6月中旬に武装集団に拉致され、行方不明になっていた南米コロンビアのカトリック司祭が、無事に解放された。健康状態も良好だという。
解放されたのは、聖アウグスチノ修道会のカルロス・サウール・ハイメス・ゲレーロ神父。コロンビア中央部のクンディナマルカ県ビオタの農村部へ向かっていた途中に武装集団に拉致され、行方不明となっていた。ゲレーロ神父が乗っていた車はエンジンがかかったままの状態で発見されたが、荒らされたり、物色したりした形跡はなかった。
コロンビアでは4月、反体制武装勢力「コロンビア革命軍」(FARC)の分派組織に呼び出されたプロテスタント教会の指導者や信者ら8人が行方不明になり、その後遺体で発見される事件が発生している。
聖アウグスチノ修道会は7月27日、ゲレーロ神父が身元不明の武装集団に拉致された後、解放され、現在は同修道会の保護下にあることを発表した。解放の正確な経緯は不明で、同修道会はゲレーロ神父の回復を優先し、プライバシーを尊重するよう求めている。
一方、教会や人権団体、ゲレーロ神父の母親は、真相究明を求めている。
国際人権団体「世界キリスト教連帯」(CSW、英語)のアドボカシー責任者であるアンナ・リー・スタングル氏は、ゲレーロ神父の解放を歓迎しつつも、事件の捜査を強く要求している。
「CSWはゲレーロ神父の解放を歓迎しますが、彼が最初に失踪した点については依然として懸念しています。われわれはコロンビア政府に対し、宗教指導者が抱える特有の脆弱(ぜいじゃく)性を認識し、政府の保護プログラムや安全対策へのアクセスを確保するよう求めます」
CSWは、コロンビアでは宗教指導者への攻撃が相次いでいるにもかかわらず、政府が2023年に保護対象者リストから宗教指導者を削除したことに懸念を表明。今回の事件は、武装勢力から宗教指導者をさらに保護する必要性を示していると指摘している。