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保育の再発見

保育の再発見(23)伴走支援によって保護者の自己肯定感を育む

2023年12月23日23時52分 執筆者 : 千葉敦志
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子ども/children/kids/親子+
※ 写真はイメージです。(写真:ACworks)

あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます。(新約聖書・コリント人の信徒への手紙一10章13節)

伴走という寄り添い方

前回、保護者に寄り添うことの必要性を論じましたが、その一方で、寄り添うことの危険性も指摘しなければいけません。なぜなら、寄り添うというのは、何でもかんでも肯定することではないからです。

最近、保育や福祉の世界では、「伴走支援」という言葉が脚光を浴びています。視覚障害者の陸上競技などで「伴走者」が一緒に走りながらコースのナビゲーションをするのを見たことがある人も多いと思います。当然伴走者は、選手を引っ張ったり、押したりして助ければ反則です。かといって、選手の足を引っ張るわけにもいきません。選手と同等かそれ以上の走力を求められ、かつ情報を的確に伝え、選手の判断に寄り添いながら走り続ける能力が必要になります。近年では、選手の走力が劇的に向上したこともあり、複数の伴走者が入れ替わり立ち替わり伴走するというスタイルが一般的になっています。

伴走支援の心得

伴走者には、「選手が安心してゴールに向かえるよう、他の選手の状況や走路の状態、障害物の有無などを選手に伝えながら走る」「選手を引っ張ったり、押したりするなど、選手が前に進むのを助けるような行為は禁止」「選手より先にフィニッシュラインを越えた場合は失格」など、求められる役割と守るべきルールがあります。伴走支援でも、これと同様のことが求められます。

保育における伴走支援とは、「目指すべきゴールに向かうときに遭遇するさまざまな困難や課題を保護者に伝え」「子育ての主導権を保護者に委ねつつ」「保護者や子どもが主体性と自信を持って一つ一つの課題や目標をこなして行くことを目指す」支援です。

この支援を実践するためには、支援する側に技能と配慮が求められます。表に見えている問題の水面下に潜む真の課題は何かを、当事者(保護者と子ども)が自ら気付き、その解決に主体的に取り組むよう辛抱強く促すことが必要とされます。しかし、この過程をあえて通ることで、当事者が自分自身を客観的に捉えながら、主体的に物事を考えることができるようになるという効果を望めるのです。

保護者の自己肯定感を育てる

伴走支援の目標は、究極的には当事者の自己肯定感を育むことです。昨今、さまざまな保育施設から寄せられる課題の一つに、保護者の自己肯定感の不在を見て取ることができます。絶えず周囲を見回し、自分の子育てが「理想的な状態から外れていないか」を確認する保護者が多く見られます。また、その中には、理想を追い求め続ける「青い鳥症候群」の状態を呈している場合も多く見られます。

子育ての違いや遅れに恐れを抱き、追われるように理想的な子育てや成功事例をネットや書籍などから得ようと、もがき苦しんでいる様子が見て取れます。こうなってしまうと、保護者は、周囲からの評価のみに振り回されるようになり、自己肯定感などはみじんも感じられなくなります。そして、親子ともに悲劇を迎える可能性が出てきます。

誰もが自信を持てないのが子育てです。ですので、保護者としての自己肯定感の基礎は、「自分が大人であることを自覚すること」と「子どもを子どもとして捉えること」にあります。子どもは「作品」や「ペット」ではなく、あくまでも「子ども」(まだ幼い一人の個人)なのです。保護者の働きは、子どもに生きる力を授けることであり、その後はそれを見守り、支え、場合によっては修正していくことが、大人たる保護者の務めなのです。

最近、伴走支援と銘打って、「当事者が望む選択を保証しよう」という考えの支援を展開するケースが多く見受けられます。しかし、そのような支援の多くは、保護者の要望ばかりを聞いて、同じ当事者たる子どもの都合を見落としている場合が少なくありません。

困難を乗り越えるということ

ここで私事ですが、一つの事例を紹介します。私は小学4年生くらいまで、喘息性気管支炎を患っていました。季節の変わり目などには、呼吸が苦しくなり、学校をよく休んでいました。しかし、成長するにつれ、症状が顕著に見られなくなりました。すると私は、「なぜ気管支炎になってもおかしくない状況なのにならないのだろう?」と混乱するようになりました。

喘息性気管支炎は苦しかったですから、ならないに越したことはないのです。しかし、発症してもおかしくない状況なのに発症しないのは、本人にとっては不気味でした。いつ発症するのかという不安を抱えつつ、それでも発症していないのだから学校には行かなくてはならないというのが、非常に悩ましい状態だったのです。

この混乱は、当時の自分が、喘息性気管支炎を自分にとって「必要不可欠なもの」と自然に捉えていたことを示しています。親も必死にこの気管支炎と闘ってくれましたし、その気管支炎のおかげでかかりつけ医に大変お世話になり、さらにかわいがってもらいました。そういう日常を失うことは、当時の私にとってはなかなか難しいことだったのでしょう。そのためか、親や医師にわざと症状を大き目に申告した覚えもあります。

しかし、親や医師が励ましてくれ、また、症状がほとんど出なくなったことを喜んでくれたことで、5年生にもなると、喘息性気管支炎の発症を気にすることもなく、友達と力いっぱい遊ぶようになって、混乱も薄れていきました。

乗り越えた体験を自己肯定感に結び付ける

この私の事例では、病気を克服できたことを喜べる環境が、私自身の自己肯定感を導き出したと理解できます。しかしながら、その自己肯定感を受け入れるためには、多くの支援が必要であったことも事実です。

伴走支援は、未来を見越したものでなければなりません。「今の状況をどう乗り越えさせるか」だけを目標にすると、その場で得られた快感だけがその人の存在証明になってしまいます。本来の伴走支援は、その後起こり得るさまざまな事象に目を向け、備えておくことまでを含めて支援に当たる必要があります。伴走支援の特徴は、一つ一つの出来事について客観的な事実を見せながら、当事者の決定をその自己肯定感に結び付けていくことにあるのです。(続く)

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※ 本紙では通常「障がい」と表記していますが、本連載では文意などを考慮し、「障害」と表記しています。

◇

千葉敦志

千葉敦志

(ちば・あつし)

1970年、宮城県生まれ。日本基督教団正教師(無任所)。教会付帯の認可保育所の施設長として、保育所の認定こども園化を実施。施設長として通算10年間、病後児保育事業などを立ち上げたほか、発達障害児や身体障害児の受け入れや保育の向上に努め、過疎地域の医療的ケア児童の受け入れや地域の終末期医療を下支えするために、教会での訪問看護ステーション設置などを手がけた。その後、これまでの経験に基づいて保育所等訪問支援事業を行う保育支援センターを立ち上げた。現在、就労支援B型事業所「WakeArena」を立ち上げ、地域の福祉増進を目指している。

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