Skip to main content
2025年11月7日19時15分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
聖ニコラスの生涯

サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(2)貧しい者への配慮

2024年9月18日14時29分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷
サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(1)孤児ニコラス+
聖ニコラスの肖像画(画:ヤロスラフ・チェルマーク)

ニコラスは12歳になった。今年も彼の誕生日(彼がガイオ家の養子となった紀元270年1月10日が誕生日とされている)には、たくさんの友達やニコラスの勉強をみてくれるギリシャ人とユダヤ人の家庭教師、そして屋敷の使用人たちが集まってパーティーが開かれることになった。

ニコラスは辻から辻へと回って、出会った子どもたち全てを招待した。そして最後に、アルテミス神殿の脇で客を呼び寄せている物売りの脇にしょんぼり立っている男の子を見つけた。その子は、体の半分が見えるほど大きな穴が開いたぼろ服を着ていた。

誕生バーティーに誘うと、悲しそうに首を振り、横を向いたが、その目から涙が流れ落ちた。「坊ちゃん、この子を誘わんでください。こいつはね、こんなボロ着で出かけるのが恥ずかしくてたまらないんでさ」。その子の父親は、あざけるように言った。

ニコラスは、その子がかわいそうでたまらなくなり、彼の父親に断って市場に連れて行き、新しい服を3着買い求めた。そして、それを子どもに持たせて言うのだった。「さあ、これを着て、明日の誕生パーティーに来てね」

さて、当日になると、ガイオの屋敷の者たちはびっくり仰天した。この町に住む商人や職人、それから役所の官吏の子どもに交じって、貧しい階層の子どもたち――それも全身あかにまみれ、ノミやシラミを髪に付けた物乞いの子どもや、手足に腫れ物ができて、うみから悪臭を漂わせているような者たちまでが、ぞろぞろと屋敷の門から入ってきたではないか。

「あれまあ」。厨房で賄い人と一緒に菓子作りをしていた家政婦のスントケは、窓からこの様子を見るとどすんと尻もちをついた。「ニコラス坊ちゃんのなさることといったら・・・全く、もう・・・」

「みんなよく来たね。さあ、中に入って」。ニコラスは笑顔で彼らを中に導いた。子どもたちは広間の長いテーブルの前に座り、今まで口にしたことのないようなごちそうを食べ、焼き菓子やパイ、はちみつ入りの菓子を頬張り、ヨーグルト入りの甘い飲み物を楽しんだ。ニコラスはテーブルを回り、これらの子どもたちに給仕をしてやるのだった。

食事が終わると、使用人たちがきれいな服や飾りの付いた帽子、靴、おもちゃなどを抱えて現れたので、ニコラスは一番汚らしい、惨めな姿をしている子どもから順番にこれらのプレゼントを配って歩いた。

「ね、忘れないで」。ニコラスは、全身に吹き出物ができ、悪臭を放っている子どもの手を握りしめて言った。「これを見るとき、ぼくらは友達だっていうことをね」

こうして、招かれた子どもたちは、おいしいものをおなかいっぱいに詰め込み、楽しく遊び、お土産までもらってそれぞれの家に帰っていったのだった。

パーティーの片付けも終わり、皆が引き上げてしまったころ、ニコラスは義父に呼ばれた。

「さて、ニコラス」。ガイオは手箱の中から古めかしい羊皮紙の巻物を取り出して言った。「私は、おまえが貧しい者のことをいつも心にかける優しい気持ちを持っていることをうれしく、誇らしく思っておるぞ。この巻物はガイオ家が代々大切にしてきた家宝でな。おまえが成人したら譲ろうと思っていた」

彼は巻物を広げた。「これはヤコブというユダヤ人が100年以上も前にコロサイにいるクリスチャンたちに書いた手紙の写しだ。ガイオ家1代目の当主がこの写本を手に入れて以来、この家に大切に保管されてきたものなのだよ」。そして、ガイオはゆっくりと読み上げた。

