたがたの神様は、一体どういう方なのです?」セルギオは、ニコラスの前にくずおれ、その袖をつかんだ。ニコラスは、彼の手を取り、友人のように握りしめた。

「どうも私は、キリスト教というものを大変に誤解していたようだ。この神様は、ローマの神々より偉大で、知恵と力にあふれる方で、この宗教を法で取り締まることがいかに無益で愚かなことであるか分かりました」

それから、彼は兵士たちに命じて、ニコラスとアペレを牢獄から出し、兵舎の後ろにある自分の屋敷に連れていった。

「勅令が解かれるまで、ここで暮らしてください。必要なものは全て用意します」。それから、やっと冗談口をたたく余裕が出たというように、苦笑して付け加えた。

「・・・妻はずっと以前にいなくなり(逃げたという人もいましてな)、ご覧のように私は日中公務で屋敷にいないから、自由にやってください。使用人が何でもしてくれます。あなたがたは知事の友人ということで届けを出してありますから」

こうして2人は、知事セルギオに保護され、屋敷の人々とまるで家族のようにして暮らし始めた。ニコラスは、教会の務めをすることができなくなったので、せめてここの人たちの親切に報いたいと考え、屋敷の広い台所を借りて、毎日パンケーキを焼いてふるまい、皆にたいそう喜ばれたのだった。

*

<あとがき>

聖書の中には、公務に忠実であるだけでなしに、人間的に優れた人格を持ったローマの軍人が多数登場します。セルギオは、小アジアのルキア地方の州知事であり、東ローマ帝国の軍団に属している軍人でした。

彼は役目とはいえ、囚人の罪状を決めたり、死刑執行命令に署名捺印したりすることを何よりも苦痛に感じ、できるだけ刑を軽くしてやるよう取り計らっていました。ニコラスたちに対しても、穏便に、死刑だけはまぬがれさせようと、あれこれ苦慮するのでした。

そんな時、突然この地方を地震が襲い、囚人がつながれている鎖が解け、扉が皆開いてしまうという事件が起きました。自殺をしようとしたセルギオは、ニコラスに止められ、囚人がそこで神を賛美している姿を目にします。

神の恩寵の深さに打たれたセルギオは、命に懸けてもこの2人の伝道者の命を守ろうと、2人を密かに自分の屋敷にかくまう決心をするのでした。神様のご計画には、計り知れない深さがあります。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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