カトリック教会のトップとして12年余り在位し、イースター(復活祭)翌日の先月21日に、88歳で死去したローマ教皇フランシスコ。訃報が伝えられると、世界各地からその死を惜しむ声が上がり、バチカン(教皇庁)で行われた葬儀には、世界各国の首脳や要人を含め計約40万人が集まった。
日本国内でも、教派を問わず哀悼の意を示す声が相次いだ。以下に、カトリック教会以外の教派や団体が発表したメッセージや書簡などを紹介する。
日本聖公会
日本聖公会は、主教会と上原榮正首座主教の名義で、日本カトリック司教協議会に宛てたメッセージを発表。教皇は世界中の人々の平和と人権を大切にしてきたとし、「その明確なリーダーシップに日本聖公会主教会からも心から感謝申し上げます」と伝えた。その上で、「『仕えるもの』になり、仕えることに徹するという教皇の祈りを、日本聖公会も大切にして歩んでいきたいと願っています」とした。
日本福音ルーテル教会
日本福音ルーテル教会も永吉秀人総会議長の名義で、日本カトリック司教協議会に宛てたメッセージを発表した。教皇は世界平和と命の尊厳を守るために尽力するとともに、世界のキリスト教会の一致と協力にも多大な貢献をしてきたとし、感謝の意を表明。「今年の復活祭メッセージで教皇フランシスコが呼びかけられたように、私たち日本福音ルーテル教会もまた、平和を実現する希望に立ち返り、希望と他者への信頼を取り戻すことを望みつつ、歩んでまいりたいと思います」とした。
救世軍
救世軍は、「(教皇は)神と教会、そして世界への模範的かつ誠実な奉仕によって、永く記憶されることでしょう」と伝える万国本営(国際本部)のニュース配信(日本語訳)をホームページに掲載した。
救世軍万国総督のリンドン・バッキンガム大将はこの中で、教皇は神の慈しみに重きを置き、環境保全に献身し、貧しく弱い立場の人々に深い配慮を示してきたとし、これらを「偉大で永続する遺産」だと評価。宗教間対話にも揺るぎない姿勢で取り組んでいたとし、感謝の意を示した。
また、救世軍とカトリック教会間の協力や、教皇自身の救世軍との個人的な関わり、2019年にバチカンで行われた救世軍代表団と教皇との会談にも触れ、「救世軍は教皇の励ましと祝福に深く感謝しています」と伝えた。
日本キリスト教協議会
日本キリスト教協議会(NCC)は、吉髙叶議長、大嶋果織総幹事の名義で、日本カトリック司教協議会会長の菊地功枢機卿に宛てた書簡をホームページに掲載した。NCCには、日本聖公会や日本福音ルーテル教会のほか、日本最大のプロテスタント教団である日本基督教団や日本バプテスト連盟など、計31の教団(教会)や団体が加盟している。
書簡は、2019年の来日時に教皇が広島と長崎で発した「核なき世界」に向けたメッセージなどに言及。「(教皇は)宗教や文化を超えた対話の実現に向けて橋を架けてくださいました。また、教会がより開かれた、全ての人を迎え入れる共同体となることを願って、私たちにさまざまな問いを投げかけ、諦めないで対話を続けていくことの重要性を教えてくださいました」と伝えた。
その上で、搾取と抑圧がやまず、対立と分断が深まる世界の中で、教皇は方向性を示したと強調。「私たちもまた、フランシスコ聖下が示された正義と平和の実現に向けてのたゆまぬ努力の姿勢を受け止め、キリストの体として共に歩む道を求めてまいります」とした。