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神の恵みは永久に 穂森幸一

2024年4月18日08時27分 コラムニスト : 穂森幸一
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関連タグ:隠れキリシタン穂森幸一

ところが、神の恵みによって、私は今の私になりました。そして、私に対するこの恵みは、むだにはならず、私はほかのすべての使徒たちよりも多く働きました。しかし、それは私ではなく、私にある神の恵みです。(1コリント15:10)

私たちは自分の人生を振り返るとき、良かれと思って尽力したのに、あの時の働きは無駄だったのではないかと悔やむことがあります。しかし、歴史を振り返ると、無駄なことは何一つなく、全て後世につながっているということが示されます。

イタリアのシドッチ神父は江戸時代中期、キリシタン禁制下、しかも鎖国体制の日本に多くの人々の制止を振り切って潜入を試み、捕らえられてしまいます。私は最初に話を聞いたとき、何と無謀で無駄な試みをしたのだろうかと思いました。しかし、学びを深めるうちに、決して無駄な働きではなく、意義深いものであったということを知ることができました。

シドッチは1668年にシチリアの貴族の家に生まれましたが、献身者としての道を選び、教区司祭になりました。ローマ教皇庁で働いていたとき、キリシタン迫害の激しい日本に関心を持ち、日本語を学んでいたといわれます。教皇クレメンス11世により宣教師に任命され、マニラで4年間宣教活動に従事しました。マニラで日本行きの準備を整えます。

1708年8月某日、夜半に屋久島に漂着しました。本当は種子島を目指したけれど、暗闇のせいで見間違ったといわれます。日本人に溶け込めるように和服を着て、帯刀していたといわれます。外国人の想像する日本人の姿ですから、かなりちぐはぐだったのではないかと思います。

ここで驚かされるのは、屋久島の島民のおもてなしの姿勢です。怪しげな異国人がやって来たのに、休む場所を提供し、着替えの着物、食べ物を準備したのです。丸2日間休んだ後、役人に引き渡されました。屋久島から長崎に船で向かい、長崎奉行所で取り調べを受けた後、江戸に移送されました。

江戸では新井白石の尋問を受けたとなっていますが、白石はシドッチの人格と学識に感銘を受け、敬意を持って接したといわれます。白石は当初、何とかイタリア本国に送還できないか模索したみたいです。送還がかなわず、日本に留めて、事情を聴くということになったようです。

江戸では小石川の切支丹屋敷(現在の文京区)に住まうことが許され、20両の給金まで支給されたといいますから、囚人というよりは客人という扱いに近いのではないかと思います。また身の回りの世話は長助とはるという老夫婦が行いました。宣教は許されませんでしたが、幽閉とはいえ、割と自由に生活できていたようです。

約5年間にわたり、新井白石は取り調べを行ったことになっていますが、実際は対話といった方がいいような状態だったようです。シドッチはキリスト教の神学、地理学、欧州事情について語ったといわれます。白石は『西洋紀聞』などに聞いたことをまとめていきますが、これがやがて明治維新を迎え、欧州各国に向き合っていく備えになったといわれます。

ここで注目したいのは、江戸で幽閉されたシドッチの生きざまです。宣教は許されていませんでしたが、個人的な信仰生活は禁止されていなかったようです。屋久島に上陸した際に祭式用の道具も持ち込んでいたようですが、江戸まで持っていっています。朝夕の祈り、ミサも個人的に行うことは許されていたようです。シドッチの生きざまを身近に見ていた長助とはるは、死罪になっても構わないから、同じ神様を信じたいと願うようになります。

言葉で宣教するのではなく、生きざまで伝えていくということではないかと思います。彼らはシドッチに頼み込んで、信仰告白をし、洗礼を受けたのです。

禁制を犯すわけですから、当然、罰を受けなければならないのですが、思ったよりも緩やかなものでした。今まで生活していた屋敷に座敷牢という形で幽閉されました。この10カ月後、1714年10月21日にシドッチは46歳で亡くなりますが、病死といわれています。シドッチは幕府の禁制を破って日本にやって来ましたが、2人を信仰に導いたことになります。

2014年に文京区の切支丹屋敷跡の工事現場から3体の遺骨が発見されますが、なんとその1体はDNA鑑定の結果、シドッチのものと断定されました。遺骨の発見現場を詳しく調べたところ、埋葬方法などが判明しました。日本では古来、屈葬が行われていました。死者が悪霊としてよみがえって悪さをしないようにとか、元々の胎児に戻すとか説があるようです。

しかし、従来の日本のものとは全く違う棺に寝かされた状態で埋葬され、墓石ではなく、十字架が立てられていたようなのです。シドッチからキリスト教葬儀のことを聞いていた人が埋葬したとしか思えない状況です。

世界各地でキリスト教会への攻撃、迫害などのニュースを目にすることが増えてきたようです。日本でも、信仰者は生きづらいとか、なかなか理解してもらえないとか嘆き節を聞くことがあります。しかし、キリシタン禁制の江戸時代に比べれば、まだましといえるかもしれません。シドッチに示された神の恵みは、今日の私たちにも働いています。

いのちのことばをしっかり握って、彼らの間で世の光として輝くためです。そうすれば、私は、自分の努力したことがむだではなく、苦労したこともむだでなかったことを、キリストの日に誇ることができます。(ピリピ2:16)

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◇

穂森幸一

穂森幸一

(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

株式会社カナルファホームページ
穂森幸一牧師のFacebook

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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