父である神の御前できよく汚れのない宗教とは、孤児ややもめたちが困っているときに世話をし、この世の汚れに染まらないよう自分を守ることです。・・・兄弟か姉妹に着る物がなく、毎日の食べ物にも事欠いているようなときに、(略)からだに必要な物を与えなければ、何の役に立つでしょう。(ヤコブの手紙1:27、2:15、16)

ガイオは読み終えると、巻物を箱に戻し、ニコラスに手渡して言った。「いいかね。人間にとって一番大切なことは、他者を思いやる心――特に弱い者や虐げられている者たちの苦しみに寄り添うことだということを忘れるんじゃないぞ」

*

<あとがき>

豪商ガイオの家に養子となって引き取られた孤児ニコラスは、いつも貧しい家庭の子や不幸な生活をしている者に対して優しい思いやりを示すのですが、これは養父母の影響によるものでした。ガイオはたびたび商用でコロサイの町に出かける折、その地でひそかに信仰を守っているクリスチャンたちと接触があり、夫人ともども聖書の教えを日々の生活の中で守っていたのでした。

ある時、ガイオは家宝として大切に保管している古い巻物をニコラスに見せます。それは100年以上も前にヤコブというユダヤ人が各地の教会に宛てて書いた『ヤコブの手紙』の写本でした。そこには貧しい人々に対する配慮が述べられており、ガイオは「神に喜ばれる信仰とは、弱い者や虐げられている者たちの苦しみに寄り添うことである」とニコラスを諭すのでした。

ニコラスは、こうして養父から人間として一番大切なものを学び、成長していくのです。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
  • ツイート

関連記事

  • サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(1)孤児ニコラス

  • クリスマスに読みたい11編の物語 女性初のノーベル賞作家が送る『キリスト伝説集』

  • 『少女パレアナ』 何事にも喜ぶことの素晴らしさを教えてくれる物語

  • 奴隷解放の父―エイブラハム・リンカーンの生涯(1)プロローグ―荒野を旅して

  • キリスト教的愛とギリシャ的美が溶け合う歴史ロマン 『クオ・ワディス』

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 主は生きておられる(241)カレンダーあと1枚 平林けい子

  • ひと足ひと足、主にすがりて 菅野直基

  • ワールド・ビジョンがクリスマスキャンペーン、教会で酒井美紀さん登場のコンサートも

  • 地球環境の守り人 穂森幸一

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(234)神様の思い(計画)が分からないのはありがたい 広田信也

  • ワールドミッションレポート(11月7日):スーダンのマディ族のために祈ろう

  • 世界62カ国で宗教的「迫害」や「差別」 2年に1度の「世界信教の自由報告書」発表

  • 世界福音同盟(WEA)「ソウル宣言」全文和訳

  • 聖書が教える「行いによる義」 菅野直基

  • カンタベリー大聖堂の「落書き」プロジェクトに批判の声

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 「電波宣教師」の尾崎一夫氏死去、短波ラジオ・HCJB日本語放送に60年以上従事

  • 聖書アプリ「ユーバージョン」が間もなく10億インストール 11月に「聖書月間」開催

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(234)神様の思い(計画)が分からないのはありがたい 広田信也

  • 新総主事が就任、国際理事会が新体制に WEA第14回総会「ソウル宣言」採択し閉幕

  • 世界福音同盟(WEA)「ソウル宣言」全文和訳

  • 聖書が教える「行いによる義」 菅野直基

  • カンタベリー大聖堂の「落書き」プロジェクトに批判の声

  • 「電波宣教師」の尾崎一夫氏死去、短波ラジオ・HCJB日本語放送に60年以上従事

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 聖書アプリ「ユーバージョン」が間もなく10億インストール 11月に「聖書月間」開催

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(234)神様の思い(計画)が分からないのはありがたい 広田信也

  • 新総主事が就任、国際理事会が新体制に WEA第14回総会「ソウル宣言」採択し閉幕

  • 世界福音同盟(WEA)「ソウル宣言」全文和訳

  • 聖書が教える「行いによる義」 菅野直基

編集部のおすすめ

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.